夏のツーリングは、風を受けながら開放感を味わえるのが醍醐味です。でも、近年は気温35℃を超える猛暑日が続出。さらに、40℃以上の酷暑日も度々あり、ライダーにとっても熱中症対策はかかせません。とくにこの時期は、外気温だけでなく、走行中の熱風や停車時のこもる熱など、「3つの暑さ」に注意が必要です。では、それらは具体的にどのようなもので、どんな対策が必要なのでしょうか。過酷な夏を安全かつ快適に乗り切るための対処法を解説します。

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夏のバイク旅では「3つの暑さ」に注意

バイクは、クルマのようにエアコンはありませんし、ライダーは常に直射日光や紫外線を直接浴び続けることになります。それだけに、夏のツーリングは暑さだけでなく、疲れを最も感じやすい季節だといえるでしょう。とくに、バイクの場合は以下のような3つの暑さに注意が必要となります。

1,高い外気温

当然ながら、夏は高い「外気温」のなかでバイクに乗ることになります。とくに、今年の夏は、梅雨明け直後から急に暑さが増し、各地で猛暑日や酷暑日が続出。身体がまだ暑さに慣れていない状態の人も多いでしょう。

しかも、ツーリングでは、高い気温の中を長時間走ることになるため、より疲れを感じやすい状態になりやすいといえます。とくに、気温35℃を超えるような猛暑日や40℃以上の酷暑日では、走行中に受ける風もまるで熱風を浴びているように感じることも。そんなときは、十分な注意が必要となります。

当然ながら、夏は高い「外気温」のなかでバイクに乗ることになる。しかも、ツーリングでは、高い気温の中を長時間走ることになるため、より疲れを感じやすい状態になりやすい

2,エンジンやマフラーの熱

多くのバイクは、ガソリンと空気の混合気を爆発させて駆動力を発生させる「内燃機関エンジン」を搭載しているのはご存じの通り。そのため、とくに夏はエンジンやマフラーはかなりの高温となります。

真夏のツーリングは、高温を発する物体と至近距離の位置で、長時間走行することになるため、余計に暑さを感じやすくなるといえるのです。

とくに夏は、バイクのエンジンやマフラーはかなりの高温となり、ライダーにもその熱さが伝わってくる

3,ウェアの暑さ

夏は暑いからといって、Tシャツや短パンなどの薄着でバイクに乗ると非常に危険です。長袖・長ズボンなど、夏でもしっかりとした装備で走ることが基本となります。

とくに、最近は、メッシュジャケットなど、夏用のライディングウェアも充実しています。プロテクターを装備していたり、比較的丈夫な生地を使うことで、万が一の転倒などに備えたものが主流となっています。

これらは、走行中に走行風を効果的に採り入れてくれるため、走っている最中は比較的涼しく感じます。一方で、バイクを停めた瞬間に暑さを感じることも多いのです。丈夫な生地やプロテクターなどを使ったウェアであるため、結果的に「かなりの厚着をしている」ことになるためです。

夏のツーリングでは、外気温やエンジン・マフラーなどの熱に加え、停車中にはウェアによる暑さにも対策が必要になるといえます。

夏ツーリングの定番といえばメッシュジャケットだが、停車中は意外に暑い

対策1:夏用ウェアや熱対策アイテム

では、これら3つの暑さを踏まえた対策法にはどんなものがあるのでしょうか。まず、ツーリングに出かける前の準備として、ウェア類が挙げられます。

前述の通り、夏だからといって、半袖・短パンなどの薄着で走るのは厳禁です。転倒時にケガしやすいだけでなく、走行中に露出部がどんどん日焼けすることで、体内の水分が奪われて脱水症や熱中症になるリスクが高まるからです。

そのため、これも先に述べた通り、夏でもしっかりとしたライディングウェアを身につけるのは鉄則です。ただし、メッシュ製でも、走行中は比較的涼しいですが、停車中は暑くなりやすいもの。そのため、ジャケットなどはバイクを降りたらすぐに脱ぐようにして、体内に熱がこもりにくくするように心掛けましょう。

ちなみに、スーパースポーツなどアルミフレームを採用しているバイクは、エンジンの熱がフレームに伝わりやすい傾向にあります。そうしたバイクで夏にツーリングすると、足のふくらはぎなどがフレーム近くに長時間あることになり、低温火傷になる場合もあります(実際に筆者もCBR600RRで経験済み)。そのため、メッシュパンツなど、比較的生地が薄いウェアを履くのは注意が必要です。

