
ビンテージバイクを題材とした油絵を描く画家「SANPAINT(サンペイント)」。2025年3月7日~10日、原宿のアートギャラリーにて6回目の個展「SANPAINT EXHIBITION 6th(サンペイント・エキシビション 6th)」が開催された。
今回は個展のテーマや展示作品に加え、油絵画家となったきっかけ等についてご紹介します!
目次
油絵画家「SANPAINT(サンペイント)」とは?
2016年頃よりビンテージバイクショップからの依頼で車体やヘルメットへのペイントを始め、2021年からは本格的な油絵を描き出したというSANPAINTさん。
この数年で多くの油絵作品を世に出し、今回を含め既に6回の個展を開催された。
また、昨年より中国での展示を開始し、更にフランスのバイクカルチャー誌「KULT(カルト)」に作品が掲載される等、その活動の幅・知名度は世界に広がっている。
私が彼の存在を知ったのは今から2年ほど前のこと。たまたまバイク仲間のInstagramを見ていたら…ダートを走るマチレス(イギリスの旧車)が描かれた油絵が流れ、その迫力に衝撃を受けた。
調べると…ちょうどその日、都内で彼の個展が開催されていた。平日だったが、仕事を途中で切り上げ、個展を開催されている代官山の蔦屋書店まで見に行った。
その直後、旧車マニアが参加するボトムリンク式旧車カブレースB.O.B.L(Battle Of Bottom Link)のポスターデザインを手掛けられていることを知り、特に旧車乗りの中では人気のアーティストであることを認知した!
油絵画家として旧車を描き出したきっかけ、今回の個展のテーマ、想い等について、インタビュー形式で纏めましたので、是非ご覧ください!
Instagram「SANPAINT(サンペイント)」
https://www.instagram.com/aki_sanpaint
「SANPAINT」WEB STORE
SANPAINT STUDIO
旧車を描き出したきっかけは?
『ビンテージバイクを購入した事が一番のきっかけです。バイクを乗るようになってから知り合った方の後押しもあり、乗ることで感じた感覚などを表現したいと思ったからです。バイク以外でも古く歴史のある物に惹かれるところがあり、その機械式特有の鉄感に魅力を感じています。』
愛車遍歴を教えてください!
『初めてのバイクが1953年式のTriumph 6T Thunderbirdでした。その後は1973年式のTriumph T140 REDLINE frame、1974年式のHONDA MT250 elsinore、1980年式のPiaggio Vespa P150Xです。今でもエルシノア以外の3台は所有しています。』
いやー、、、バイク選びのセンスが最高ですね!
今回の個展のテーマは?
『特段テーマをうたってはいませんが、敢えてつけるとしたら"和"です。"金屏風"をイメージした背景に国産旧車をモチーフにした作品を多く展示させて頂きました。これは新たな試みでしたが、納得のいく作品となりました。』
国産旧車に"和"のテイストを入れる事で、「歴史と匂い」をより強く感じられる気がします!
伝統的な浅間火山レーサーをモチーフとした作品「ASAMA RIDER」
展示作品について解説をお願いします
ナナハン(HONDA CB750FourK0)
『CB750と侍をモチーフとしました。国産バイクを描くにあたり、日本的な要素をストレートに表現したく、運転している時に湧き上がる野生的な感覚を侍に喩え、組み合わせました。金屏風を想起するように描くのが今まで描いたことがなかったため難しかったです。』
下からの角度が野性的な疾走感を演出しているように感じました!
『この作品のモデルである友人のナナハン実物をローアングルで何枚も写真を撮り、イメージを膨らませました笑』
Ghost Bird(TRIUMPH 6T BLACK BIRD)
『トライアンフに乗った布を被った女性をイメージして描きました。私自身が同じモデルのバイクを所有しているのですが、このバイクの造形的なかっこ良さと、それに乗る女性の狂気とエロスを表現しました。
「バイクの再現性」「狂気」「エロス」という3つの要素。どれかひとつを突出させない様にバランスをとる所が非常に難しかったです。』
加えて、ご自身の愛車だからこその難しさもあったかと思いますが、この作品、めちゃくちゃ好きです!
Twin Head(HD 41EL エンジン)
『ハーレーエンジンに二つの女性の顔がある、私の代表的な構図の作品です。ハーレーの特徴であるV型ツインエンジンのシリンダーヘッド部分に左右対称の女性の頭部を配置しています。シリーズとして描き続けている作品ですが、二つの顔を同じ様に描いたとしてもどうしても差異が生じてしまう。デジタルでのコピーアンドペーストとは違い、アナログ・手作業の魅力的な所だったり、女性の柔らかさ華やかさと無機質な鉄のエンジン。異なる性質のものが結びついたときに異なる要素がお互いを引き立て絵の中で補完し合うところが面白いところだと思います。』
アナログで描く作品。手がかかり、思い通りにならない部分がビンテージバイクと似ていますね!
この作品で難しかった部分はどこでしょうか?
『難しいところですか?やはり二つの顔を同じ様に描くことです。』
今後、実現したいことは?
『昨年より(現在も)中国で展示を行っています。
海外での展示を行うことは初めてでしたが、カルチャーの違いを感じることが出来、刺激を受けました。今後は海外での展示を増やすなど、国外にも視野を広げ、活動していきたいと思います。』
ビンテージバイクに宿る生命の可視化
"ボルト1本1本についたサビ等、このバイクが走ってきた歴史"
"時に機嫌が悪くなる…ビンテージバイクが持つ、その人間っぽさ"
油絵を通じてビンテージバイクに生命を吹き込こんでいる。いや、寧ろもともとビンテージバイクに宿っている生命を可視化している。素人ながら私は彼の作品を見てそう感じた。
今度は彼のアトリエにお邪魔し、作品作りの光景を見てみたい。
Instagram「みんなの単気筒」
https://www.instagram.com/minnano_tankito
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