日本が世界に誇る二輪業界の魅力と二輪車デザインを知り、体感できる「二輪デザイン公開講座」(主催:公益社団法人 自動車技術会)が、8月21日(木)・22日(金)の2日間に渡って静岡文化芸術大学(静岡・浜松)にて開催されました。ほとんどが「バイク免許を持たない」「初めてバイクに触れる」学生ながら、受講生たちは二輪デザインの楽しさを全身で感じ、未来のキャリアを思い描く2日間となりました。
目次
1日目:トップデザイナーが語る“バイクデザインの醍醐味”
1日目は、これまで何台ものバイクのデザインに携わってきた株式会社GKダイナミックス 元代表取締役社長 一條 厚氏(以下、一條氏)と株式会社本田技術研究所 元デザイン室 / 二輪担当 澤田 琢磨氏(以下、澤田氏)のお二人を講師に招き、講演が行われました。会場となった大講義室には、バイクをデザインすることに興味を持つ学生が多く集まりました。
講演1「バイクデザインは面白い、バイクは素敵だ」
一條氏は、ヤマハのSRXシリーズやVMAXシリーズをはじめ、多くの名車を生み出したバイクデザイナーとして知られています。13回目の開催を迎えた「二輪デザイン公開講座」は、一條氏の講演からスタートするのが通例となっています。
一條氏の講演は、デザイン技術や思考法についてではなく、バイクという乗り物の楽しさ、バイクをデザインすることの喜びについて語りかける内容でした。
と、この講演で伝えたいことを話してくれました。次世代のバイクデザイナーには、素晴らしいバイクデザインを生み出して欲しい。そのためには、バイクを好きになって欲しい。その想いがあふれている講演でした。
講演2「二輪車開発のプロセス」〜なりたい自分を見つけよう〜
長年、本田技術研究所のデザイナーとして活躍してきた澤田氏。2001年、若者のライフスタイルに合わせたバイクを研究・開発する「Nプロジェクト」を牽引しました。同氏が手がけたホンダのバイクは数えきれないほどです。現在は後進の育成に注力されている澤田氏は、日本の二輪車業界の現状やバイクデザインの世界について具体的に話されました。
澤田氏の言葉に、多くの受講生が心を動かされていました。
2日目:4つの工程を通して“バイクデザインの現場”を体験
2日目は、カワサキ、スズキ、ホンダ、ヤマハの国内バイクメーカー4社と、バイクデザインを請け負うGKダイナミックスに所属するバイクデザイナーがインストラクターを務める実践講習会が開催されました。「フィジカルスケッチ」「デジタルスケッチ」「クレイモデリング」「CMF(Color[色]、Material[素材]、Finish[仕上げ]の頭文字を取った最終工程のこと)」の4工程を体験しました。
フィジカルスケッチ
デザイン画を手書きする技術が「フィジカルスケッチ」です。バイクデザインにもCG(コンピューターグラフィックス)が活用されていますが、初期のアイデア出しにはフィジカルスケッチを行います。この講座では、自分のイメージするバイクを紙に描き出すカリキュラムと、バイクの線画にアルコールマーカーで着色して仕上げるカリキュラムのいずれかが選べました。インストラクターはスズキのデザイナー陣が担当しました。
デジタルスケッチ
「デジタルスケッチ」では、プロ向けのソフトウェアを搭載したパソコンやタブレットを使用し、CGでバイクデザイン画を作成します。用意されたデザイン見本に合わせて描き上げていくカリキュラムで、CGの経験者はインストラクターの指導のもと、どんどん自作デザイン画を仕上げていました。インストラクターはヤマハとGKダイナミックスのデザイナーが担当しました。
クレイモデリング
「クレイモデリング」では、インダストリアルクレイと呼ばれる特殊な樹脂粘土を使用してバイクの立体モデルを作ります。今回は、あらかじめ粗く成形されたバイクのミラーパーツのクレイが用意され、工具で削ってデザインを作り上げるカリキュラムでした。粘土での加工が初めてという受講生が大半でしたが、自分の手で立体的な作品をつくる楽しさを体感していました。インストラクターはホンダのデザイナーが担当しました。
CMF
「CMF」では、バイクのカラーリングやグラフィック、素材選び、表面仕上げといった、イメージを決定づける最終工程を体験します。まず、「誰が」「どこで」「何をする」といったコンセプトをくじ引きで決め、その組み合わせに沿ってバイクのカラーリングやグラフィックを考えていました。実際にデザインしたグラフィックをカッティングシートで実車に貼り付け、デザイン意図をプレゼンテーションするまでがCMFのカリキュラムです。インストラクターはカワサキのデザイナーが担当しました。
国内バイクメーカー4社およびGKダイナミックスのデザイナーによる指導のもと、受講生は初めて実践的なバイクのデザインに挑戦し、バイクの魅力に触れながら楽しみつつも、真剣にカリキュラムに取り組んでいました。「バイクデザインを仕事にしたい」という想いを胸に、国内メーカーやデザイン会社を目指す若きデザイナーがここから誕生することでしょう。
先輩デザイナーのリアルな声に触れるOB/OG座談会
過去に「二輪デザイン公開講座」を受講したOB / OGによる座談会も行われました。国内バイクメーカー4社やGKダイナミックスで現役デザイナーとして活躍する先輩方が、普段の仕事やバイクデザインの楽しさについて語りました。楽しそうに働く先輩たちの姿に、受講生は自分の未来を重ねていました。
受講生インタビュー:夢は「絶対にバイクデザイナー!」
現役のバイクデザイナーの方々から直接技術を教えていただけたのは貴重な経験です。皆さんとてもフレンドリーで、気兼ねなくいろいろ聞くことができました。バイクデザイナーになりたいという夢が、より強くなりました。絶対にバイクデザイナーになりたいです!
