お気に入りの愛車でツーリングに出かけたくても、公道を走るのに不安が残るからなかなか遠出ができない。免許は取得したけども、愛車の購入を躊躇しているうちに時間が経ってしまった。若い時代に乗っていたものの、かなりのブランクがあり、ライダー復帰が不安。そのような初心者ライダーやリターンライダーに安心してバイクライフを楽しんでもらうため、二輪メーカー各社や業界団体は運転講習プログラムの運営に力を入れています。
今回は、経験豊富なインストラクターのサポートを受けながら安全に愉しくライディングの基本を学べる「ヤマハ バイクレッスン」をご紹介しましょう。自身の車両を持ち込んでのレッスンもあれば、バイクや装具を貸し出してくれるレッスンも揃っているなど、要望に合わせたメニューが選べるバイクレッスンの1日に密着しました。
目次
ヤマハ バイクレッスンの概要
レッスンの趣旨
「ヤマハ バイクレッスン」は、2019年に本格スタートした初心者ライダー向けのライディングレッスンです。「バイクの免許は持っているけど、公道を走るのが不安」というライダーに、安全にバイクを操るためのライディングスキルを身につけてもらい、安心してバイクライフを楽しんでもらおう、というのが目的です。そのために丁寧にレクチャーしたいとの想いから、インストラクターと細やかなやりとりができる参加者数で開催されています。今年(2024年)は年36回の開催が予定されていて、多くのライダーが応募しています。
レッスン内容の解説
「ヤマハ バイクレッスン」は大きく「車両貸出レッスン」と「車両持込レッスン」に分かれ、前者はヤマハから貸し出されるバイクで、後者は自身の愛車(ヤマハスポーツバイク正規取扱店にて購入されたバイク)で取り組むレッスンです。また、申込みにはヤマハファン向けカスタマーポータルサイト「My YAMAHA Motor Web」への登録が必要です。
「車両貸出レッスン」の中で、舗装路での講習となる「オンロードレッスン」と、未舗装路での講習となる「オフロードレッスン」に分けられ、さらにオンロードレッスンでは「レッスン&ツーリング」と「終日レッスン」という2つが用意されています。「レッスン&ツーリング」はクローズドエリアでの講習にショートツーリングプランが組まれたコースで、「終日レッスン」はその名のとおり1日クローズドエリア内での講習になります。今回は「レッスン&ツーリング」コースを取材しました。
貸し出されるもの
今回受講生にはヤマハ「トリッカー」が貸し出されました。軽量でコンパクトな車体なので、オンロード・オフロードいずれのシーンでも扱いやすく、ライディングレッスンには最適のバイクです。
ヘルメット、グローブ、各種プロテクター(胸部・背中・肘・膝)はレンタル可能です。ただ、普段使い慣れている用具を使うことをオススメします。貸出バイクでのレッスンとなると、慣れないバイクであることからもしもの転倒も考えられるので、レッスン時は必須の装着アイテムです。
レッスンレポート
14名の参加者と10人のインストラクターで始まったレッスンは、十分な時間をかけたストレッチと乗車するバイクの基本的な操作方法、万が一の転倒時の対処法と、1日安全にレッスンを楽しむためのブリーフィングが行われました。
クローズドエリアでのレッスン
5名ずつのグループ分けから始まったバイクレッスン、まずは「発進〜停止」です。1速での数メートルの発進〜停止を繰り返し行なったら、次は2速に上げて少し距離を伸ばしての発進〜停止を行います。停止位置が指定された「ブレーキング」の講習では、どのあたりからブレーキをかけ始めると安定した停止ができるか、インストラクターによる解説を受けながら実施しました。
基本的な動作に慣れてきたら、3速〜4速とシフトアップしての周回走行へと進みます。直線コースで一定のスピードを出した上で、曲がり角ではしっかりとブレーキングしながら2速までシフトダウンしコーナリングしていくライディングを、右回りと左回りの両方でこなしていきます。
教習所と違って、参加者のスキルレベルは個々で異なります。そのため各自の課題も異なるわけですが、ほぼマンツーマンと言っていいインストラクターが揃っているので、それぞれに合った指導がされています。ときにはインストラクターとのタンデム走行でコース取りやブレーキングのタイミングを学ぶなど、分かりやすい指導が行われるので参加者が着実にレベルアップするさまが見て取れます。
レッスンは休憩を挟みながら無理なく進んでいき、当初はたどたどしかった参加者も慣れてきたのか、基礎的なコーナリングやUターン、より実践的なストップ&ゴー、坂道発進もそつなくクリアできるようになりました。最後に用意されていたのは、周回走行からのタイトな8の字走行です。やや難易度が高いメニューながら、見事全員がしっかり走り切ることができました。
ショートツーリングで実践!
午後は公道に出てのライディングレッスンです。5名の参加者から成るグループの先頭と最後尾にインストラクターがつき、約12キロのショートツーリングに出かけます。
ツーリングに出発する前に、マスツーリング時に知っておきたい「千鳥(チドリ)走行」や右左折時の注意事項、他のクルマや歩行者への対応方法など、安全運転に必要なレクチャーが行われました。
交通量が多い市街地から山に向かう県道を走っていくと、緩やかなカーブが楽しめるのどかな景色が広がります。約20分のショートツーリングで、あっという間に目的地に到着します。記念撮影と小休止ののちに帰路に着きましたが、当初は緊張気味だった参加者も慣れとともにツーリングを楽しみました。
ツーリングからレッスン会場に戻り、最後にコースを一周したところで本日のカリキュラムがすべて終了となりました。レッスン後には、トリッカー以外のヤマハのバイクに試乗できる時間が設けられていて、試乗を楽しむ参加者もいました。
参加者に話を聞いた
取得後にレンタルバイクを利用したのですが、どうにも上手く乗れなかったんです。そこでこのレッスンのことを知り、今回参加しました。大型のスポーツバイクの購入を考えているんですが、今回乗ったトリッカーのようなオフロードバイクも楽しいですね」
インストラクターに話を聞いた
2019年からインストラクターを務めている城氏にお話を伺いました。
ライディングのスキルアップで重要なのは、経験を積み重ねることだと思います。このレッスンで学んだことが、日頃のバイクライフに実践できるよう考えながらメニューを考案しています。年間での開催数はもちろん、会場もできるだけ全国のさまざまな場所で開催できるよう今後も頑張っていきます」
基本を学び直してバイクを楽しむ
ライディングに対する不安を少しでも解消しようと、この日の「ヤマハ バイクレッスン」に参加した皆さんは当初こそ緊張気味でしたが、次第にリラックスしてきて楽しむ余裕が生まれ、レッスン後半には笑顔が見られるようになっていました。この日学べたことは、きっと日々のバイクライフにも活かされていることでしょう。
インストラクターも個々の乗り方をしっかり観察し、ダメ出しではなく「こうすれば良くなる」と積極的にアドバイスしていました。先輩であり同じライダーであるインストラクターの「もっとバイクを楽しんでほしい」という気持ちを感じた1日でした。公道走行時に起こりうる事例や対策方法も伝えており、参加者が当初抱いていた不安はかなり解消されたことでしょう。2024年は26回開催された「ヤマハ バイクレッスン」、今年はまもなく終わりを迎えますが、2025年も引き続き実施されるので、ご興味がある方は是非参加してみてください。
■ヤマハ バイクレッスン https://www.yamaha-motor.co.jp/mc/yra/ 【画像】バイクも装具も貸し出し可能な初心者向けスクール「ヤマハ バイクレッスン」に密着! (20枚)情報提供元 [ MOTO INFO ]
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