
転勤や転職、進学や就職などで、引っ越しをする人が増えるシーズン到来。引っ越しする際は、新住所を管轄する市区町村の役所へ転入届などを提出しますが、バイクについても住所変更の手続きが必要です。バイクの場合、届け先や必要書類、手続き方法などは排気量によって異なるため、自分の愛車の住所変更にはどんなことが必要なのかは事前に知っておくと便利です。基本的な手続き方法を紹介します。
目次
住所変更は引っ越しから15日以内
引っ越しをする場合、新居へ荷物を運び込むだけでなく、電気や水道、ガスといったインフラの開通、市区町村の役所に転入手続きを行うなど、やらねばならないことが盛りだくさん。そのため、バイクの住所変更は、ついつい忘れがちです。
ところが、実は、バイクの住所変更手続きは、道路運送車両法により、引っ越しした後15日以内に行うように定められています。また、詳しくは、後述しますが、手続きをしないことでトラブルの原因になることも多いため、法律で定められた期間内に確実に手続きすることが必要です。
排気量で届ける場所が違う
では、実際に、どんな手続きや書類などが必要なのでしょう。まず、届け先ですが、バイクの場合、排気量によって以下のように違いがあります。 原付バイクの住所変更は新住所を管轄する市区町村の役所で行う
・125cc以下の原付一種・原付二種は新住所を管轄する「市区町村の役所」
・125ccを超えるバイクは新住所を管轄する国土交通省の「運輸支局」 軽二輪や小型二輪といった125cc超のバイクは、新住所を管轄する運輸支局で住所変更手続きを行う
なお、125ccを超えるバイクは、届け先はどちらも運輸支局ですが、軽二輪(125cc超~250cc以下)と小型二輪(250ccを超えるバイク)では、手続きや書類などが変わります。では、実際にどんなことが必要なのか、各排気量別に紹介していきます。
原付(125cc以下)の場合
まず、125cc以下の原付一種・原付二種の場合。これについては、主に以下の2つのケースが考えられ、それぞれ手続き方法が違います。
1,引っ越し先が旧居と同一の市区町村になる場合
2,引っ越し先が旧居と管轄が異なる市区町村の場合
まず、1の引っ越し先が旧居と同一の市区町村になる場合。例えば、東京都世田谷区から同じ東京都世田谷区の新居へ引っ越す場合などです。
このときは、役所に転居届を提出すれば自動的にバイクの住所変更も行われるケースが一般的。つまり、とくに、手続きは不要で、ナンバープレートなども従来のものを使うことになります。ただし、市区町村によっては別に手続きが必要な場合もありますので、詳しくは、引っ越し前に役所のホームページや電話で問い合わせを行う方が確実ですね。
一方、2の引っ越し先が旧居と管轄が異なる市区町村の場合。例えば、東京都世田谷区から千葉県松戸市に引っ越したり、同じ東京都でも練馬区から渋谷区に引っ越す場合などですね。
このケースでは、原則としては、以下の手続きが必要です。
・引っ越す前の旧居を管轄する市区町村の役所で廃車手続
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・引っ越し先の新居を管轄する市区町村の役所で登録手続き
この場合は、ナンバープレートが変わるため、まず、旧居を管轄する市区町村の役所で、以下の書類を用意して「バイクの廃車手続き」を行い、前のナンバープレートを返却します。
【引っ越し前に必要な書類(バイクの廃車手続き)】
・標識交付証明書
・ナンバープレート
・身分証明書
・印鑑
標識交付証明書は、引っ越し前の住所でナンバープレートを受け取るときにもらった書類で、紛失の場合は不要となります。また、身分証明書はマイナンバーカード、運転免許証などになります。
次に、引っ越し先の新居を管轄する市区町村の役所で登録手続き。主に以下のような書類などが必要になります。
【引っ越し先で必要な書類(バイクの登録手続き)】
・廃車申告受付書(廃車証明書)
・新住所を確認できる身分証明書(住民票など)
・印鑑
廃車申告受付書(廃車証明書)は、引っ越し前の市区町村の役所で廃車手続きをした際にもらう書類ですので、無くなさいよう大切に保管しておきましょう。そして、手続きが完了すると、新しいナンバープレートと標識交付証明書が交付されますので、新ナンバープレートを愛車に装着すれば完了です。
こうした手続きを行う場合、引っ越し前に一度ナンバープレートを返却してしまうため、引っ越し先に原付バイクを運転して移動できないことになります。
ただし、市区町村によっては、引っ越し先の役所で、旧ナンバープレートの返納と新ナンバープレートの発行を一度にやってもらえる場合もあります。そうしたケースでは、原付バイクに乗って役所に行き、手続きをすることも可能です。詳しくは引っ越し先を管轄する市区町村の役所に確認しましょう。
ちなみに、新住所でナンバープレートを交付してもらう場合、手数料も市区町村で異なり、無料のところや、200円程度が必要なところなどさまざまですので、これも引っ越し先となる各市区町村の役所に確認して下さい。
原付バイクの住所変更は、市区町村によっては引っ越し先の役所で、旧ナンバープレートの返納と新ナンバープレートの発行を一度にやってもらえる場合もある
