排ガス規制に対応できず、存続の危機を迎えている原付一種(50cc以下)。そこで125ccクラスの出力を下げ、従来の「排気量」ではなく「最高出力」で枠組みを区分する案が示されていた。この案に関し、ついに警察庁が検討を開始すると発表。動きがいよいよ本格化する!

「原付一種」の定義を変えるべく、有識者会議も設置

報道によると9月7日、警察庁は125cc以下のバイクを速度が出ないよう出力を制限し、原付一種(50cc以下)扱いとする検討を始めると発表した。

9月11日に有識者会議を設置し、年内にも提言をまとめていくという。

当Webでも既報のとおり、50cc以下の原付一種は、2025年の次期国内排ガス規制強化を控え、存続の危機を迎えている。排ガス規制は小排気量車ほど対策が難しい。

排ガス規制に対応すべく、メーカーも動いてきたものの、技術的に「困難」との結論が。排ガスを浄化する“触媒”は、300度超で浄化が始まるが、50ccは温度上昇に約240秒かかり、炭化水素(HC)規制値の100mgをクリアできないからだ。

新たな技術開発が必要な上に、50ccはほぼ日本でしか存在しない排気量帯。コストがかかり、セールスも見込めないため、メーカーが50ccから撤退する可能性がある。となれば、特に公共交通機関が少ない地域でユーザーへの影響は大きい。

そこで2022年、国内バイクメーカーが所属する日本自動車工業会や、全国オートバイ協同組合連合会(AJ)などの業界団体が、新たな提案を行った。それは50ccという排気量ではなく「最高出力」で原付一種を区分するというもの。具体的には125ccクラスの最高出力を4kW以下(5.4ps以下)に制御し、50cc相当にデチューンするという案だ。

現在販売されている新車の原付二種(51~125cc)は既に排ガス規制に対応済み。これをベースとすれば規制をクリアでき、動力性能も確保できるというわけだ。

情報筋によると、春頃から自工会と政府の関係省庁で詳細を詰め、従来の50ccと125cc、そして「新原付」における性能の差異、さらには安全性に関して確認を進めていたという。警察庁が動き始めたということは、ある程度安全性の確認ができ、次の段階に進んだと考えられそうだ。

50ccは次期排ガス規制への対応が困難。排ガスを浄化する触媒は、貴金属との化学反応で有害ガスを浄化する仕組みだが、原付では温度上昇に時間がかかり規制をクリアできない。

二段階右折や30km/h上限は「新原付」になっても継続の見込み

気になるのは、最高出力が制限された「新原付」の免許や、原付一種ならではの二段階右折、30km/h上限といったルールがどうなるかという点だ。

これに関しては従来と同じになる方針のようだ。これまでの原付一種と同じ免許制度が今後も維持され、独自のルールも継続される見込みという。

次期排ガス規制が現行の50ccに適用されるのは2025年10月末日。猶予はあと2年ほどだが、車両の開発や法改正を考えると残り時間は少ない。ひとまずは有識者会議の取りまとめに注目しつつ、今後の動向を見守りたい。

「新原付化」されるバイクはモンキーやCT125のような高級レジャーバイクではなく、アジアなどで販売される低コストで軽量な110~125ccコミューターとなる模様。ホンダ・ディオ110のようにグローバル展開される車種が有力か。

検討がスタートすることは朗報だが、この機会に原付一種ならではの二段階右折、30km/h上限といったルールも今一度見直しして欲しいものだ。

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コメント一覧
  1. あんこパン より:

    これ誰が原付1種の廃止反対してるの?わざわざコストかけてディチューンする意味はなんだ、原付2種がそんなに乗りにくいのか?原付って免許取ったら講習受けるんでしょ、それを125でやれば良いだけでしょう、車と原付免許のセットも講習すれば良いのに、何で邪魔な30Kmなんだよう、危ないよ

  2. 匿名 より:

    原付の30キロ規制の方が、遅すぎてトラック乗ってる側からしたら怖いけどな。
    どうせ警察が金取りやすいようにしてるようにしか思えん。

  3. 匿名 より:

    そもそも、原付を車のおまけにするのをやめればいいだけだろ
    二輪へ乗るなら、自動二輪の免許をきちんと取らなければならないようにすればいい
    今、おまけで乗ってる人が買えるのがなくなるって?仕方ないね。免許取ろうよ

    • おやじライダー より:

      バイクは車と違うから、付録みたいについてくる免許で乗るのは大変危険なこと。二輪は二輪で、別免許で取らせるのが安全には一番良いと思う。大賛成!

