写真:T.Pro.Innovation

サーキット走行会といえばベストタイムを更新したい、全開で走りたい。などの目的を叶えるために参加するのではないだろうか。今回はちょっと変わった走行会に参加してきたので、その模様をお伝えしたい。

T.Proサーキット走行会

2024/07/31(水)
筑波サーキットコース1000
主催:ティー・プロ・イノベーション
最高気温:36度 最高路面温度:60度

この走行会の主催者T.Pro.Innovationは『日本郵便Honda Dream』『日本郵便docomo business』として全日本ロードレース選手権の舞台でレースに参戦しているほか、全国の日本郵便の配達ライダーへの安全啓蒙活動やポケバイなどでのキッズスクールを実施し、モータースポーツの発展を目的とした活動を精力的に行っている。

この走行会では、現役のトップレーサーやチーム関係者がアドバイザー/スタッフとして開催。単純に先導してくれるだけでなく、サーキットに滞在する1日をまるまる楽しませてくれる工夫が凝らされており、2023年に始まったばかりの走行会ながら反響が大きいとのことでWebikeスタッフyasuoが参加してみた。そのレポートをお届けしよう。

会場では色々な工夫が参加者を迎えてくれる

こんにちは。モータースポーツ大好きWebikeスタッフのyasuoです。私もそうなんですが、サーキット走行会に参加する目的ってスキルアップとスピードアップ。つまり速くなりたいからお金と時間をかけて走行会にやってきたよ、という方が多いのではないでしょうか。そのタイムアップ目的だけであれば、タイムアップに特化した走行会があるかもしれません。今回のT.Pro走行会は、ちょっと違ったのです。

猛暑が続く24年7月末の朝。筑波サーキットコース1000に到着してすぐに目に飛び込んでくるのは、全日本ロードレースのパドックが再現されたピットエリア。

鮮やかな赤と白のパーテーションと赤いカーペット、赤白のHondaのマシンは日本郵便チームでおなじみのアレです。今シーズンを戦っているマシンが整然と並んでいて、自身のマシンをピットに入れてライダーと写真を撮ることもOK。サーキットを走る高揚感と別の楽しみが提供されています。

初心者も安心の工夫も◎

来場者は自走組とトランポ組で駐車エリア・滞在エリアが分かれていて、走行しない時間帯の過ごし方にも配慮されているところがうれしい。バイク自走の参加者はバッグや着替えなどを置くスペースもピットに用意されていて、日陰の椅子に座って気兼ねなく準備ができます。同じ車種の参加者同士で『どこから来ましたか~?』『今日サーキット初めてなんです!』などの会話が聞こえてきました。

カウンターで受付・くじびき・車検を済ませます。ここでもチームスタッフの皆さんの笑顔に癒されます。車検はレースメカニックの皆さんが1台ずつしっかりチェック。なんだかレース前のような気分です。トラブルなく安全にサーキットを走れるように走行準備のアドバイスも的確に教えてもらえるうえ、メンテナンスや車両セットアップのアドバイスも教えてくれます。

マシンの不安を解消するヒントを提供してくれるのは各メーカーブース。T.Proのレースを支えているタイヤメーカー、チェーンメーカー、サスペンションスペシャリスト、レーシングスーツのトップブランドが勢ぞろいしていて、サーキット走行を楽しむための段取りの答え合わせができるだけでなく、実際に空気圧を調整したりチェーンのコンディションを見てもらうこともできます。走るだけの走行会とは違うおもてなしに、まだ開会式も始まっていないのに『来て良かったなー^^』と嬉しい気持ちになり、いきなり充実度が高いのです。

講師陣が参加者に伝え続けているキーワード『安全』

開会式は、ほかの走行会と同じような進行です。講師陣の紹介やコース注意事項や旗の確認、おおまかなタイムスケジュールの案内などでした。

大切な準備体操は、インストラクターがしっかりと時間をかけてライディングに有効な準備体操をリードしてくれます。怪我したくない参加者の皆さんは真剣にストレッチ。すでに30度を超えている炎天下のなか、私も汗をかきながら入念にストレッチを行いました。

開会式が終わり、汗を鎮めたら座学の準備です。クラスごとに時間を分けて、エアコンの効いた部屋で手島代表自らサーキット安全走行の重要ポイントを5つ教えてくれました。

目線・ライン取り・コーナーの一筆書きのイメージ・ブレーキングは直立時にしっかり・そして侵入/ターン/立ち上がりの役割づけ。国内外で30年以上のサーキット経験を持つ手島代表の、真剣で具体的、そして実践可能なレベルでのアドバイスは参加者に刺さります。

このチームが大切にしているキーワードに『安全』があります。ライディングは公道でもサーキットでも怪我のリスクは伴います。ラップタイムを削ることだけに集中しすぎてリスクを上げるより、バイクとライダーの動かし方、操作のしかたを的確にすることによって安全マージンが上がり、転倒率を抑えることができるとのこと。その結果、無理しないで安全に速く走れるようになるヒントをもらうことができました。

