
ダンロップタイヤを製造する住友ゴム工業は、関西大学と共同でタイヤの内側で静電気を利用して発電するデバイスの技術開発を行っている。これが幅広い速度域で安定した電力を得ることに成功し実用化に向け前進した。
タイヤ空気圧監視システムが電池いらずになるか
住友ゴムは、低速と高速用の2種類の発電デバイスを組み合わせることで、走行する車両のタイヤ内で安定した電力を得ることに成功し、タイヤ内部に設置したTPMS(タイヤ空気圧監視システム)の稼働を実現した。今後の実用化を加速させるとしている。
タイヤ内発電技術は、タイヤの歪みによる張力を利用した低速域での発電と遠心力を利用した発電デバイスで高速域でも電力を得るメカニズム。2種類の摩擦発電デバイスを並列接続することで、幅広い速度域で安定した電力を得ることができるようになった。
住友ゴムは、「タイヤ内発電はタイヤセンシングの一番の課題であるセンサーデバイスの電池寿命を解決する手段であり、この実現によりタイヤセンシングの実用化を大きく前進させることができる」としている。将来的にはタイヤ管理がよりシビアなバイクへの応用も期待したい。

タイヤ内に取り付けた2種類の発電デバイス。住友ゴムは2021年3月に低速域での発電成功を発表しているが、今回はさらに高速域での発電を可能とした。

低速域は発電デバイスAが張力によりタイヤ速度50km/hで発電量800μW以上を実現。高速域は発電デバイスBが遠心力によって発電するメカニズムだ。

発電デバイスAとBを接続することで20~100km/hで安定して電力が得られることが分かる。タイヤ内圧や温度などがリアルタイムにモニターできると安全性の向上に繋がるはずだ。
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