スーパースポーツなどアルミフレームを採用しているバイクは、エンジンの熱がフレームに伝わりやすく、ふくらはぎなどが低温火傷するリスクもある

最近は、汗を速やかに吸収して、素早く乾かす高機能な「吸汗速乾」インナーパンツもありますが、これに熱対策のヒートガードが足の内側などに付いている製品もあります。スーパースポーツで夏のツーリングを楽しみたいライダーなら、そういったもので熱対策しつつ、涼しいメッシュのアウターパンツを組み合わせるのもおすすめです。

筆者が、夏にCBR600RRでツーリングする場合、メッシュパンツの下に履いているのがデイトナ・ヒートガードインナーパンツ(税込み価格6820円)

吸湿速乾の素材で汗もすぐ乾く上、内ももやふくらはぎなどにヒートガード素材も貼り付けることで、エンジンやマフラーなどからの熱を防ぐ役割を果たしている

対策2:できるだけ渋滞を避けるルートや時間帯を選ぶ

夏のツーリングでは、可能な限り渋滞を回避することも考えましょう。夏場は、渋滞に遭遇すると、高い外気温のなかに長時間いることになりますし、走行風が体に当たらないため体温も上昇しやすくなります。熱中症のリスクがとても高くなるのです。

対策としては、たとえば、出発時間と帰宅時間を少し早めることで、できるだけ渋滞する時間帯に市街地を通らないようにすること。また、渋滞が起きにくいルートを選ぶこともおすすめです。

なお、渋滞に遭遇した場合、できるだけ早く混雑した道から抜け出したいと、すり抜けをするのも危険です。とくに、クルマの間を慌てて走行していると、暑さで判断力が鈍くなりがちなこともあり、思わぬ事故に遭遇する危険性も高くなります。渋滞に遭遇してしまっても、落ち着いてゆっくり走行するのが一番。コンビニなどで早めに休憩を取りつつ、安全第一で走ることを心掛けましょう。

夏のツーリングでは、可能な限り渋滞を回避する。だが、もし渋滞に遭遇しても、すり抜けは危険なのでやめた方がいい

対策3:目的地には涼しさを味わえる場所がおすすめ

夏のツーリングでは、暑さを考慮した事前プランを練っておくのも必要です。

とくに、目的地は、できれば比較的涼しい山方面がおすすめです。とくに、標高の高い山にあるツーリングスポットは、市街地と比べ気温や体感温度が低くなる傾向です。

一般的に、標高が100m上がるごとに気温は約0.6℃下がるといわれています。そのため、たとえば高地などの登り坂を走ると、バイクが進むにつれて涼しさが徐々に増してくることを体感できたりします。そんな場所なら、景色を楽しみながら、涼しさも満喫できるバイク旅を味わえるはずです。

夏は、標高の高い山にあるツーリングスポットを選ぶと、涼しさと景色を満喫できる

対策4:こまめな休憩と水分&塩分補給を!

日中に、屋外で長時間バイクに乗るツーリングで、とくに気をつけたいのが「こまめな休憩と水分&塩分補給」です。他の時期よりも休憩の回数を多くし、時間も長めにする。また、休憩中は多めの水分や塩分の補給を心掛けることで、熱中症のリスクを回避するのです。

夏に大量の汗をかくと、水分だけでなく、体内の水分バランスを調整する塩分(ナトリウムなどの電解質)も失われ、熱中症や脱水症になりやすいといわれています。そのため、できれば、休憩時には、水分と塩分を両方補給できるスポーツドリンクや経口補水液を摂取することが最適だといわれます。また、普通の水やお茶を飲む場合は、塩分入りタブレットなどを一緒に補給すれば、効果的に塩分も補給できます。

ともあれ、「まだまだ走れる」と、安易に長時間走行するのはおすすめしません。夏のバイク旅では、暑さによる疲れを感じる前に、早めで多めの休憩と水分&塩分補給を行うことが重要です。

このように、意外と注意点も多い夏のツーリング。暑さ対策をばっちりと決めて、できるだけ快適なバイク旅を楽しみたいものですね。

夏のバイク旅では、こまめに休憩を取り、水分だけでなく塩分も補給することが重要

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