人力(キックスタート)でエンジンをかけるのは、それなりに大変……

スポーツバイクのレバーと言えば、右にフロントブレーキ、左にクラッチの2本のレバーが一般的。ところが昨年ファイナルモデルとなったヤマハのSR400や、イギリスやイタリアの旧車のハンドルには、それ以外に「デコンプレバー」と呼ばれる短いレバーが付いている。車両オーナーならご存じだろうが、このレバー、いったい何をするモノなのか? 答えは「エンジンを始動するのに必要な装備」……なのだが、そう言われてもよくわからないので順を追って解説していこう。

少しさかのぼって、現在主流の4ストロークエンジンが動く仕組みから少々おさらいをする。

まずインジェクションのスロットル(以前はキャブレター)で、ガソリンと空気を混ぜた混合気が作られる。

1.エンジンのピストンが下がり、かつ吸気バルブが開くことで混合気をシリンダー内に吸い込む(吸気行程)。
2.吸気・排気バルブともに閉じた状態でピストンが上昇し、混合気を圧縮(圧縮行程)。
3.点火プラグから火花が飛び、圧縮された混合気が燃焼・爆発(爆発行程)。
4.爆発力でピストンが押し下げられクランクシャフトを回して動力を発生。同時に排気バルブが開いて燃焼後の混合気(排気ガス)を排出(排気行程)。

この4つの行程を繰り返すことでエンジンは回り続ける。

そしてエンジンを始動するには、電気モーター(セルフスターター)もしくは人力(キックスタ-ター)によってクランクシャフトを回すことで、前述した行程をスタートすれば良いわけだ。とはいえ「2」の圧縮行程は、吸い込んだ混合気を10分の1くらいまで押し縮める必要があるので大きな力が必要となる。小排気量ならともかく、中排気量以上や高圧縮のスポーツエンジンだと、人力(キックスターター)で勢いよく踏み下ろすのは至難の業。すでに混合気を吸い込んでいたり、ピストンの位置によっては、キックアームに全体重を載せてもびくともしないことも珍しくない。

※この記事は2022/2/3に掲載された記事です。

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情報提供元 [ RIDE HI ]

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