50cc以下の原付一種は、2025年の次期排ガス規制強化を控え、存続の危機を迎えている。そこで従来の「排気量」で区分されていた枠組みを「最高出力」に変更し、現行125ccクラスの出力を下げて「50ccクラス扱い」とする案が提示された。

 第一報では「春頃に動きがありそう」とのことだったが、その後どうなったのか? 続報をお届けしたい。

文/沼尾宏明、写真/ホンダ、スズキ、JARI
※当記事は2023年5月2日に「ベストカーWeb」に掲載されたものです。

このままではガソリンエンジンの原チャリは消滅する!

 「原チャリ」として親しまれてきた50ccの原付一種バイクが絶滅の危機にある。今やほぼ日本でしか存在しないガラパゴス的な排気量帯となっていることに加え、排ガス規制の強化によって徐々に価格が上昇。電動アシスト自転車など他の移動手段に人気が移行し、最盛期の約200万台から、近頃は約12万台にまで販売台数が落ち込んでいる。

 これに追い打ちをかけているのが次期排ガス規制の令和2年排出ガス規制だ。

 この規制は2022年10月末から全面適用されたが、原付一種クラスのみ2025年10月末までの猶予が与えられた。排ガス規制は小排気量車ほど対策が難しく、50ccの場合は大幅な価格増が見込まれる。メーカーとしてはコストがかかり、セールスも見込めないため、50ccが全て“絶滅”する可能性があるのだ。

 そのため、メーカーの技術開発や対策技術の低コスト化を求めるべく、原付一種のみ3年の猶予が与えられた経緯がある。

 しかし技術的にはやはり困難。排ガスを浄化する“触媒”は、300度超で浄化が始まるが、50ccは温度上昇に約240秒かかり、炭化水素(HC)規制値の100mgをクリアできないのだ。

 そこで国内バイクメーカーが所属する日本自動車工業会や、全国オートバイ協同組合連合会(AJ)などの業界団体が、新たな提案を行った。それが「排気量50cc=原付一種の枠組み自体を見直す」というもの。これまでも世界的に主流となっている110~125ccモデルの最高出力を抑え、原付一種として扱う案はあったが、これを推進するというものだ。

猫も杓子も原付スクーターに乗っていた1980年代に比べ、現在は大幅に数を減らした。とはいえ、パワフルで航続距離の長い内燃機関の原付は貴重な足だ

触媒は、貴金属との化学反応で有害ガスを浄化する仕組みだが、原付では温度上昇に時間がかかり規制をクリアできない。搭載箇所はエキパイが一般的だが、スクーターではサイレンサー内のタイプも

最高出力で区分する「新しい枠組み」は既に動き始めている

 新しい枠組みとは、50ccという排気量ではなく「最高出力」で原付一種を区分する。具体的には125ccクラスの最高出力を4kW以下(5.4ps以下)に制御し、50cc相当にデチューンするという案だ。

 現行の125クラスは、日本、欧州をはじめ、インドやベトナムでも日本の令和2年排ガス規制(ユーロ5)相当の排ガス規制に適合済みなので、環境問題をクリアできる。

 この案は日本自動車工業会とAJの連名で、自民党オートバイ議員連盟に提言。2022年11月25日、多くの国会議員が参加するAJの第19回通常総会後の懇親パーティで、大村直幸会長が「原付一種の新しい枠組みに関して、来春には続報をお届けできると思う」とスピーチ。その続報に注目が集まっていた。

 情報筋によると、実現に向けて「確実に前進している」という朗報を聞くことができた。

 4月現在では、自工会と政府の関係省庁で詳細を詰めている段階。従来の原付と125cc、そして「新原付」における加速や登坂性能などの差異、さらには安全性に関して確認を進めているという。

 安全性が確認でき次第、引き続き実車の試験に移行していくとのこと。当面、発表できる情報はないものの、水面下で実現に向けて前進しているという。

排気量ではなく、出力で車両を区分する方法は既に電動車に導入済み。バイクは、モーターの定格出力が0.6kW(0.81ps)以下なら原付扱いだ。写真はホンダから国内登場が予定される電動バイクのEM1e:

ホンダのディオ110は、ベトナム生産でグローバル展開され、国内でも発売されているモデル。こうした現行国内モデルの出力を制限し、「新原付化」する可能性も

スズキから3月に登場したばかりのバーグマンストリート125EXはインド生産。安価ながらスポーティな外観と上級装備が特徴で、ゴージャス版の新原付として登場してほしい!?

