「原付免許で出力制限した125ccが乗れる」案に対し、様々な動きが! 9月に初の有識者会議を開催したほか、実車を使っての実証実験も行われた。この実験には、なんとミッション付き125ccスポーツモデルをデチューンした車両も登場し、安全性を検証したという。将来はこんな車両にも原付免許で乗れてしまう?

独占情報で最新の動きをお伝えしよう。

有識者会議に続いて、早くも走行試験を実施!

排ガス規制に対応できず、存続の危機を迎えている原付一種(50cc以下)。原付一種は、2025年10月末日に排ガス規制強化を控えているが、対応が難しい。このままではメーカーが50ccから撤退し、庶民の足として活躍している原付は絶滅する可能性が高い。

そこで125ccクラスの出力を50cc並みの4kW(5.4PS)以下に抑え、従来の「排気量」ではなく「最高出力」で枠組みを区分する案が日本自動車工業会らから示されていた(これを当WEBでは「新原付」と呼称する)。

この案に対し、9月7日、免許区分などを管轄する警察庁が検討を開始すると発表。「二輪車車両区分に関する有識者検討会」を設立し、9月11日に第1回検討会を行った。

――ここまでが既報の内容。新たに判明したのは警察庁が行った「実証実験」に関する情報だ。関係者筋によると9月20日、125ccバイクの出力を5.4PS以下に下げた新原付を用意し、埼玉県内のクローズドコースで試験走行を行ったという。

今回の新原付導入にあたり、主な検討事項となっているのが「サイズ」や「車重」。現在の50ccスクーターは概ねサイズが小さく、ホイールも10インチと小径だ。

新原付は、アジア、アフリカなどで販売されている安価な110~125ccスクーターが導入される見込み。ボディ自体は50ccの原付と大きな違いはないものの、走破性の高い14インチ以上の大径ホイールを履くモデルが多く、車格が大きくなるケースも。加えて、車重がヘビーで、50ccの80kg程度に対し、15~20kg程度重い。

今までのコンパクトで軽い原付と、大柄で重い新原付との運転特性の違いを見極めるのが実証実験の主な目的の一つという。警察庁としては、ボディが重く大柄になることで転倒し、事故が増えることを懸念している模様だ。

免許制度の関係でガソリンエンジンの50ccスクーターはほぼ国内にしか存在しない。最高出力は最大で4.5ps程度、最大トルクは0.4kg-m程度。ホイールサイズは10インチが多く、シート高は700mn程度だ。※写真はホンダのタクト

どのバイクが新原付化されるかは不明だが、タイホンダで生産&販売されるクリック125は前後14インチホイールを履き、シート高は769mm。原付より大柄だ。

なんとギヤ付きフルサイズのCB125Rも試験車両に!

さらに125ccクラスの国内ラインナップには、オートマのスクーターのほか、ミッション付きのスポーツモデルも存在する。排気量ではなく、最高出力をダウンすることで「新原付」扱いになるのだから、理論上はミッション車も新原付化することが可能だ。

そこで、ミッション付き+前後17インチのスポーツバイクであるCB125Rのエンジンをデチューンした車両も実証実験に用意されたという。

CB125Rは、125ccクラスとしては最大級の車格と車重がある。このように様々な可能性を想定しながら、安全性に関する検討を行っているという。

……となれば、CB125Rを筆頭に、モンキー125、CT125ハンターカブなどの人気モデルも新原付化されるのでは? と思ってしまうが、関係者筋によると「実現の可能性は限りなくゼロ」という。新原付で想定される価格帯より上であり、大幅にパワーダウンされる。商品性が損なわれるため、登場する可能性はまずないらしい。

もちろん今回のCB125Rはあくまで走行テスト用だ。

なお出力デチューンの詳細な方法は不明だが、単純なFIセッティングの変更ではなく、吸排気系を細く絞っているようだ。新原付が実現した際は、安易にフルパワー化できない措置も必須だろう。

ホンダのCB125Rは、6速ミッションを採用する本格的なフルサイズネイキッド。前後17インチを履き、車重130kg、シート高815mm、軸間距離1345mm。原付二種としても最大級だ。最高出力は15ps。

現行で自前の50ccを持たないヤマハが「新原付」では復帰か?