  4. 匿名 より:

    おっしゃってる通りなんですけど、原付一種の現行ルールは警察にとってドル箱なんです。2段階右折、30キロ制限。なくしたくないんです。

  5. 匿名 より:

    同意。バイクに乗りたいなら専用の免許取る、免許取りたくないor取れないなら自転車で済ませる。で充分かと
    昔は原付しか無かった「車出すほどじゃないが自転車では荷が重い」って距離や坂道でも今は電動自転車が有るんだし。

    「公共交通機関が少ない地域のユーザーへの配慮」ってのも。そこまで過疎った地域はガソスタだって少ないor撤退しかねないんだし、尚の事自宅で充電できる電チャリの方が良いよねって言う

  6. 匿名 より:

    そもそも難易度全然違うし学生とか困る所多いと思うぞ

  7. 名無し より:

    50ccには50ccの車体125ccには125ccの車体50ccの車体は軽いからまだ30kmで走ってもどうにか走る。しかし125ccの車体では30kmでずうっと走るのには無理があるのでは。ふらふら走るのが目に見えていますけど。おまけに訳の分からない電動スケーター、事故が増えないように願うばかりです。

  8. 匿名 より:

    30キロ制限車は取り締まる側からすればお得意様の様なものさ
    要は国庫の宝庫と言う事
    白バイさんはより検挙しやすい車両を発見し追いかける
    スピードが出て居ても検挙出来ない車両より、違反さえしていれば検挙しやすい車両をロックオンするのを幾度も見掛けている だから30キロ制限は撤廃しないだろう 30キロ制限が撤廃されればその分何処かの増税で賄わなければならなくなる図式になる 一般国民が迷惑となる 毎日乗車してても私の様にG免許で罰金等を払わないでも乗車出来てる人間も居れば注意不足で幾度も払ってるドライバーも存在する 捕まえやすい法は変えたくないのさ

  9. たけのこのこ より:

    私はこれ大賛成ですね。。。さっさとやってほしいです。
    皆さん免許制度や30キロ撤廃を言っておられる様だけど難しいよね。
    配達なんかをやってる人にとって免許制度が今さら変わるのは迷惑ですよね。
    新聞やメール、食品なんかの配達してる人たちがまだまだたくさんいるからね。
    2段階も30キロも安全に事故に巻き込まれない様にするための法律なんだし守らないのが前提みたいに聞こえる。
    そんな事より新設のキックボード系の方が危なそうで怖いです。

  10. 匿名 より:

    >125ccを原付一種扱いとする

    この様な見出しが、原付免許のみで125ccのバイクに乗れる様になる。と、勘違いを生む要因です。

  11. エンタ より:

    車の免許が中型を乗れなくなった様に、原付のおまけを無くしてしまえば良い事ではないか?
    この日本の道路状況で30kmは意外と邪魔!
    邪魔だと言ってしまうのは悪いを思うけど、車側からすると怖いんですね。
    だからと言って、原付限界の速度で走っていく。
    軽いのでスピードが出ると意外と安定しない。
    追い抜きざまに(原付が60kmで走ってる場合、それ以上の速度になってしまう)フラつかれると危険。
    原付免許の廃止、小型二輪(今では、この状況下で取りやすくなってる)からスタート。
    以前から持ってる人は講習会や実技講習と試験で取りやすくする。
    所謂、昔の免許状態で、乗れる乗れないを分けるってことですね。
    人間がやる事なんで、125をデチューンしても、何らかの方法で125に戻せる事が出来ますよね。
    根本が125ccですから。
    原付所持者に優遇措置を与えて、原付を無くしていく方向がベストではないか?
    メーカーもコストが掛かる、価格帯は125ccと変わらないか高くなると思います。
    それより125ccのガタイで50cc並みのパワーで走るんかい?
    ちょー加速が遅いっちゃない?

  12. 匿名 より:

    車のオマケで乗る人は、古い原付と電動原付しか選択肢が無いようにしてもいいんじゃない?

  13. 匿名 より:

    単純に原付免許しか持ってない奴が、自動車とほぼ同じ交通ルールで公道に出たら危ないでしょ?

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