首都高速道路会社が有識者検討会を開き、料金の値上げや割引の縮小を検討した。維持管理のコストが上昇しており、早ければ2026年度中の高速料金値上げを検討している。首都高が値上げすれば、他の高速道路会社も追従し、値上げする可能性も出てきそうだ……。

10年前に比べて維持管理コストが1.4倍に上昇!

12月1日、首都高速道路会社が有識者検討会「首都高の持続可能な道路サービスに関する検討会(第3回)」を開催(委員は後掲)。ここで首都高の高速料金値上げ、割引制度の縮小、上限料金の撤廃などが検討され、早ければ2026年度中に値上げをする可能性があるという。

その理由は、資材の高騰や修繕費、人件費の上昇で運営コストが増大しているため。検討会の資料によると、平成26年度(2014年度)に比べて、令和5年度(2023年度)の維持管理コストは約1.4倍に上昇している。

このコストに関して、首都高速は「昨今の急激な労務費・材料費の高騰や、老朽化対策、大雪などの災害対応等、会社を取り巻く環境は厳しさを増している状況にあり、点検の効率化等には取り組んでいるものの維持管理コストは上昇傾向」と説明している。

建設資材価格は13年連続で上昇し、令和5年度は平成26年度比で5割以上アップ。修繕費は約160億円から210億円に上昇している。※首都高速道路会社の資料より

首都高速による検討会の資料では、照明のLED化、ETC専用化、工事日数の短縮などコスト削減のための取り組みを切々と訴えていた。

上限撤廃、TC増額、そして1kmごとの料金引き上げも検討へ

首都高速では、様々なコストカットを前提としながらも「利用者負担」の方法を検討している。それが以下の三つだ。

①上限撤廃=上限料金(2輪&軽自動車1590円、普通車1950円)の撤廃
②利用ごとの負担=ターミナルチャージ(150円)を引き上げる
③料率引き上げ=1kmごとの料率を引き上げる

まず「①上限撤廃」に関して。首都高の料金は距離に応じて加算される仕組みで、55km以上走った場合は上限料金(2輪&軽自動車1590円、普通車1950円)が適用されている。これを撤廃し、55km以上走った分も料金を徴収する。

今のところ55km以上走ればお得になる設定だが、上限が撤廃されれば当然、走るほど料金が加算される。首都高速でも「上限撤廃による長距離利用者の急激な負担増が課題」としている。

なお、ETCを搭載していない車両が通る一般レーンは減少しているが、ご存じのとおりETCがなく、現金やクレジットカードで支払う場合、問答無用で最大料金が徴収される。上限が撤廃されれば、この最大料金がどうなるのかも気になるところだ。

「②利用ごとの負担」は、首都高を利用するたびに課されるターミナルチャージ(TC)を引き上げるというもの。現在は、距離に応じた料金にターミナルチャージ150円を加算し、消費税を加えて料金が算出されているが、固定されたターミナルチャージの増額を検討している。

「③料率引き上げ」は、根本的な料金距離のアップだ。現在、1kmあたり2輪&軽自動車は23.616円、普通車は29.52円の水準。一部報道によるとこれを2026年度中に10%程度引き上げる案が出ているという。

首都高速の資料にあった「利用者負担と高速道路の安定的な運営の関係(イメージ)」。まるで値上げが前提のような説明!?

 

首都高速では「料金水準の上げ幅が小さいと、利用者の負担は小さくなるが、持続性のある管理運営に支障」「料金水準の上げ幅が大きいと、持続的な高速道路運営が可能となるが、利用者の負担が大きい」と当たり前の提言をしている。いずれにせよ、値上げが前提のような言いぶりだ。

2022年に上限料金の引き上げなどが行われたが、根本的な料金距離の引き上げが実現すれば2016年以来。さらに、阪神高速をはじめ、NEXCOなど他の高速道路会社が後追いし、値上げの判断材料とされる可能性がある。

ユーザーからの反発は必至、これ以上の値上げは勘弁を!

また現在、様々な割引制度が導入されているが、影響を検証し、縮小も検討する。

現在は0~4時の入口通過で20%割り引く「深夜割引」のほか、様々な割引がある。

 

料金の値上げや割引の縮小はユーザーからの反発が予想されており、首都高速では議論を慎重に進め、年末までに一定の結論を出す予定だ。

首都高速は1959年(昭和34年)から建設が始まり、1962年(昭和37年)から共用が開始された。設備の老朽化は著しく、補修に多額の費用が掛かるのは納得できる。とはいえ、そのツケをユーザーが支払う構図になっており、値上げは生活や経済活動への影響も大きい。また、日中の渋滞は依然として解消されないままだ。

そして、ガソリンの暫定税率廃止が決定した一方で、料金が値上げされれば、庶民への恩恵はなくなってしまう。本当に適正な値上げなのか? コストカットする余地はないのか? じっくり考えてほしいものだ……。

2012年に距離別料金が導入されるまで700円で固定されていた時代を考えると、値上がりの一途。そもそも二輪が軽自動車と同額の割高な設定であることも問題だ。昔謳っていた「無償化」はどこに……。

「首都高の持続可能な道路サービスに関する検討会」委員

※敬称略
太田和博 専修大学商学部教授
加藤一誠 慶応義塾大学商学部教授
楠田悦子 モビリティジャーナリスト
河野康子 (一財)日本消費者協会理事
清水哲夫 東京都立大学 都市環境学部教授
竹岡 圭  日本自動車ジャーナリスト協会副会長
谷口綾子 筑波大学システム情報系教授
中村文彦 東京大学大学院 新領域創成科学研究科特任教授
根本敏則 敬愛大学情報マネジメント学部特任教授
芳野珠美 株式会社JAFメディアワークス「JAF Mate」編集長

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