
高齢化社会において、運転免許証の返納は多くの人にとって他人事ではない。自身の体力や判断力の変化を感じながらも、生活への影響を考えると、返納のタイミングに迷う方も多いのではないだろうか。そこで今回は、株式会社NEXERと合宿免許in静岡が共同で実施した686人へのアンケート調査から、人々が何歳での返納を考えているのか、どんなきっかけで決断するのか、そのリアルな声をご紹介しよう。
目次
安全のために今できること。運転免許返納について考える
「親の運転が心配になってきた」「自分はいつまで運転を続けるべきだろうか」。高齢化が進むなかで注目されている、運転免許証の返納。本人の体力や判断力の変化に応じた判断が求められる一方で、生活への影響や返納のタイミングに迷う声も多く聞かれる。
では、実際に運転免許証を取得した人々は免許返納についてどう考えているのだろうか。
株式会社NEXERと合宿免許in静岡が共同で実施した686人へのアンケート調査から、何歳での返納を考えているのか、どんなきっかけで決断するのか、そのリアルな声をご紹介しよう。
33.1%が将来的に運転免許証の返納を「考えている」
まず、「将来的に運転免許証の返納を考えているか」という質問では、33.1%が将来的に運転免許証の返納を「考えている」と回答した。その理由は以下の通りだ。
・自分が歳を取った時には免許は返納しようと思います。将来的にもう運転はしないという選択をしたのに、免許の更新にお金をかけるのは無駄だと思うので。(30代・女性)
・そもそも運転に自信がなく、高齢になってきたらもっと自信がなくなると思うので、事故を起こす前に返納を考えます。(50代・女性)
・最近高齢者の事故が増えてきているから。 事故を起こしてからでは遅いから。(60代・男性)
・運動神経が劣ってくると返納せざるを得ない。(70代・男性)
・現在72歳だがだんだん「ひやり、はっと」が増えてきているような気がするので、80歳ぐらいまでに返納したい。(70代・男性)
一方、将来的に運転免許証の返納を「考えていない」と回答した人からは、切実な声が寄せられた。
・田舎には車が必要で、気をつけて乗れば大丈夫だと思うから。(60代・男性)
・車を運転しなくなったとしても身分証明書に使いたいから。(60代・男性)
・歳をとると足が弱くなるから、自動車は若者以上に必要。免許返納以前に、AIの進んだ高齢者用の自動車が開発されることが最優先されるべき。(60代・男性)
・まだ実感がわかないし行動範囲が狭くなって生活が面白くなくなる。(70代・男性)
・返納した場合、現状より不便になることが確実だから。(70代・男性)
・まだ普通に運転できるし、なにより地方都市に住んでいて車が無いと生活に困る事が多いから。(70代・男性)
また、既に免許を返納した人からは以下の回答があった。
・運転が好きでないから。(70代・女性)
・年齢と共に判断鈍くなってきているので、先日返納しました。(70代・女性)
64.8%が「運転が難しくなったと感じたら」返納しようと思っている
では、返納を考えている人は、何をきっかけに決断しようとしているのだろうか。
最も多かったのは「運転が難しくなったと感じたら」(64.8%)という回答だ。次いで、「年齢で決める」が30%、「周りから言われたら」が0.9%とつづき、自分の意思で返納しようと考えている人が多いことが分かった。
「運転が難しくなったと感じたら」と回答した人の理由は以下の通り。
・年齢も目安にしますが、年齢で決めるよりは自分が無理だと思った感覚を大事にしたいと思うので。(30代・女性)
・難しいと感じた時点で、理由はどうあれ運転するべきではない。(50代・男性)
・車はある程度必要なので、いよいよと感じるまでは運転したい。(60代・男性)
・運転技術が衰えると危険だし、自分のことより周囲に迷惑を掛けたくないから。(60代・女性)
・運動神経や体力の衰えには個人差がある。(60代・男性)
・同乗者や通行人を危険に巻き込む恐れがあるから。(70代・男性)
・ちょっとした見逃しがあるなどの症状を感じたら危険な兆候だと思うため。(70代・男性)
一方、将来的に運転免許証の返納を「年齢で決める」と回答した人からは、具体的な計画性が多く見られた。
・年齢はゆるぎない事実で、割り切る指標に設定しやすいので。(50代・男性)
・以前から70歳を過ぎたら、返納をすると決めているからです。(60代・女性)
・妻が70歳で返納予定。運転できないと困るので75歳まで運転し、その時点で返納予定。(70代・男性)
・体を機械と考えたらある程度の年齢になったらあちこちガタが来て、脳の反射神経とかも突然ガタが来るかもしれないから。(70代・女性)