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コメント一覧
  1. クロネコ より:

     こういう誤解を招く記事はやめるべきではないだろうか?この手の記事の多くが、自動車の普通免許で125ccバイクに乗れるようになるといった意味のタイトルを付けている。こういうタイトルをみると、普通自動車免許で「現行の125cc」に乗れるようになる動きだと読み取れる。
     実際は出力を現行の50ccレベルに落とした125ccバイクだという事でしょう?二段階右折などの制限も従来通り。なら結果論として、現行と大して変わらないという話。それを50ccは廃止されて125になるといったミスリーディングをわざと推進する記事というのはいかがなものか。

  2. 匿名 より:

    今でも守られない最高速度も見直すか制御する必要があるのでは?スピード違反取り締まりも原付はスルーされて、自動車は捕まるし。

  3. 匿名 より:

    もし、法が変わると125㏄は現行パワーとデチューン版が出ると言う事?
    デチューンすると言う事は、メーカーも金かけてエンジン効率を落とすの?(インシュレーターでエアの量を絞る?)

    それに何十年も原付一種の最高速度は車との混走の公道では危ないと言われ続けているのにそれ今でも無視するの?
    排気量とパワーが上がると事故が増えると言うけど、人間には適応力があり直ぐに慣れる。
    車体もそのパワーとスピードに対する十分な性能を持っている。
    どうも原付一種の車体のまま排気量とパワーが上がった事を想像して物を言っている感じがする。

    電動キックボードがあんなに優遇されるのもわけわからん。

  4. ウィップ より:

    今までの原付のメリットは、コンパクトで軽量、そして安価であることも大きいと思う。
    現行の125クラスの車両のまま出力だけに手を加えても、多くの原付ユーザーにとってただ大きくて重い、高価で足付きの悪いバイクになってしまい、受け入れられ難いのではないでしょうか。
    もう少しユーザーのニーズに寄り添った軽量コンパクトな125㏄バイクを開発することが必要な気がしますが、それはグローバルなモデルには成り得ないかもしれませんね。

  5. ベム より:

    原付免許で125まで?
    馬力を落とすから?

    じゃ1200㏄でも
    馬力が無ければ乗って良いのかしら?^^

    くだらないつじつま合わせに躍起になってないで
    小型免許を取らせればいいんじゃないでしょうか?

    僕の世代は
    二輪の限定解除をするために
    仕事を捨ててきたんですよ?

    最低でも一か月
    試験場に毎日通わないと受からない免許だったんでんね(ーー

    教習所で取れる?!
    初めて聞いた時には膝から崩れ落ちたのを覚えてますよ?

  6. 匿名 より:

    でもお高いんでしょ?
    国内4メーカーの新原チャリは高校生には買えない、買ってあげられない値段になることが想像できる。
    数年後には街に聞いたこと無いようなメーカーのスペック重視の糞バイクが溢れるんだろうな

  7. マサシ より:

    原付は今のままでいいと思う。通勤通学や配達の足として経済的で安全な速度域で乗れる。そして原付の役目はモーターになるので、そこに時間と金をかける必要はない。必要ならちゃんと二輪の交通ルールを勉強して走って欲しいです。。

  8. 匿名 より:

    新125と旧125をどのように見分けるのか疑問がある。そうでなくても現在の50はスピードなんて守って走っている人は皆無!
    下手をすると車を追い抜く呆れたヤツもいる。
    もう一度講習なりした方がいいと思う。