この20分程度の座学はとても貴重で、何度も振り返りたい内容でした。具体的な内容については、次回のイベントに参加して、皆さんご自身でインプットしていただきたいです。

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座学のあとはサーキットコースインする前に、直進時からのブレーキング練習やスラローム練習があります。私はリアブレーキの練習でロックさせてしまいました。『足首の軸を使って繊細な踏力コントロールが大事ですよ~!』とコヤマックス選手。一人ずつ、走って止まってアドバイスを受けて。を繰り返します。ブレーキのほかにスラローム走行でカラダ慣らしと基本操作の確認です。

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▲プロライダーが一人ひとりの走りを見てワンポイントアドバイス

身体と頭脳がすっかり温まったところで、座学とベーシックレッスンで教えてもらった5つのポイントを思い返しながらコースイン。ピットアウトとピットインの練習を兼ねて、1周を落ち着いて慣熟走行することで視野を広く取り、目印やライン取りを確認していきます。

先導ライダー高橋巧選手のGOサインを見届けて、スポーツ走行のペースに上げていきます。そこからチェッカーまでは13分程度ですが、短くありません。5つのポイント!を復唱しながら走っているとアタマもカラダも使うので、最後の数週はチェッカーフラッグを待っていたぐらい。

コースサイドを見ると2名のプロカメラマンが撮影しています。オプションで自身の走行写真をゲットできます。なんとなく撮られている自分を意識してしまいますね(笑)

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▲先導&追尾してくれて、走行後にアドバイスを貰いにいくことも可能

走行については、例えばライン取りに不安があれば、先導して引っ張ってくれたり、後ろについてくれて走行後にアドバイスを聞くことができます。これは他の走行会でもある内容と概ね同じです。私の場合、走行後に高橋巧選手にアドバイスを求めところ『ヘアピンの入口のブレーキの使い方をもっと連続的にしたほうが良いですね』とお言葉をいただきました。分かっているけど難しいのです。。

そんなサーキット走行が3本ありました。走って脱いでプールで冷やして。を繰り返すことで、熱中症にはならずに過ごすことができました。ほかの参加者の方々も、もっとプールに入ったほうが良いと感じましたね。ツナギを毎回脱ぐのが面倒なのでしょうが、猛暑での体温上昇はしっかり対策したほうが安全&快適です。

ほかにも価値あるメニューが用意されていた

ツナギなしでも参加できる!

今回4クラスに分かれていました。速いクラス、スポーツクラス2つ、そしてエンジョイクラス。各クラス20台程度なので混むこともなく楽しめました。

注目はエンジョイクラス。走行は2本しかありませんが『ツナギが不要』『プロライダーの先導つきで走行』『受付時刻がゆっくり(10時半!)でラク』『お手軽な参加費用』で、サーキットデビュー体験とスクール、プロライダーとの近距離コミュニケーションが経験できます。速いクラスの参加者は、バイク仲間をエンジョイクラスに誘うなどモータースポーツのデビューに良いクラスです。

・コーナーぎりぎりでプロライダーのでも走行を激観!
最終コーナーの内側に移動して解説つきのデモランを目の前で。音やスピードに圧倒されながら多くの参加者は至近距離(最短で1mぐらい!)から撮影を楽しんだり、コーナリングの操作について、今回は小山選手の解説を聞きながら学びの機会にもなりました。加速に移行するタイミングや場所を、音の変化も交えて実感することで自分のライディングとの違いも把握できます。

このほかにはトークショー、メンテナンス&セッティング講座、ライディングシミュレーターゲームコーナー、受付時にくじをひいて、その抽選も午後早めに展開されていること、8耐ライダー気分になれる水道かけ流しのプール、マッサージコーナーなど参加者の1日をストレスフリーで過ごせるためのアイディアが凝縮されていました。

また、進行MCのにゃんばちゃんの元気な声で準備もしやすくて、私はこれまでいくつかの走行会に参加した経験がありますが、T.Proサーキット走行会の特徴は、講師と生徒という関係と同時にファンとレーシングライダーの関係も大切にしているイベントだということ。ゴリゴリと走る走行会とは一味違うT.Proサーキット走行会は今後人気が上がってくる予感がします。

次回は11月19日に開催予定と聞きました。全クラス合計で80名程度の定員ですので、募集開始をしっかりチェックしておきましょ。公式SNS、公式LINE、WebikeイベントNAVIで!私は次回、初心者の息子をエンジョイクラスに誘って参加したいと思っています。

まとめ

近年は色々な走行会やスクールが開催されていますね。開催数が増えたことで以前よりも細分化されてきて、それぞれにコンセプトや学びのポイントに違いがあると感じます。色々な走行会に参加してみて、ご自身の目的に合った質の高い走行会を見つけ出すのも良いでしょう。

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