また、「周りから言われたら」という回答では、「自分では気が付かないので、周りが注意してほしい(70代・男性)」といった、周囲の客観的な視点に期待する声も存在した。
35.3%が「70~74歳」で返納予定
返納のタイミングを「年齢で決める」と回答した人に、具体的に何歳になったら返納する予定か聞いたところ、最も多かったのは「70~74歳」で35.3%だった。
この年代を挙げる理由としては、「70代の両親をみていると歳を感じるので、自分もそのくらいになると運転が厳しそう(30代・女性)」「視力や知力が怪しくなっているかもしれないので(50代・女性)」「反射神経の衰えがかなり出始めるころだから。脚の筋肉が落ちてブレーキを踏む力も落ちてくるから(60代・男性)」など、加齢による身体能力の変化を具体的に意識している声が多く聞かれた。
「60歳未満」や「60~64歳」と回答した人の中には、「ペーパードライバーだから(50代・女性)」「定年後と考えている(50代・男性)」といった、自身の状況やライフステージに合わせた計画が見られた。
16.3%が自身の親や祖父母などに免許証返納をすすめたことが「ある」
最後に、自身の親や祖父母などに免許返納を勧めた経験があるか聞いたところ、16.3%の人が「ある」と回答した。
その際の相手の反応として多く見られたのは、下記のような返納への消極的な意見だった。
・今はまだ大丈夫だと言われた。(20代・女性)
・車がないと不便だから不服そうな顔。(30代・女性)
・身分証明書がなくなるから無理だと言われた。(40代・男性)
・悩んでいたが、返納する気はなさそう。(40代・女性)
一方で、
・すぐに返納しに行っていました。(30代・女性)
・もう少ししたら返納して、タクシー利用すると言っていた。(40代・女性)
といった前向きな反応もあったものの、全体的には抵抗感や不安が根強くあることがうかがえる。なかには、
・こちらが腹の立つようなことしか言わなかった。全然危機感を持って考えてはくれなかった。(50代・女性)
という、家族間の葛藤を示す声もあった。
まとめ:安全な移動のために、家族で話し合い、早めの準備を
今回の「運転免許証返納」に関するアンケート調査では、将来的に返納を考えている人が少なくないものの、具体的なタイミングや、家族に免許返納を勧める際には様々な考えや課題があることが明らかになった。
特に「運転が難しくなったと感じたら」という回答が多数を占めるように、個人の身体能力の変化が免許返納を考える大きな判断基準となるようだ。また、返納を検討する年代としては「70~74歳」を挙げる人が最も多く、この年代に身体的な衰えを意識し始める傾向が見られる。
高齢者の交通事故増加が社会問題となる中、安全と生活の利便性のバランスをどう取るかは非常に重要だ。運転免許証の返納は、本人だけの問題ではなく、家族を含めた周囲の理解とサポートが不可欠だと言える。早めの段階から家族で話し合い、返納後の生活に必要な代替手段(公共交通機関の利用、送迎サービスの検討など)を検討・準備を進めることが、本人にとってより安全で安心な生活を送るための第一歩となるのではないだろうか。
「運転免許証返納に関するアンケート」調査概要
■調査期間:2025年5月12日 ~ 5月21日
■調査機関:株式会社NEXER(自社調査)
■調査対象:事前調査で「運転免許証を取得した」と回答した全国の男女
■有効回答数:686サンプル
■調査方法:インターネット調査
■質問内容:
質問1:将来的に運転免許証の返納を考えていますか?
質問2:その理由を教えてください。
質問3:将来的にどのタイミングで返納しようと思いますか?
質問4:その理由を教えてください。
質問5:年齢で決める方は、何歳になったら返納する予定ですか?
質問6:その理由を教えてください。
質問7:自身の親や祖父母などに免許証返納をすすめたことはありますか?
質問8:その際相手はどのような反応でしたか?
※原則として小数点以下第2位を四捨五入し表記しているため、合計が100%にならない場合がある
■合宿免許in静岡
所在地:静岡県浜松市中央区小池町1552(浜松校)
電話番号:053-461-9225
https://gashukumenkyo.jp/seminar/
■株式会社NEXER
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代表取締役:宮田 裕也
Tel:03-6890-4757
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事業内容:インターネットリサーチ、SEO、WEBブランディング、レビューコンテンツ、リアルショップサポート、WEBサイト制作
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