ホンダが、東京都港区南青山に所有するホンダ青山本社ビルを2030年度の完成を目標に新しいビルに建て替えることを発表。2025年度から解体、新築工事をスタートする。

イノベーションを生み出す変革と発信の拠点を目指す

1985年の竣工から40年で青山のシンボルが次世代へ建て替わることが明らかになった。新しいホンダ青山ビルは、「イノベーションを生み出す変革と発信の拠点」となるグローバル本社機能を構築するために、2030年度の完成を目標に新たなビルが建設される。

現在のホンダ青山ビルは、本田宗一郎氏の安全に対する企業理念を具現化する象徴として知られている。ガラス張りの当初案を震災時の被害を憂慮した本田宗一郎氏が却下し、バルコニー付きの構造に変更したというもので、ホンダ社内で現在でも語り継がれている。

また、地域の防災拠点として使われることが想定されており、地下3階には水や食料が蓄えられている。飲料水は、カナダ産ヒバの大樽で貯水することでカルキ臭を排しており、1階カフェではこの「宗一郎の水」を使って入れたオリジナルコーヒーを提供している。

新しいホンダ青山ビルはこれを受け継ぎ、人間尊重を掲げるホンダフィロソフィーや、マンマキシマム・メカミニマムというホンダのモノづくりに対する思想に加え、環境、安全、対話、発信、持続、調和の6つの思想を取り入れたビル設計を計画しているという。

現在の17階から20階建て以上に高層化されるという情報もあるが、果たしてどのようなビルに生まれ変わるだろうか。

竣工当時のホンダ青山本社ビル。青山通り側に懸垂幕が掲げられていたが今はない。隣のビルには昭和の名残が見られる。

上から見ると最上階部分は吹き抜けになっている。1階のエントランスは立地が交差点の角にあるため、交通の視界を妨げないように角を落とした形状になっているのが分かる。

2020年1月に1階のウェルカムプラザ青山がリニューアルした現在のホンダ青山ビル。今のビルとしても通用しそうなくらい古びた印象が見られない。

1階のウェルカムプラザ青山は「本社1Fのショールームは、誰でも自由に出入りできる皆の広場である」という本田宗一郎氏の考えを反映したもの。

ウエルカムプラザ青山にオープンしたマイルズ ホンダ カフェ。「宗一郎の水」を使ったコーヒーやサンドイッチなどの軽食も用意している。

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