バイク(やクルマ)の運転免許には点数制度があり、交通違反内容によって点数が加点されますよね。
その点数が一定の数字に達すると免許停止(や取り消し)になってしまうことはみなさんもご存じだと思います。とはいえ、それはあくまでバイク(やクルマ)で起こした違反の場合のハズ。
ところが、あまり知られていないと思いますが、実は点数制度とは別の理由、例えば自転車運転中の交通違反などによってもバイク(やクルマ)の運転免許が停止されることがあり得るのです。
この話を知った当初、筆者である私自身の口から思わず出たのが「そんなアホな」でした。
私同様「そんなアホな」や「そんなバカな」と思わず呟いたそこのあなた。
そんなあなたのために今回、バイク歴36年を数える私、行政書士ライダーが自転車運転と免停の関係について解説をさせていただきます。

点数制度について軽くおさらい

点数制度とは、交通違反や交通事故に応じて定められた点数が一定期間内に一定の数字に達した場合、免停や取消などの行政処分が科される制度です。

これにより違反や事故を起こしたり繰り返したりしないよう運転者を戒めると同時に、違反や事故を繰り返す危険度の高い運転者を道路交通現場から締め出すことにより交通事故を予防し、安全な道路交通環境を保持する狙いがあるとされています。

ちなみに点数制度は、『持ち点』から違反点数が引かれていく減点方式と誤解されがちですが、正しくは違反や事故に応じて加点、累積されていく累積方式です。

点数制度によらない行政処分

上記の累積点数による免停などの行政処分については多くの方がご存じだと思います。なかには処分経験のある方もいらっしゃるかもしれません。

ところが点数制度とは別に、つまり、たとえ交通違反を起こしていなくても、運転者としての適格性に欠け運転によって交通の危険を生じさせる恐れが高いと認められる場合は6か月以内の免許停止処分を科すことができるという規定が道交法にあることをご存じでしょうか。

道交法第103条
免許…を受けた者が次の各号のいずれかに該当する…ときは…政令で定める基準に従い…免許を取り消し、又は六月を超えない範囲内で…免許の効力を停止することができる。(後略)

一 次に掲げる病気にかかつている者であることが判明したとき。
イ 幻覚の症状を伴う精神病であつて政令で定めるもの
ロ 発作により意識障害又は運動障害をもたらす病気であつて政令で定めるもの
ハ 省略

一の二 認知症であることが判明したとき。
二 省略
三 アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者であることが判明したとき。
四 省略
五 省略
六 重大違反唆し等をしたとき。
七 道路外致死傷をしたとき(後略)
八 前各号に掲げるもののほか、免許を受けた者が自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるとき。

このように、違反どころか運転すらしていなくても、運転免許保有者が認知症を発症、アルコールや薬物中毒者になる、無免許運転をそそのかす、などのときは行政処分が可能なのです。

2016年5月31日、薬物使用の罪で、ある元プロ野球選手に懲役2年6月(2年6か月)、執行猶予4年の判決が確定しましたが、この確定判決を受け実際に同元選手に180日の免停処分が下されています。

危険性帯有とは

上記に示した点数制度によらない行政処分についての道交法第103条第1項のなかでも第8号の規定は危険性帯有とも呼ばれています。

運転免許保有者が交通違反をしていなくても何らかの原因で危険性帯有であると判断されると行政処分が科される場合があります。その何らかの原因とは、ある人が自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるとき、とのこと。なんだか良く分かったような分からないような話ですが、結局のところ、どのような場合に危険性帯有に該当するのでしょう。

この点については具体的な基準は設けられておらず当局の裁量次第(総合判断)となっています。そのせいなのかは分かりませんが、当局もこの規定を積極的に運用していなかったと思われるのです。

ところが2017年、社会問題にもなったある事件をきっかけにこの規定を積極的に運用するよう警察庁が全国の都道府県警察に通達を出しました。その事件とはそう、その年の6月に起こった東名高速あおり死傷事件です。

通達にはこうあります。

悪質・危険な運転者を早期に排除するため、迅速な行政処分の執行に努めること。…「あおり運転」等に起因し暴行、傷害、脅迫、器物損壊等が伴う場合には、点数制度による処分に至らなくとも、当該事件内容を精査し、自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれが認められるときは、「運転免許の効力の停止等の処分量定基準(注1)の改正について」…に規定する…危険性帯有…に係る行政処分を積極的に行うこと。

この通達以降、各都道府県警はあおり運転だけではなく薬物常習者や暴走行為をさせた人などについて積極的に危険性帯有を運用する姿勢を見せているようです。

(注1)危険性帯有に該当し免停処分と判断した場合に、その原因となった行為類型ごとに免停期間を定めた基準

自転車でも危険性帯有で処分?

ここまで点数制度によらない行政処分についてみてきましたが、それではいよいよ本題です。

自転車の交通違反が危険性帯有に該当し行政処分が科されることはあり得るのでしょうか。正解は、『あり得る』です。

「自転車による危険性帯有があり得るのか」について全国すべてではありませんが複数の都道府県警に取材をしたところ、愛知県警がホームページで公表していることが分かりました。下のリンクをご覧ください。

 

これによると、自転車での酒酔い運転や自転車での酒酔い運転による人身交通事故を起こした場合、危険性帯有に該当し最大180日の免許停止処分が科される恐れがあることが明記されています。

自転車については、取材した限り全国的に対応が統一されている様子は窺えませんでした。都道府県により交通事情も違いますので警察の対応に濃淡があっても不思議ではありません。とは言え県条例ではなく国の法令に基づく対応ですので愛知県だけに限らないのは当然です。

軽微な違反に適用されることはさすがにないようですが、自転車による酒酔い運転だけに限らず薬物接種状態での運転や自転車によるひき逃げの場合にも過去の違反歴などを考慮し危険性帯有を認めることがあり得るとのことです。

まとめ

いかがでしたか?

バイク(やクルマ)はもちろん自転車も軽車両として道交法の規制対象です。そして、酒酔い運転のような重大な違反行為については自転車でも行政処分があり得ることがお分かりいただいたと思います。

自転車については取り締まりが活発でなかったためか、信号無視や一時不停止、ノールック飛び出しなどでヒヤッとさせられたライダーの方もいらっしゃるのではないでしょうか。その一方で自転車にも乗るライダーの方も多いと思います。

バイクはもちろん自転車を運転する際もルールを守って安全に2輪ライフを楽しもうではありませんか。

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コメント一覧
  1. 匿名 より:

    ふわっとしてるなぁ。
    それと行政書士の肩書で法律相談に類する記事を書くなよ。
    グレーゾーンなんだからさ。

  2. 匿名 より:

    すり抜けの話はどうなった?

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