筆者は今年の8月から原付一種のスクーターに乗り換えた。自分が一種ライダーになったからか、走っていてたくさんの原付一種を見かけることに気づいた。自宅マンションにも原付一種スクーターが並んでいる。バイク離れは本当なのだろうか。そこで気になって原付一種を含めバイクの販売台数と保有台数を調べ、二輪市場が現在どのようになっているのか見てみた。
50年間で見る販売台数
集計データは販売台数は1980年から2022年。保有台数は1970年から2022年。
また、2010年までは5年ごとの集計。その後2013年。2014年から2022年までは毎年のデータになっている。
生産台数には輸出用車両なども含まれているので、今回は販売台数と保有台数のみを見てみることにした。
車両区分の定義は、
※本投稿で使用した集計データは(一般社団法人 日本自動車工業会)が発表していたものを使用した。原付第一種=50cc以下
原付第二種=51cc〜125cc
軽二輪車=125cc〜250cc
小型二輪車=251cc〜
50年間の販売台数の推移、まずは注目したいのは1980年の全車両の販売台数である。まさにバイクブームの時、なんと、総数235万台が売り上げられていた。その後は減少を続け2010年には総数で42万台の販売となった。実にピークの1980年の販売台数に対し17%になっている。バイク経済の落ち込みはここに見られるだろう。
グラフを見ると販売台数は、原付第一種が圧倒的に数を占めていた。なお、原付一種の販売においてはピークの1980年の198万台から、2010年には23万台と数を減らし全盛期の11%程度しか販売できていない。
このグラフでは他車両区分は大きな動きは見られない。
50年間で見る保有台数
一方、保有台数について見ていくと、ピークの1985年にはなんと、全体で1,818万台が保有されていた。その後は減少を続け、2022年には1,031万台となりピーク時の57%となった。
車両区分別に見ると、圧倒的に原付第一種が多いことが見られ、1985年には1460万台が保有されていた。しかし、その年をピークに2022年の448万台まで増加することなく減少を続け、ピーク時の3割に減少した。
50年の販売台数と保有台数を見る限り、バイク離れは、大きく言えば原付一種離れを意味していることが証明できるのではないだろうか。
他車両区分では原付第二種が1970年では原付第一種よりも多い443万台を売り上げていたが、その後減少を続け1990年には151万台と66%減となった。
軽二輪、小型二輪車においては若干ながら保有台数を増やしてきたように見れる。
10年間で見る販売台数
直近10年間(2013年〜2022年)の動きである。
まずは販売台数になるが、全体で大きく見れば減少傾向はあったもの、近年はコロナ流行の影響と言われているように、販売を増やした。
コロナが流行り始めたのが2019年12月なのでバイク市場が遅れて反応し、実際にその通りにはなっているのだろう。
ここでもやはり原付第一種の台数が他車両区分を引き離しトップにはなっているものの、近年では他車両区分も数を増やし、差が縮まってきている。
原付一種は2013年には24万台売り上げたが、2022年には13万台に止まり、46%減となっている。
原付第二種は2021年には13万台を売り上げ、原付一種とほぼ並んだ。
また、小型二輪車においては着実に販売台数を増やし、2013年の7万台から2022年には10万台となり、42%増となった。
これらはバイク業界にとっては明るいニュースとなるのではないだろうか。
10年間で見る保有台数
一方、直近10年での保有台数を見ていくと、全体では2013年の1182万台から2022年の1031万台へと数を減らし13%減となる。
原付第一種離れはここでも証明され、10年間で減少を続け、2022年には448万台となり666万台の2013年と比較し33%数を減らしている。
なお、原付一種以外の車両区分では保有台数ではほぼ横ばいで、直近では200万台前後保有されている。
だがしかし、減少はしているものの、それでも筆者は多く感じてしまうのである。複数台を保有しているユーザーもいるとは思うが、12人に一人はバイクを所有し、28人程度に一人は原付一種を保有しているという数になるからだ。
まとめ
これらの統計から見ると、確かに40〜50年単位の視点で見ると、バイク離れは著しい。バイクに関して景気が悪くなったと言われることは正しいだろう。しかし、この10年単位で見てみると、保有台数は減っているものの、まだまだバイクの販売台数には明るい兆しもあり、バイク経済も上向く可能性はあるのであるのではないかと筆者は考える。巷では第二次バイクブーム到来とも言われている。実際に魅力的な車両の市場への投入なども盛んであるし、さまざまな技術や機能を搭載したりと技術も進んでいる。
また、長年、バイクの世界への入り口として、通勤の足として君臨していた原付第一種。車両価格が低いことを抜きにしても、原付一種離れが市場に与えている影響は少なくないだろう。その原付一種離れが、排出ガス規制への対応が難しくなったことと、ニーズが減ったためにラインアップが減ったことも無関係ではないだろう。売れないから作らないと言われるが、作らないから売れないということもあるのではないだろうか。125ccへの出力規制で原付第一種相当の車両を販売することが間近に控えているが、これに市場がどのように反応するのか筆者は気になるところではある。
また今回の調査からは原付一種を離れたユーザーがどこに向かったかまでは見れない。上位2輪車両に乗り換えたのか、または4輪への乗り換えたのか、または、ただバイクを離れただけなのか。
そして、忘れていけないのは、バイク業界は車両販売だけで生み出される経済ではない。車両を構成する部品・アフターパーツ・ヘルメット・ウェアなど様々な業態の努力のもと成り立っている。また、燃料・飲食・税金など様々に経済に波及し効果を生み出す。これからもバイク好き・バイク乗りの皆様と共にバイク業界を盛り上げ、日本経済を支えていきたい次第である。
ちなみに筆者であるが、原付一種スクーターの法的制限が色々と厳しいとは思うのだがトコトコ(ノロノロ)走るのが好きなタイプなので、次にバイクに乗り換えるまでは現在の愛車(ヤマハVOX)に乗り続けようと思う。
ソース:https://www.jama.or.jp/statistics/facts/two_wheeled/index.html
【原付一種ライダーから見た販売台数と保有台数】二輪離れの要因は原付一種離れにあったの画像ギャラリーへ (7枚)この記事にいいねする