
バイクを運転する時に、どんなことを考えながら走行するべきかを考えていく「バイクサバイバル術」。シリーズ第3回目となる今回は、「アンダーパス」、「踏切」、「工事区間」といった、通常とは少し異なるシチュエーションを通過する時について考えていく。
アンダーパスを通過する時に注意したいこと
交差する道路や線路と交差する場所にあるアンダーパスは、踏切や信号で停止することなく通過できるの便利な立体交差だ。このアンダーパスは「アンダー」なのでこちら側が相手の道路や線路の下をくぐる形になっているのだが、通過する場合にいくつか気をつけておきたいことがある。まず、入り口部分だが、通行ができる状態かどうかを確認してから侵入する必要がある。最近のゲリラ豪雨などで冠水することもあるため、場所によっては冠水を警告する表示板が設けられていることもある。そうした表示板が無い場所は自分で警戒するしか無いので、大雨の際や大雨の後などに通過する場合は注意しながら侵入するべきだろう。
また、アンダーパスの先の状態を把握する必要もある。アンダーパスを出る際は、坂の角度によっては先の交通状況が見えないことも多く、抜けた先に信号があったり渋滞していることもある。信号がある場合は先の信号の状況を知らせる予告信号灯が設けられていることもあり、この予告信号灯を確認しておくことで追突事故などを防ぐことができる。ただ、この予告信号灯には表示の仕方が異なるものが混在しており、慣れない場所では注意が必要だ。
アンダーパスの入り口部分。このアンダーパスには無いが、冠水を警告する表示板が設置されていることもあるので、侵入前に確認しておきたい。
アンダーパスは傾斜が強く、下りはスピード超過をしやすいポイントでもある。スピードメーターも確認しつつ、安全な走行を心がけたい。
アンダーパスの底の部分は暗くなっていることが多いので、スモークシールドを使っていたりすると視界が奪われることもある。また、冠水を含む路面状況に注意すること。
アンダーパスの登りに入った状態だが、この場合に何に注意すべきだろう?
予告信号灯が確認できる。この予告信号灯はこの先に信号があることを意味し、その信号の状態を確認することができる。
前方の信号は青だ。つまり、このアンダーパスに設置されている予告信号灯は、前方の信号が青の場合は消えた状態になるタイプだ。
踏切を通過する時に注意したいこと
線路と交差する道路のアンダーパス化やオーバーパス化などによって、踏切の数は減ってきている。しかし、無くなった訳では無いので、公道を走行していれば通過しなければならない場面は当然出てくる。踏切の手前で一時停止して左右を確認し、渡り切った先に自分が入るスペースがあることを確認してから踏切内に侵入するというのが基本だ。この時重要なのは「渡り切った先に自分が入るスペースがある」ことであり、踏切を渡った先に信号があり踏切内で止まってしまうようなこともありうる。
その逆とも言えるシチュエーションとして、踏切の手前に信号があり、踏切が閉まったことによって交差点内で止まってしまうということもある。交差点内に侵入する前に、交差点を通過した先に自分が入るスペースがあることを確認しておきたい。また、踏切内を通過する場合は、歩行者や自転車との距離が近くなることもあるので注意が必要だ。
一般的な踏切の通過シーンだ。この時、直前の車両の動きだけではなく、その先の車両の動きや信号などにも注意を払う。
一時停止をして左右を確認したら、発進する前には踏切を渡った先に自分が入るスペースがあることを必ず確認する。
今回は歩行者や自転車はいなかったが、踏切内は人と車両が通る場所を分ける路側帯のような線が存在しないことが多い。歩行者や自転車の動きに注意が必要だ。
交差点の先が踏切になっている。この場面で何に注意するべきだろうか?
踏切はまだ降りていないが、信号機が赤になり、右の矢印が点いている。当然警報も鳴っており、右側から列車が来ることがわかる。
交差点に侵入したとたん、交差点の信号が黄色に変わり、そのままの位置から動けないまま赤へと変わってしまった。
交差点の信号が赤に変わり、踏切も閉まってしまったため交差点内に取り残されてしまった。どうすべきだろう?
この場合、通行の邪魔になってしまうので前方の車両の左側にスペースがあればそこに逃げるのが正解だろう。ただし、追い抜くとトラブルになることもあるので、踏切が開いたら前方の車両を先に行かせるべきだ。
工事区間を通過する時に注意したいこと
工事区間の横を通過する場合は、速度を落とすことが重要だ。特に歩道が規制されて、車道の端をコーンで仕切って人を通しているような部分は気をつけて通過したい。通常ガードレールが歩行者を保護しているが、コーンには歩行者を保護する機能は全く無い。また、歩行者との距離も近くなるため。細心の注意を払いながら通過する必要がある。
複数車線のある幹線道路などでは、工事によって車線が規制されていることもある。こうした車線が減少する場合は、周囲の車両の動きに注意が必要だ。バイクは車体が小さいためか、無理に割り込まれることも多い。前方に車線規制があることを確認したら、なるべく早く車線変更し、ミラーを使うなどして規制される側の車線を後方から走ってくる車両の動きにも注意したい。また、工事区間はコーンで仕切られているが、かなり近い位置で作業をしている場合もあるので、速度には注意が必要だ。
工事区間を抜け、車線が増える場合に注意したいのは車線変更のタイミングだ。工事区間を抜けたとたんに加速しながら車線変更をしてくるような車両もいるので、後方をしっかり確認してから車線変更を行なう必要がある。車線変更したいのであれば、工事区間を抜ける前からウインカーを点けて後方の車両に車線変更の意思を伝えておくのも良いだろう。
歩道が工事中のため。車道の一部がコーンで区切られて歩行者用の通路になっている。
このような仮設の歩行者用通路の横を走行する場合、何に気をつけるべきだろう?
仮設の歩行者用通路の横を通り過ぎる際は、あるコーンとの程度距離をあけることと、スピードを落とすことが重要。コーンはガードレールの代わりにはならないので、歩行者の安全を第一に考えた走行をするべきだろう。
前方で工事による車線規制が行なわれており、右側の車線が無くなる。
右後方から車両が来ていないかを確認する。速度を上げてきて無理に前に入ってくるような車両もいるので、危険を回避するためにもそうした車両はこちらが減速して入れてしまう方がいい。
コーンに近い場所で作業している人が確認できる。コーンからはある程度距離をあけ、速度にも注意して走行すること。
今回は「アンダーパス」、「踏切」、「工事現場」という3つのシチュエーションについて考えてみたが、それ以外にも気をつけたいシチュエーションはたくさんある。そうした場所を通過する際に、どんなことを自分が考えているか意識してみてほしい。
【バイクサバイバル術】第3回:アンダーパスや踏切、工事区間を通過する際に何に注意するか?画像ギャラリー (24枚)この記事にいいねする