
ヤマハ発動機株式会社と三菱重工業株式会社が共同で、200kgを搭載可能な中型マルチコプター型無人機(以下中型無人機)の開発に向けた研究を行っており、試作機を「Japan Drone 2025」に展示すると発表した。
ヤマハと三菱が共同開発するハイブリッドタイプの中型無人機
ヤマハは、エンジンやモーターに関する技術・製品の活用先として、マルチコプター型無人機への適用を模索しており、この分野における研究開発を行なってきた。航空機の開発・製造に携わる三菱重工業も、中型無人機の開発を進めていたことから、2024年3月に共同研究の実施について契約を締結し、共同研究がスタートしたという。
現在、ヤマハが研究開発する小型軽量発電ユニットを搭載した、ハイブリッドタイプ(エンジンにより発電した電力で各ロータを電動モーターで回転させる形式)の中型無人機の飛行試験が行われているという。両社は、中型無人機のハイブリッド化による航続距離の延長を目指し、今後も共同研究を継続していくとのことだ。
三菱重工業はこれまでの航空機開発・製造で培った技術を基に、ハイブリッドタイプ中型無人機の設計・製造、試験に取り組み、ヤマハは二輪車事業や四輪車向けエンジン事業で培った小型でハイパワーなエンジン技術と、最新の電動モーター技術を組み合わせ、小型軽量発電ユニットの研究開発に取り組んでいくとのことだ。
4月中旬に三菱重工業の研究施設内で行なわれた飛行試験では、三菱重工業の中型無人機に、ヤマハが研究開発中の発電ユニットを搭載し初浮上に成功したとのこと。この試作機は、6月4日~6日に幕張メッセで行なわれる展示会「Japan Drone 2025」で、三菱重工業ブースに展示される予定だ。
3気筒の小型軽量発電ユニットは「CP3」がベースか?
このヤマハが研究開発中の小型軽量発電ユニットは、2023年にモックアップが発表されている。写真はそのモックアップのようだが、現在は実際に飛行試験も行なわれているということなので今回展示されるのは実物になるだろう。写真からは3気筒であることと「αlive RX」というエンジンの名称が刻まれていることが確認できる。ヤマハの3気筒エンジンと言えば、「MT-09」や「XSR900」などに搭載されている「CP3」エンジンである。CP=クロスプレーンとは「不等間隔燃焼」のことであり、現在ヤマハの主力エンジンはこの方式が多く採用されている。
この小型軽量発電ユニットがクロスプレーン方式を採用しているかどうかは不明だが、外見からはエンジンのベースは「CP3」であると思われ、バイクではトランスミッションが取り付けられている部分にジェネレーター(発電機)が装着されているようだ。現行の「MT-09」に搭載されているCP3エンジンは排気量888ccで、最高出力88kW(120PS)/10000rpm、最大トルク93N・m/7000rpmというスペックだ。この「αlive RX」は2023年の時点で「想定値約88kWの高いパフォーマンスを発揮する」と発表されており、これを考えてもCP3エンジンがベースであると考えられる。
バイクに搭載されていたエンジンをベースに開発されたと考えられる「αlive RX」は、完成すればヤマハの新しい時代を作っていくプロダクトになることだろう。
CP3エンジンが空を飛ぶ!? ヤマハ×三菱が3気筒エンジン搭載ハイブリッドマルチコプターを発表 (7枚)この記事にいいねする