50cc以下の原付一種に排ガス規制が迫り、125ccクラスの出力を制限した「新原付」の導入が予定されている。そんな中、ホンダが「2025年5月で50ccガソリンエンジンモデルの生産を終了する」との情報が! 生産終了を前に、早くも駆け込み需要まで発生しているようだ。

125ccベースの新原付登場により、ついに50ccは絶版か

ついにこの時が来てしまった……!? 長らく庶民の足として愛されてきた原付一種(50cc以下)が絶滅するかもしれない。同クラスにおいて最大ラインナップを誇るホンダが2025年5月をもって50ccガソリンエンジンバイクの生産を終了するらしいのだ。

生産終了の背景には、やはり2025年11月から適用される次期排ガス規制がある。
排ガス規制は小排気量車ほど対策が難しく、50ccは技術的に対応が困難。排ガスを浄化する触媒は、貴金属との化学反応で有害ガスを浄化する仕組みだが、原付では温度上昇に時間がかかり規制をクリアできないのだ。
新たな技術開発が必要な上に、50ccはほぼ日本でしか存在しない排気量帯。コストがかかり、セールスも見込めないため、メーカーが50ccから撤退する可能性が取り沙汰されていた。

一方、公共交通機関が少ない地域で、コンパクトかつ安価な原付は未だに貴重な足だ。そこで110~125ccモデルの出力を50cc並みの4kW(5.4ps)以下に抑え、従来の「排気量」ではなく「最高出力」で原付一種の枠組みを再定義する案が浮上。この「新基準原付」に関し、警察庁が検討を重ね、2023年12月に新原付を容認する方針を示した。

今後は法改正に向けてパブリックコメントを募集。順当に進めば次期排ガス規制が原付に適用される2025年11月までに法改正と、メーカーによる製品開発が並行して進められ、「新原付」が原付免許で乗車可能になる見込みだ。

ヤマハのジョグ&ビーノもラスト? 生き残る原付は?

となれば、ホンダがOEM供給しているヤマハのジョグ、ビーノも生産終了は避けられないだろう。
かつてホンダとヤマハの間で「HY戦争」と呼ばれる価格競争が勃発したが、2000年代に入り、人気だった50ccが様々な要因で販売不振に。2018年以降、ホンダからOEM供給を受けたヤマハのジョグとビーノが販売されていた。

ベース車であるホンダのタクト、ジョルノが絶版となれば、やはりジョグ、ビーノも生産終了となるだろう。ただし、ビジネスバイクのギアシリーズはヤマハが国内で自ら唯一生産する50ccエンジンモデル。また50ccクラスにおいて、スズキがアドレスV50とレッツ/バスケットをラインナップしている。これらの去就については不明だが、最大メーカーであるホンダの動きに追随する可能性があるかもしれない。

新原付が容認され、2024年は原付の需要が急回復!

新原付の登場により50ccの生産終了を見越した「駆け込み需要」も始まっている模様だ。

新原付は110~125ccがベースなだけに、50ccよりはやや大柄で重く、人によっては足着き性も悪化する。警察庁が実施した新原付の比較試乗会によると、「原付と大きな差はない」と結論づけたが、特に小柄な人や老人には差を感じる人もいるだろう。

また、原付二種がベースになることから、50ccより価格アップする可能性も。こうした事態を見込み、50ccスクーターが生産終了する前に入手しておこうとする「駆け込み需要」が発生しているようだ。

近頃、50ccの販売は下降している。2023年の出荷統計によると、前年同月比でほぼ60~70%前後(6000~7000台程度)と落ち込んでいた(日本自動車工業会調べ)。しかし2024年1月の出荷統計は同95.76%(6916台)と急回復。特に人気なのがダンク(ホンダ)、ジョグ(ヤマハ)という。
新原付が警察庁によって容認されたのは2023年12月。この影響で駆け込み需要が発生したのでは、と思われる。

買えるのは今、50ccエンジンモデルが欲しい人は早く動くべき!

新原付ではなく、今後も50ccに乗りたい人はお早目に新車を入手した方がいいだろう。もちろん電動スクーターという選択肢もあるが、現時点では航続距離や坂道での力強さはガソリンエンジンに及ばない。
もちろん中古車は存在するが、最近の流れからすると、新車生産終了後に中古車相場が上昇する可能性は高い。
今ならまだ新車のオーダーは可能だ。とはいえ注文が殺到した場合、2025年5月までに生産できないケースもありえる。この機会に50ccガソリンバイクを手に入れたい人は早めに動いた方がよさそうだ。

2025年で生産終了!? 50ccエンジン原付一覧

ホンダの50ccエンジン車が2025年5月で生産終了?既に駆け込み需要も発生中 ギャラリーへ (20枚)

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