バイクの分け方で、ややこしいのが法律上の区分。例えば、125ccのバイクは、原付二種といわれる一方、普通二輪の仲間となることもあります。また、250ccのバイクは軽二輪ですが、ホンダ・ゴールドウイングツアーのような1800cc超の大排気量バイクでも小型二輪となるなど、意味をよく理解しないと区別がとても分かりづらいのです。
理由は、バイクに関連する主な法律となる道路交通法と道路運送車両法で、バイクの区分方法が違うから。そこで、ここでは、それぞれの法律で、バイクをどう区分しているのかを紹介します。
道路交通法は車両区分と免許の種類を規定
まずは道路交通法に定められたバイクの区分について。道路交通法は、ご存じの通り、公道でバイクやクルマを運転するためのルールなどに関連した法律です。主に、バイクを排気量別に分けた車両区分を設け、通行できる道路や方法の違いなどを定めています。また、運転できる免許区分についても、この法律が関係してきます。
なお、道路交通法で定めているバイクの車両区分は、以下の3つです。
【道路交通法で定めるバイクの車両区分】
・50cc以下:原動機付自転車(原付)
・50cc超〜400cc以下:普通自動二輪車(普通二輪)
・401cc以上:大型自動二輪車(大型二輪)
ここで、注意したいのが、後述する道路運送車両法上では原付二種となる50cc超〜125cc以下のバイク。道路交通法上では、250ccや400ccのバイクと同じ普通二輪に入っています。
そのため、50ccの原付バイクでは、速度制限のない道路での最高速度30km/h、2段階右折や2人乗り禁止といった制限がある一方、110ccや125ccなどのバイクにはありません。高速道路こそ50ccバイクと同じく走れませんが、一般道では、速度制限のない道路の最高速度60km/h、2段階右折は不要、2人乗りもOKと、250ccや400ccのバイクと同等の扱いとなっています。
また、道路交通法上では、運転できる免許の種類も、排気量別に以下のように決まっています。
【道路交通法上で定めるバイク免許の種類】
・50cc以下:原動機付自転車免許(原付免許)
・50cc超〜125cc以下:小型限定普通自動二輪車免許(小型限定普通二輪免許・小型AT限定普通二輪免許)
・125cc超〜400cc以下:普通自動二輪車免許(普通二輪免許・AT限定普通二輪免許)
・400cc超:大型自動二輪車免許(大型二輪免許・AT限定大型二輪免許)
バイクの運転免許が、上記のように7タイプあるのも、道路交通法で定められているからです。ちなみに、50cc以下のバイクは、4輪車の普通自動車免許や、上位の二輪免許があれば運転できることも、同様に道路交通法が関わっているといえます。
新基準原付や電動バイクの免許は?
なお、ほかにも、警察庁が現在、2025年4月頃の導入を目指している「新基準原付」というものもあります。
これは、排気量125cc以下のバイクについて、最高出力4.0kw(5.4PS)以下に制御するなどで、現行で50cc以下と定められている原付バイクと同じ車両区分にするというものです。
導入の背景には、現在の50cc以下の原付バイクでは、2025年(令和7年)11月から施行予定の新しい排気ガス規制に対応させることが技術や費用面で難しいことが挙げられます。
つまり、50cc以下のバイクは、今後、新規モデルの販売ができなくなる可能性が高いため、その代わりとして、新排ガス規制に対応しやすい125cc以下のバイクに一定の基準を設け、原付一種と同じ扱いにするということです。
この新基準原付について、詳細はまだ発表されていませんが、原付バイクと同じ扱いとなるということは、おそらく原付免許で運転可能となるでしょう。ただし、最高速度30km/h以下や2段階右折など、原付バイクと同じ道交法上の制限を受けることになることも予想できます。
また、最近ラインアップが拡充してきた電動バイクの場合、エンジンは搭載されていませんが、走行用モーターの定格出力により、運転できる免許は以下の様に分かれています。
【電動バイクの免許種類】
・定格出力0.6kW未満:原付免許
・定格出力0.6〜1kW:小型限定普通自動二輪車免許(小型限定普通二輪免許・小型AT限定普通二輪免許)
・定格出力20kW未満:普通自動二輪車免許(普通二輪免許・AT限定普通二輪免許)
・定格出力20kW以上:大型自動二輪車免許(大型二輪免許・AT限定大型二輪免許)
なお、定格出力0.6kW未満の電動バイクは、4輪の普通自動車免許や原付免許の上位となる二輪免許でも運転可能なのは、50cc以下のバイクと同様です。
車検や税金に関連する道路運送車両法
一方、道路運送車両法によるバイクの区分には、以下の4通りがあります。
【道路運送車両法で定めるバイクの車両区分】
・50cc以下:第一種原動機付自転車(原付一種)
・50cc超〜125cc以下:第二種原動機付自転車(原付二種)
・125cc超〜250cc以下:二輪の軽自動車(軽二輪)
・250cc超:二輪の小型自動車(小型二輪)
こちらも、排気量によって分かれていますが、道路交通法と区分方法が違うのが分かりますよね。
また、電動バイクの場合は、以下の通りとなります。
【道路運送車両法で定める電動バイクの区分】
・定格出力0.6kW未満:第一種原動機付自転車(原付一種)
・0.6kW超〜1.0kW以下:第二種原動機付自転車(原付二種)
・1.0kW超:二輪の軽自動車(軽二輪)
道路運送車両法は、公道でバイクやクルマを走らせるために必要な安全装備などを定めています。そのため、例えば、車検が関連してきます。
道路運送車両法上で、車検が必要なのは250cc超の小型二輪。対して、250cc以下のバイクは車検不要。また、電動バイクは、今のところは、定格出力に関係なく、すべてが車検不要となっています。
また、税金関連に関しても、例えば、毎年支払う軽自動車税種別割(以下、軽自動車税)は、道路運送車両法上の車両区分により、以下のように税額が分かれています。
【軽自動車税の税額】
・原付一種(50cc以下):2000円/1年
・原付二種(50cc超〜90cc以下):2000円/1年
・原付二種(90cc超〜125cc以下):2400円/1年
・軽二輪(125cc超〜250cc以下):3600円/1年
・小型二輪(250cc超):6000円/1年
さらに、自動車重量税については、125cc以下は課税されませんが、軽二輪は取得時に4900円、小型二輪は車検毎に課税され、最初の3年間5700円、以後2年毎に3800円などの税額なども決まっています。
バイクライフと密接に関連する法規上のバイク区分
このように、同じ排気量のバイクでも、道路交通法と道路運送車両法では呼び方が違います。そのため、前述の通り、ややこしくなるのです。でも、道路交通法は交通ルールや取締りに関連するし、道路運送車両法は車検、税金などとの関わりが深い法律です。
いずれが定める区分も、バイクライフに関連する重要なものだけに、自分の愛車が各法律上で、どの区分に該当し、どんな決まりがあるのかは知っておきたいですね。
もし、知らなかったり、うっかり忘れたりしていると、例えば、知らずに走行禁止の道路を走ってしまい、違反キップを切られるといったことも起こり得ます。くれぐれも、痛い目に遭わないように、今一度おさらいをしておくといいですね。
*写真はすべてイメージです
1800ccなのに「小型二輪」、125ccでも「原付」。法律でバイクの呼び方がややこしいワケ ギャラリーへ (6枚)この記事にいいねする