カワサキ『Ninja250』に乗っているので、カワサキで働きたいですね。一生懸命アルバイトをして購入したNinja250は主に通学やツーリングに利用していて、僕にとっては機械というより家族や友だちのような存在です」
2日間ずっとバイクに触れていたら、どんどん興味が湧いてきて、今ではバイクの免許を取りたいと思うようになりました。CMFでテーマになったカワサキ
『W800』が特に気に入りました。レトロなスタイルがとても魅力的ですね。
3DCGを学びたくて受講しましたが、4工程を経験した今、CMFに特に興味を持つようになりました。カラーやグラフィックによってバイクのイメージが大きく変わるのがとても面白かったです。クレイモデリングも、実際に手を動かして作るので楽しかったです。
これからはますますバイクへの関心を深め、将来はバイクデザイナーを目指していきたいです」
主催者の想い:業界を超えて未来を育てる
「二輪デザイン公開講座」を主催するのは公益社団法人自動車技術会(以下、自動車技術会)のデザイン部門委員会です。自動車技術会は、バイクを含む自動車技術を通じて豊かな社会の実現を目指す団体で、デザイン部門委員会はモビリティデザインに携わる人々によって構成されています。
本講座の運営総括を行う松浦雅彦氏は、GKダイナミックスの一員としてヤマハのバイクをはじめ、多くのデザインに関わってきました。「二輪デザイン公開講座」への想いについて伺いました。
バイクデザインは、同じモビリティ分野の四輪車とは設計プロセスも大きく異なります。『二輪デザイン公開講座』は、そのバイクデザインにおける4つの主要工程をしっかり体験していただける内容です。リクルートイベントと受け取られることもありますが、講座で直接スカウトすることはありません。あくまで次世代を担う学生の皆さんに、バイクデザインの魅力を伝えたいと思っています。
コロナ禍ではリモート参加も可能にしましたが、現在はオフライン開催に戻しています。やはり、対面のほうが学習効果が高く、私たちの想いもより伝わります。これまで美術系大学生限定としていましたが、今年からは専門学校生も対象に門戸を広げました。
『二輪デザイン公開講座』はメーカーの垣根を超えて、バイクデザイナー同士が協力して運営しています。ビジネス上はライバルですが、実はみんなプライベートでは仲が良いんですよ。だから、講座で一緒になれば“日本のバイク業界をともに盛り上げる仲間”として、力を合わせられています。この講座をきっかけに、私たちとともに業界を支えるバイクデザイナーが増えてくれれば本当に嬉しいですね」
ここから未来のバイクデザイナーが生まれる
受講生に真正面から向き合い、バイクデザインの魅力と二輪車の素晴らしさを余すことなく伝えたインストラクター陣。その熱量は確実に若者の心に火を灯し、未来のバイクデザイナーを育んでいます。すでに国内4メーカーには本講座の修了生が多数在籍し、実際に新しいバイクを生み出しています。今回の講座からも、次なる才能が羽ばたき、やがて世界を驚かせるバイクを生み出すことでしょう。
いつの日か、私たちが街で、旅先で、サーキットで目にするバイクが、この講座から巣立った若きデザイナーの作品であるかもしれません。その瞬間が訪れるのは、きっとそう遠い未来ではないのです。
■公益社団法人自動車技術会 https://www.jsae.or.jp/■静岡文化芸術大学 https://www.suac.ac.jp/ 【画像】未来の二輪デザイナーへと導く「二輪デザイン公開講座」 (32枚)
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受講生の大多数はデザインを勉強してる学生のはずなのに、ダサい見た目のガキばかりが集まったな…。