最近人気の「原付二種」(50cc超〜125cc以下)と「軽二輪」(125cc超〜250cc以下)。いずれも、初心者からベテランライダーまで幅広い層に支持を受けているほか、街乗りからツーリングまで、さまざまな用途に使われています。
そんな原付二種と軽二輪ですが、たとえば運転できる免許や交通ルール、税金などには違いもあります。そこで、ここでは、主にバイク初心者などに向けて、改めてどんな違いがあるのかを紹介します。
目次
排気量・運転免許・ナンバーの違い
まずは、それぞれの排気量や運転できる免許、ナンバーなどの違いを紹介します。
軽二輪は普通二輪免許が必要
軽二輪は、道路交通法上では普通自動二輪車のカテゴリーに属し、エンジンの排気量が125cc超〜250cc以下のバイクを意味します。
運転するには、普通二輪免許(スクーターなどAT車の場合はAT限定普通二輪免許)以上が必要で、取得できる年齢は満16歳以上です。
ちなみに、普通二輪免許を取得すれば、400ccまでのバイクを運転できますが、250ccまでなら車検は不用。対して、より排気量の大きい250cc超〜400cc以下のバイクは車検が必要となります。
ナンバーは白地で、250cc超の車検があるバイクではプレートの周囲に緑の縁があるのに対し、軽二輪のナンバーにはありません。
原付二種は小型限定普通二輪免許でも運転OK
一方、原付二種は、原動機付自転車のカテゴリーに属し、エンジンの排気量が50cc超〜125cc以下のバイクです。正式には「第二種原動機付自転車」と呼ばれ、50cc以下の「原付一種(第一種原動機付自転車)」と区別されています。
運転するには、小型限定普通二輪免許(スクーターなどAT車の場合はAT小型限定普通二輪免許)以上が必要。取得できる年齢は、こちらも満16歳以上です。
小型限定普通二輪免許やAT小型限定普通二輪免許は、普通二輪免許やAT限定普通二輪免許よりも取得は比較的簡単。ただし、50cc以下のバイクが、学科試験のみやクルマの普通免許に付帯される原付免許(原動機付自転車免許)で運転できるのとは違い、運転免許試験場で適性検査・学科試験・技能試験などに合格する必要があります(公安委員会認定の教習所を受講する場合は技能試験が免除)。
なお、原付二種も車検は不用。ナンバーは50cc超〜90cc以下が黄色、90cc超〜125cc以下がピンク色になります。
交通ルールの違い
次に、公道を走る場合の交通ルールなどの違いについて。原付二種と軽二輪では、主に以下のような特徴があります。
・「2段階右折」:どちらも不用
・「2人乗り」:(一般道なら)どちらも可
・「一般道の法定速度」:どちらも60km/h
・「高速道路・自動車専用道路の走行」:原付二種は不可、軽二輪はOK
50cc以下の原付バイクでは二車線以上ある道路などを右折する場合に2段階右折をする必要がありますが、同じ原付でも原付二種は不用。当然、軽二輪も必要ありません。
また、一般道ではどちらも2人乗りができ、速度制限のない道路での法定速度はいずれも60km/h。大きな違いは、高速道路や自動車専用道路の走行で、軽二輪は可能ですが、原付二種は通行できないことになっています。
特に、原付二種のライダーが気をつけたいのが自動車専用道路。高速道路は一般道とはっきり分離され、インターチェンジから出入りするため分かりやすいですが、自動車専用道路は一般道の走行中に突然「自動車専用」の標識が現れるケースもあります。
ついうっかり入ってしまたところを警察に見つかり、違反キップを切られることもあるので注意しましょう。
自賠責保険料や税金の違い
税金や自賠責保険料など、お金関連の違いは、主に以下の通りです(いずれも2024年9月現在)。
【自動車重量税】
・「軽二輪」:届出時に4900円
・「原付二種」:不用
【軽自動車税(種別割)】
・「軽二輪」3600円/1年
・「原付二種」:50cc超〜90cc以下で2000円/1年、90cc超〜125cc以下で2400円/1年
【自賠責保険】
・「軽二輪」:7100円/1年
・「原付二種」:6910円/1年
自動車重量税は、軽二輪の場合、バイクを取得した際にのみ課税されますが、原付二種は不要(250cc超の車検があるバイクは、取得時だけでなく車検毎に課税)。
軽自動車税種別割は、例年4月1日時点の所有者に課せられる税金で、軽二輪と原付二種も毎年支払う義務があります。
さらに、自賠責保険も加入は義務付けされており、1年間の一括払いの場合でそれぞれ上記の金額が必要です。
原付二種と軽二輪は、いずれも車検がなく税金も比較的安いため、維持費的にリーズナブルなことも魅力ですが、こうやって比較すると、原付二種の方がやや安いですね。
その分、軽二輪は、前述の通り、高速道路や自動車専用道路も走行できるため、ツーリングなどで、ちょっとした遠出をする際には便利です。
ただし、原付二種バイクでも、最近は一般道をノンビリと走って遠出するライダーも増えています。また、通勤や通学、買い物など、街乗りメインの普段使いであれば、軽二輪も楽ですが、より車体がコンパクトな原付二種の方が使いやすいともいえます。
ラインアップや車体価格の違い
このように原付二種と軽二輪では、維持費や交通ルールの面で、同じ点と違う点があます。
車体価格でも、国内4メーカーの場合で、原付二種は30万円台〜50万円台が多い一方、軽二輪は30万円台〜90万円台まであり、意外と高価なモデルもあります。
そう考えると、原付二種の方が、乗り出すまでの初期費用が安いため、よりエントリーモデル的な位置付けだといえるでしょう。
ラインアップ的には、どちらもスクーターやネイキッドはありますが、フルカウルのスーパースポーツに関しては、軽二輪の方が充実。ホンダ「CBR250RR」やヤマハ「YZF-R25/R15」、カワサキ「ニンジャZX-25R」やスズキ「GSX250R」など、各社が250ccモデルを揃えています。
一方、原付二種には「スーパーカブ110」「スーパーカブC125」「クロスカブ110」「CT125・ハンターカブ」「ダックス125」「モンキー125」など、昭和レトロの雰囲気を持つモデルも豊富で、こちらも近年人気です。
これらを総合すると、原付二種と軽二輪のどちらを選ぶかは、予算や維持費などはもちろんですが、自分がどういった使い方をするのかや、どんなモデルに乗りたいかも重要となるようですね。
110ccのバイクなどには新基準原付も出てくる
ちなみに、警察庁では、総排気量125cc以下のバイクについて、最高出力を4kW以下に制御するなど一定条件をクリアしたモデルを「新基準原付」として導入する方針で、2025年4月1日に施行される予定です。
新基準原付は、基本的に、現行の原付一種バイクと同じ扱いになる予定。そのため、同じ110ccなどのバイクでも、たとえば、従来の原付二種モデルは2段階右折は不要だけれど、新基準原付モデルでは必要など、交通ルールなどに違いも出てきそうです。
ほかにも、おそらく、税金や保険料など、維持費面でも異なる面が出てきそうですが、そのあたりがどうなるのかも、今後注目ですね。
*写真はイメージです
「原付二種」と「軽二輪」の違いは? 免許や交通ルール、税金などを初心者向けに比較 ギャラリーへ (9枚)この記事にいいねする