バイクやクルマの運転中は、信号や標識、前の車両との間隔、歩行者や自転車の動きなど、いろんな情報を目で捉え、判断する必要がありますよね。そのため、運転免許の取得時や更新時に必須となっているのが視力検査。とくに、スマホやパソコンと向き合う時間が多い現代人にとって、視力の低下は身近な問題ですが、実際に、運転に必要とされる視力はどれくらいなのでしょうか。また、検査に不合格になってしまったら、どんな対処法があるのでしょうか。

運転に必要な視力の基準値

運転免許の取得や更新に必要な視力は、実は免許の種類によって違っています。バイクの場合は、大型二輪免許や普通二輪免許は同じですが、原付免許とは基準が異なり、以下のように決められています。

【大型二輪免許・普通二輪免許】
左右それぞれの視力が0.3以上、かつ両眼の視力が0.7以上あること。
片方の視力が0.3に達しない場合は、よく見える方の視力が0.7以上かつ視野が左右150度以上あること。

【原付免許】
両眼の視力が0.5以上あること。
片方の眼が見えない場合は、見える方の視力が0.5以上かつ視野が左右150度以上あること。

なお、大型二輪免許や普通二輪免許の視力基準は、一般的なクルマの免許である普通自動車免許(普通第一種免許)などと同じ。また、原付免許の方は、小型特殊免許と同じになっています。

ただし、普通自動車免許の適正検査には、聴力検査もあります。「両耳の聴力が10メートルの距離で、90デシベルの警音器の音が聞こえること(補聴器の使用も可)」といった基準を満たす必要もあります。対して、大型自動二輪免許や普通二輪免許、原付免許には、聴力の基準はありません。

そのため、バイク免許の場合、運転に必要なのは、一定基準の視力。それに加え、信号機の色(赤色・青色・黄色)が識別できるかどうかの試験に合格すればいいことになっています。

視力測定の方法や注意点

バイク免許の場合、視力の測定で実際に行われるのは、「ランドルト環検査」という方法です。これは、アルファベットの「C」のようなマークを見て、切れ目がどの方向を向いているのか答えるオーソドックスなやり方です。

なお、試験は、メガネやコンタクトレンズを使った視力矯正の状態で受けても大丈夫。試験を受ける前に申告すれば受験可能で、前述した基準値を満たせば合格します。

ただし、その場合、免許証の条件欄に「眼鏡等」と記載されることになります。そして、免許証にこの記載がある場合、当然ながら、運転するときに必ずメガネやコンタクトレンズを装着しなくてはなりません。

なお、もし、「眼鏡等」の条件付き免許証なのに、メガネやコンタクトレンズを付けずに裸眼で運転すると、道路交通法の第91条違反となります。捕まれば、「免許条件」違反となり、

・反則点数:2点
・反則金:原付5000円、2輪車6000円

を課せられますので、注意しましょう(クルマの場合、反則点数2点、反則金は普通車7000円、大型車9000円)。

また、レーシック手術などを受けて視力が回復した人でも、そのままメガネやコンタクトレンズなしで運転してしまうのは違反。免許証の所在地を管轄する警察や免許センターなどで、条件解除申請をし、裸眼で運転できるよう手続きをしなければなりません。

視力試験に不合格になると?

では、たとえば、免許取得時から視力が落ちてしまい、次の免許更新時に視力検査で不合格となってまったら、どうすればいいのでしょうか。

そのままでは免許の更新ができなくなるため、一度検査を受けてダメだった場合は、時間を置いてからもう一度検査を受けるか、後日再検査を受けるなどが必要となります。

また、再検査を後日受ける場合、事前にメガネやコンタクトレンズを作ってから再検査に望むことも可能。その場合、もし合格すると、先述した「眼鏡等」の条件付き免許証が発行されます。

ただし、注意したいのが「更新期間」。一般的に、免許の更新は、更新年の誕生日から前後1か月間、合計2か月となっていますが、もし期間内に合格しなかった場合は、免許が失効することもあります。なので、たとえば、一度検査に落ち、再検査前に新規のメガネやコンタクトレンズが更新期間内に出来上がらないと、失効の手続きも行うことになるなど、ちょっとやっかいなことになる可能性もあります。

そのため、最近目が見えにくかったり疲れやすかったりする人は、できるだけ免許の更新前に眼科やメガネ屋さんなどで視力検査を受けた方がいいでしょう。事前の検査で、もし、視力の基準を満たしていない場合、メガネやコンタクトレンズをあらかじめ作っておけば、実際に更新する際にも余裕が持てますからね。

ともあれ、視力はバイクやクルマの運転に大切なもの。不測の事故を防ぐためにも、更新時だけでなく、普段からきちんと運転中に周囲が見えているかを認識しておき、必要であれば、メガネやコンタクトレンズで矯正するなど、早め早めの対策を行うことが大切です。

*写真はすべてイメージです

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