1990年代に国内外のロードレースでその名を轟かせた青木三兄弟の次男、青木拓磨氏。全日本で王座に輝いた後、世界グランプリの500ccクラスにステップアップし、これからという時に1998年のテスト中の事故で下半身の自由が効かない身体になってしまいました。

その後4輪レースへ転向し、最近ではル・マン24時間耐久レースにも参戦。また、ハンドシフトのバイクでサーキット走行を楽しむなど、2輪での活躍も再び注目されています。この連載では、青木拓磨さんの今でも溢れ続けるモータースポーツへの情熱を語ってもらいます!

「青木拓磨のモータスポーツライフ」前回はコチラから

ツーリングの先にあるのは…

前回お話ししたツーリングの話、の続きです。冒険家でパリダカなどに参戦をしてきた風間深志さんから「「拓磨おいでよ」と誘われて、石川県の千里浜までBRP Can-Am RYKER RALLY(カンナムライカーラリー)でツーリングをしてきました。風間さんが主宰している、SSTR(サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー)に参加するためです。

SSTRは、それぞれが自分で決めた日本列島の東海岸で日の出とともに走り出し、日没するまでに日本列島を横断して石川県羽咋市の「千里浜なぎさドライブウェイ」に辿り着くというものです。キャノンボールのような無謀な弾丸ツーリングの抑制のため、道の駅や高速道路のSA/PAなどチェックポイントを設け、アプリでチェックインをしたという情報を取っていきます。それを通過してこないと完走賞のフィニッシャーズバッジをもらえない、という安全面にも配慮して行われているイベントです。

ゴール地点の「千里浜なぎさドライブウェイ」は日本で唯一車両走行が可能な砂浜の公道です。日没までにここにたどり着き、パリダカのゴールのようにこの砂浜を疾走するわけです。11回目を数える今回は当初設けていた1万台という枠に対して、なんと30分で募集定員に達し、2000台を超えるキャンセル待ちが出たということです。最終的に今回の参加台数は約1万2000台という過去最大規模での開催となりました。全く知らない者同士が、共通のゼッケンシールを車体に貼り、そして同じゴールに向かって走っていくという、この共通の目的を持って走っているのはなんだか不思議な感覚であり、それでいてとてもうれしい感じですね。

 

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SSTR交流シンポジウムでは、バイクが大好きな障がい者3人が集まって、「バイクで障がいを乗り越えられる」という話で盛り上がりました。

 

ツーリングの目的はSSTRのトークショー

今回のツーリングの目的はSSTRのトークショーに出場するため、です。今回のSSTRは、5月20日(土)と27日(土)の出走日指定制と5月21日(日)から26日(金)までのオープン制となっております。期間中は様々なイベントも行われていますが、その初日の翌日となる21日(日)、石川県羽咋市にある宇宙科学博物館コスモアイル羽咋で、「能登ふるさと博」との連携企画として行われたSSTR交流シンポジウムが僕の担当でした。

「情熱は全てを超えて行く」と題したこのシンポジウムには、自転車世界一周挑戦中に末期がんと診断された自転車冒険家のシール エミコさん、転落事故で脊椎損傷を負った後、ロンドンパラリンピック・セーリング競技ソナー代表選手になったパラリンピアンの西山克哉さんとともに登壇しました。ホストの風間さんも足に障がいを持っていますが、バイクとともに歩んでいて、障がいがあってもバイクで障がいを乗り越えられるよねって話をすることができました。

今回のSSTRにも、ソロとタンデム合わせて約150名の障がい者のエントリーがあったということです。今回のこのシンポジウムを開催することで、SSTRとしても障がい者の目線に立ち「共に考えて行動しよう!」と、ひとつの提言を打ち出すことができたと、このシンポジウムを評価しています。

本来シンポジウムに出席するだけなら電車などを使って直接会場入りすればいいのですが、みんなほかの参加者と同じくバイクで会場入りし、ほかの参加者同様、ゴールの地となる羽咋市では地元の皆さんの大歓迎を受けることができました。

 

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完走することで、やり切ったという感動もあるし、そういうところで、SSTRはずうっと続いていくんだろうなと思います。

 

SSTRにはソロでの参加者もいれば、仲間内のグループで向かう参加者もいて、マスツーリングともソロツーリングとも違った感覚で、一人でも十分楽しめて、主役になれる。その魅力ってなんだろうな? と実際に参加してみて考えていました。ゴールを目指し走っているときは、すごく自分と向き合っている時間もあり、ゴールの場では地元の方の歓迎を受け、またライダー同士の交流があって「来年また会いましょう」と言って別れていく。そういった人と人の触れ合いも楽しめました。

一人で500km走るって考えると遠いなと思っていましたが、実際にルートを考えながら走っているとそんなに遠くもないし、100kmごとに止まっていると、4回休めばもうゴールという感じでしたね。普通のバイクのレースってほぼ一定の天候でしかないし、路面状況もほぼ変わらないっていうところがありますが、このSSTRはツーリングラリーのようで、常に天候や路面状況の変化があります。朝から昼、そして夕方まで走り続けると気候が変わります。天気は曇りから雨になり晴れもあって、雨降ったらカッパ着て、暑くなったらウェアを脱いで、とライダーはその状況に合わせていかねばなりません。日本列島を縦断するので自ずと非常に変化に富んだコースになり、山に登ると肌寒くて、それを抜けると今度は暑くて、最後に海岸線沿いを走っていると、海風と潮の匂いを感じながら走行することになります。

それでも、前を向いていかないとゴールにはたどり着けないし、過酷さを乗り越えて、バイク仲間や風間さん、そしてライダーを待っていて応援してくれる地元の皆さんに会いにいくわけです。ゴールを目指すってすごくいいことなんだなぁって改めて思いました。これってラリーをしている感覚に近いなと思います。

 

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僕もまた参加したいなと思っています。障がい者も健常者も垣根なく、次回もぜひ、みんな一緒に行きましょう。

 

参考URL

青木拓磨のモータースポーツチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UC6tlPEn5s0OrMCCch-4UCRQ

takuma-gp
http://rentai.takuma-gp.com/

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