軽二輪(125cc超~250cc以下)の場合
125ccを超えるバイクの場合は、前述の通り、運輸支局で手続きしますが、必要な書類などは、軽二輪(125cc超~250cc以下)と小型二輪(250cc超)の場合で異なります。まず、軽二輪の場合は以下を用意します。
【軽二輪の住所変更に必要な書類】
・軽自動車届出済証
・自賠責保険証明書
・新住所の住民票
・ナンバープレート(引越し先が旧居と違う市区町村の場合)
・印鑑
軽二輪(125cc超~250cc以下)の住所変更は運輸支局で行う(写真はホンダ・レブル250S E-クラッチ)
軽自動車届出済証は、車検証のようなもの。軽二輪は車検がないので届出済証という書類を使います。また、自賠責保険証明書は、もし期限切れになっている場合は住所変更の手続きができないため、新たに加入する必要があります。新住所の住民票は、発行から3ヶ月以内のものが必要です。
運輸支局に行ったら、「申請書」「軽自動車届出書」「軽自動車税申告書」といった書類を入手し必要事項を記入。持参した必要書類などとともに提出して手続きをおこないます。
なお、新住所と旧住所を管轄する運輸支局が同じ場合、ナンバープレートと軽自動車届出書は不要です。
手続が完了したら、ナンバーが変更になる場合は新規のナンバープレートが交付されます(ナンバープレート代は600円程度、管轄する運輸支局で変わるため要確認)。バイクに乗って陸運支局に行った場合は、手続きを済ませ、新しいナンバープレートを取り付ければ、そのままバイクで帰ることも可能となります。
小型二輪(250cc超)の場合
小型二輪(250ccを超えるバイク)の場合、必要な書類は以下の通りです。
【小型二輪の住所変更に必要な書類】
・自動車検査証
・自賠責保険証明書
・新住所の住民票
・ナンバープレート(引越し先が旧居と違う市区町村の場合)
・印鑑
小型二輪の住所変更には車検証も必要(写真はホンダ・ゴールドウイングツアー)
小型二輪の住所変更手続きは、軽二輪の場合と違って「自動車検査証(いわゆる車検証))」が必要になりますが、その他の手続き内容はほとんど同じです。自賠責保険証明書は、期限切れの場合は新たに加入しないと手続きができないとか、新住所の住民票は発行から3ヶ月以内のものが必要といった注意点も同じです。
運輸支局に行き、「申請書」「手数料納付書」「軽自動車税申告書」を入手し必要事項を記入。持参した必要書類などとともに提出して手続きをおこないます。
なお、新住所と旧住所を管轄する運輸支局が同じ場合、ナンバープレートは変更ないため提出も不要です。
手続が完了したら、ナンバーが変更になる場合は新しいナンバープレートが交付されます(ナンバープレート代はこの場合も600円程度。管轄する運輸支局により違うので要確認)。小型二輪の場合も、バイクに乗って運輸支局に行って手続きすることが可能です。ナンバーが変わる場合は、新しいナンバープレートを取り付ければ、そのまま帰ることができます。
住所変更をしないとトラブルも!
以上が、バイクの住所変更に関する主な手続きですが、もしやらないと、軽自動車税(種別割)の納税通知が届かなくなります。これは、毎年5月末ごろまで(一部地域では6月末ごろまで)に支払う義務のある地方税で、とくに、車検のある小型二輪では納税証明書がないと車検に通らないので注意しましょう。
バイクの住所変更を怠ると軽自動車税(種別割)の納税通知が届かなくなる
なお、2025年4月1日から、小型二輪も4輪の乗用車などのように、陸運支局などにおいて電子的に軽自動車税の納付確認ができるようになります。つまり、車検時に紙の納税証明書の提示が原則不要となるのです。ただし、バイクの住所変更を怠り、納税証明書が届かないと、納税したくてもできない(納税しない)ことになります。そもそも納税がないと、「電子的」にも納付確認を取れないため、車検を受けられないことに変わりはありませんので念のため。
ちなみに、住所変更の手続きは、とくに、軽二輪や小型二輪の場合、運輸支局が遠方にあり行きづらいとか、現場で書く書類などが専門的で分かりにくいという問題もあります。そのため、手続きを代行業者に依頼するのも手で、その場合は、委任状を用意する必要があります。なお、代行手数料は業者によってさまざまですが、だいたい5000円~1万5000円程度が目安だといわれています。
免許証などの住所変更も忘れずに
バイク関連では、ほかにも、自賠責保険やバイク保険(任意保険)も住所の変更が必要です。また、当然ながら運転免許の住所変更が必須です。
なお、2025年3月24日からは、マイナンバーカードと免許証が一体化する「マイナ免許証」も導入されます。取得は任意ですが、もし一体化すれば、新住所を管轄する市区町村の役所で住所変更の手続を行えるようになります。住所の転入届と同じタイミングで手続きできるので、ちょっとは便利になりそうですね。
2025年3月24日からは、マイナンバーカードと免許証が一体化する「マイナ免許証」も導入
ともあれ、意外に大切なバイクの住所変更。引っ越す際には忘れずに手続きして下さいね。
*写真はすべてイメージです
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