さらに、ヤマハが新原付で復帰する可能性もあるようだ。2016年からヤマハは50ccの原付としてホンダからOEM供給されたジョグとビーノを販売しているが、現在は自社生産のパーソナル向け原付を持たない。

一方、ヤマハは世界で125ccスクーターを多数グローバル展開しており、これを新原付化する意欲を見せているという。新たな「原付市場」に、ヤマハが自社バイクで復帰する可能性があるのだ。

ヤマハは2023年に新型のジョグ125を投入。台湾生産のシンプルなスクーターで、原付並に軽量コンパクト。新原付に持ってこい? 25万5200円と価格もリーズナブルだ。

年内に提言を取りまとめ、いよいよ来春には正式発表か

警察庁は、新原付の導入について消極的だったが、「近頃、姿勢が軟化した」と関係者筋は話す。50ccの原付一種は、四輪の普通免許で運転でき、免許の取得も用意。車両価格や維持費もリーズナブルなため、今でも保有台数は約500万台にのぼる。

特に公共交通機関が少ない地方では現在も貴重なインフラである。現在はガソリンエンジンの原付のほか、電動バイクや電動アシスト自転車などの代替手段も存在するが、数kmの移動ならともかく、数10kmの移動となると航続距離が心許なく、充電設備などのインフラも未整備。登坂性能もガソリンエンジンには及ばないのが現状だ。

こうした実情を自工会ら二輪関連団体が警察庁に説得した結果、今回の動きにつながったのではないか、と話す関係者もいた。

また「新原付」は、従来の原付ユーザーにとって魅力的になる可能性も。従来の原付より立派な車格と走破性が手に入るからだ。体格が小柄なため、コンパクトな原付を好んで乗っている方にとっては選択肢が狭まるだろうが、同時にライダーの新しい入口になる可能性を秘めているかもしれない。

――今後の見通しは、有識者会議を3~4回行い、「年内に提言を取りまとめる予定」と公表されている。関係者筋によると、実証実験や提言の内容を元に、来春にはいよいよ「新原付」の詳細が正式発表される見込み。そこから警察庁は法整備、バイクメーカーは車両開発と生産ラインの確保を行っていく。

となれば、その時点から2025年10月末日の排ガス規制スタートまで、残るリミットは約1年半。かなりギリギリのタイミングだが、実現への道筋は見えてきたと言えそうだ。

上記はガソリンエンジンの場合。誤解されている人もいるようだが、原付二種(125cc以下)に乗車できる従来の「小型限定普通二輪免許」は継続。従来の「原付免許」で乗れる対象が「排気量」から「最高出力」に変更されるだけだ。

ギャラリーページへ

この記事にいいねする


コメント一覧
  1. マヨ より:

    せめて最高速度を50キロにあげてあげましょうよ、道路で追い越せないと渋滞の原因ですよ、無免許で16歳から電動2輪に乗れるんでしょ、何の知識も技術も無しで、原付免許の実地講習すれば良いじゃんか

  2. ヤン より:

    最高出力がエンジンは4kW、モーターは0.6kW。
    特性の違いがあるとはいえこの差は何なんでしょうね?

  3. 匿名 より:

    いちいち仕様変更するくらいなら、免許で
    許可する速度と乗れる車体サイズを
    制限したら良いのに。

    原付免許のひとは時速三〇キロまで、
    サイズは重量一五〇キロまで、とかさ。

    区分を細分化して難しくするより、
    その方が良い。バーグマンあたりを
    ゆっくり走らせるくらいなら、
    原付免許でも可能だろ。

    ヴェクスターやらアドレスなんかも
    ほとんど原付感覚だし。

  4. 匿名 より:

    現行でのモーターのは『定格出力』ですよ。

  5. 匿名 より:

    とやかく言うならば、小型限定二輪免許でも取得したら良いだけ。
    何故取得しない?
    10万円有れば釣りが来るぞ?

  6. かせてっちゃん より:

    原付1種を2分類するべき。自転車に小さなエンジンの付いたものや電動モーター付車両か制限速度30キロで従来どうり。
    搭載エンジンが50㏄以下で出力4馬力こえたら制限速度45キロに。40キロ以下はまっすぐ走るのが大変すぎ。

  7. 匿名 より:

    CB125Rが30キロで走ってたらクソ邪魔やな。

  8. 匿名 より:

    ミッション付きって…

    こんな素人に記事書かせんなよ。

  9. 匿名 より:

    ここまで排気量を上げるなら普通乗用車のオマケは完全に止めて小型普通二輪の免許無い人は今も乗っている人も全て新たに普通車取る人も講習やら別に原付免許取るにしないと
    オマケだと危険過ぎる

  10. 匿名 より:

    多分新規格の125ccは買わないと思います。2種免許以上を持ってる人はわざわざ最高速30km 二段階右折の125ccなど買うわけがない。普通免許しかない人も、わざわざこんな不便な125cc買わんだろうな。実際施行されればわかる

コメントをもっと見る
コメントを残す

ホンダ CB125Rの価格情報

ホンダ CB125R

ホンダ CB125R

新車 166

価格種別

中古車 46

本体

価格帯 39.8~53.8万円

47.59万円

諸費用

価格帯 2.01~2.99万円

2.35万円

本体価格

諸費用

本体

35.28万円

価格帯 24.9~43.78万円

諸費用

3.1万円

価格帯 0.69~3.55万円


乗り出し価格

価格帯 41.81~56.79万円

49.95万円

新車を探す

乗り出し価格


乗り出し価格

38.39万円

価格帯 28.45~44.47万円

中古車を探す

!価格は全国平均値(税込)です。

新車・中古車を探す