  9. 匿名 より:

    事故が増える
    制限速度は同じでないと大型トラックと接触してしまう。
    反対意見ではありません。

  10. 林道おぢさん より:

    ミスリードさせる記事の転載
    ×「原付免許で125cc」(笑) 遠慮なく言わせていただきます!
    書いた人は相当レベルが低く、現モータリゼーションへの啓蒙のカケラもない人でしょう。

    <こうだ!>
    免許制度が変わるわけでは無い。~つまり30km/h、二段階右折は変らない。
    原動機付自転車の定義が変わる。~排気量ではなく、馬力による規定。

    そして元は50ccの超小型エンジンでは排ガス規制に対応出来ない、
    というメーカーの泣きから始まった話。国際規格に合わせてとかなんとかは後付けです。
    この経緯で、例えばホンダが
    超人気のpcxをデチューン5.4psにして、原付免許でも乗れるようにしました!!
    ってやったら? そうじゃないだろうwってなりますよね。
    ホンダなら記事にもあるDioでしょうし、スズキならバーグマンじゃなくアドレスでしょう。

    一番の問題は出力制限でしょうね。125ccあればトルクは10Nmはでますから、一瞬で30㎞/hです。
    そして容易にデチューンしたものは、容易にチューンナップ出来ることでしょう。

  11. 匿名より より:

    軽いDIO,Today、address位までの重量制限もしないと 事故が増えますね。

  12. 昔から より:

    昔から自動車免許で2輪は何でも乗れたんだ
    今の団塊の世代が馬鹿な事ばかりして別免許に規制され其処へ天下りを策した公安上層が教習企業の既得権益を創作したもの取り締まる警察組織も糞だが変えられない今の社会全体も糞なんだよ

  13. 鶴田 より:

    原付免許そのものを廃止して普通自動二輪小型限定以上の免許を取った人がバイクに乗れるように替えた方が今よりも事故は減る気がする。

  14. 匿名 より:

    原付免許を廃止して小型二輪からにすればいい
    今までの原付相当はこれからの特定原付で十分

  15. 匿名 より:

    原付き免許で乗れるのは、125cc全てのバイクでは無く。原付クラス並みにデチューンを行った125ccのバイクに乗れる。もちろん法規は現行のまま。が現状案

  16. 反対君 より:

    既存のライダーを締め付けるような(バツが重くなるとかあると思う)
    (他はプロテクター必須とか義務化されたりするかも?)
    不安な運転をする奴がでそうで、これには本当に反対!
    メーカーは売るバイクを2種類作るなどの対応をして、それにて儲けてほしい。
    125ccすら倒したら起こせない人もいるという事実からは目を背けないで!

  17. 匿名 より:

    現行125ccクラスのパワーダウン版を原付一種免許で乗せる
    価格は125cc並か以上になるのかな?
    なんともマッチポンプな…

  18. 匿名 より:

    何故排気量を上げて対応する?
    10〜20ccに下げて排ガス量減らせ
    30km/h出れば良い筈

  19. 匿名 より:

    排気量125ccのままで出力を落とす場合に原付一種とすると、その原付一種を購入後にエンジンをイジって出力を上げるのも可能でしょう。
    おそらくそうする人は多いと思います。
    そうなれば今の125ccのバイクが原付一種になったのとかわりません。
    125ccに乗る人は増えると思いますが、バイクに乗ったこともない人がいきなり125ccフルパワー車に乗ることも考えられますので、かなり危険な気がします。
    また、お年寄りが原付(特にカブなど)で自転車のように歩道や対向車線などを走っているのを見かけますが、それが125ccになると思うと恐ろしいですね。

    現在の原付一種と原付二種には、乗る人の技量に差があります。(特に免許制度において)
    たとえ出力を落とすとはいえ、原付一種を125ccに拡大するのであれば、技能適正を試験する必要はあると思います。

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