
アメリカ・ハーレーダビッドソン現CEO・ヨッヘン・ツァイス氏が年内に退任する意向が発表された。同社では株価不振などの影響により、CEO交代の声が大株主「H Partners」などから上がっていたが、社内では続投を望む声も多く、先月には社内投票も行われていた。
ツァイスCEOが退任へ、後任選定はすでに本格始動
ハーレーダビッドソンは2025年4月、現CEOヨッヘン・ツァイス氏が年内に退任する意向を示したと発表した。これを受け、同社はすでに2024年第4四半期から外部のサーチファームを起用して後任CEOの選定を進めており、ツァイス氏は次期CEOが決定するまで職務を継続するという。
ツァイス氏は2020年にCEOへ就任。5カ年戦略「Hardwire」を策定し、ブランド再建や収益改善に取り組んできた。ハーレー側は、厳しい経済環境下での経営成果を評価しており、同氏の在任中に営業利益率や株主還元指標で競合を上回る実績を残したと説明している。
CEO交代はあくまで計画的なリーダーシップ移行の一環とされるが、そのプロセスを巡って社内外で意見が割れている状況が浮き彫りとなった。
このような状況の原因について、米国の複数メディアでは電動バイクブランド「Livewire」の商業的な停滞や、リモートワーク推奨への非難、海外での売り上げ低迷などを原因として報道している。
大株主H Partnersと対立、取締役選任を巡り応酬に
CEO選定を巡る対応をきっかけに、同社大株主である投資ファンド「H Partners」が対立姿勢を強めている。H Partnersは、自身が推すCEO候補が取締役会の支持を得られなかったことを受けて、ハーレーの経営陣に対して批判的なキャンペーンを開始。取締役の刷新と経営方針の見直しを株主に訴えている。
これに対しハーレーダビッドソン側は、「H Partnersは取締役として3年間にわたり一貫して経営方針を支持してきたにもかかわらず、特定候補が却下された途端に態度を急変させた」と強く反論。また、「H Partnersは具体的な代替案を示さず、匿名のCEO候補や取締役人事を通じて株主の権利を損なおうとしている」として、同社の取締役全員への支持を呼びかける声明を公開した。
取締役会は、今後も公正な手続きを重視し、株主価値の最大化に向けた選定を進めるとしているが、今回の騒動は今後のガバナンス体制や経営の安定性に対する市場の注目を集めそうだ。
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