
道路に引かれたセンターライン(以下「CL」と略すこともあり)のうち黄色の実線は、はみ出し禁止(正確には追い越しのための右側部分はみ出し通行禁止)
これは多くのライダーの方もご存じですよね。
では白色実線はどうでしょう?
実は白実線は引かれている場所によって意味が大きく変わることやそれぞれの意味まで正確にご存じの方はほとんどおられないのではないでしょうか。
というのも筆者である私、行政書士ライダーですらあまりのややこしさに何度も法令を読み返し修正を繰り返しながら記事を書くことになったからです。
ということでバイク歴38年目を迎える私、行政書士ライダーが、改めて実感させられたとても奥が深いセンターラインのあれこれについて解説したいと思います。
目次
道路標示とは?
道路標示とは道路上に示されている線や図形、数字や文字などを指し、センターラインもその道路標示の一種です。この道路標示は、①法的な規制力アリ、②法的な規制力ナシの大きく2種類に分かれます。
①の例:数字
道路上に黄色の数字で40と書かれていればそれは最高速度規制を示します。ですので、その道路では時速40㎞を超えるスピードで走行してはいけません。
②の例:白色ひし形
白ひし形は近くに横断歩道がありますよということを示しています。これは単にお知らせするという意味であり、何かを規制している訳ではありません。
センターラインはどちらに該当する?
黄色実線で引かれたCLは①に該当し「追い越しのためにはみ出すな」という具合にライダーやドライバーの通行方法を規制する効力があり、それに反すると道交法違反となるという意味で法的な力を持ちます。
なお、黄実線CLを追越禁止と誤解されているライダーやドライバーも多いかと思いますが、追越禁止ではありません。例えば、黄実線CLのある車線に原付バイクが走っている場合、他車線へはみ出さなければ追越しても違反になりません。
問題なのは白実線。
なぜ問題かというと白実線のCLは②に該当するためそれ単体では法的規制力はありません。
にもかかわらず、はみ出すと結果的に違反になる場合や、さらに引かれている場所によってはみ出しても違反にならないケースもあるなど非常に紛らわしいのがこの白実線だからです。
センターラインが引かれる理由
CLには白実線、白破線、黄色実線の3種類とそれらを組み合わせたものがありますが、そもそもCLは何故引かれるのでしょうか。
センターライン(中央線)は「車道の幅員が5.5m以上の区間内の中央を示す必要があるとき」に引かれます。ですので、道路全体から歩道を除いた幅員が5.5m未満の場合CLは不要、これが大原則です。
次に、CLを引く場合、どの種類のCLを引くかを選ぶ必要がありますが、警察庁の通達により先ほどの3種類のうち、舗装された道路の片側の幅員が6m未満なら白破線、6m以上のなら白実線が選択されます。
以上の様に、白色CLには規制目的はなく道路や車線の中央を示しているに過ぎません。
白実線CLのはみ出しがNGな理由
とはいえ、白実線をはみ出したために違反キップを切られたというライダーもいるかもしれません。それは何故なのでしょう。
ここで登場するのが道交法第17条です。
道交法第17条
車両は、…車道を通行しなければならない…
2(省略)
3(省略)
4車両は、道路(歩道等と車道の区別のある道路においては、車道…)の中央から左の部分…を通行しなければならない。
5車両は、(※上記の)規定にかかわらず、(※例外的に)道路の中央から右の部分…にその全部又は一部をはみ出して通行することができる…『…』は省略を示す
※「上記の」は筆者による補足用付け足し表現
条文だけでは分かりにくいと思いますので少し補足しますと、バイク(や車)は道路や車道の中央(CLがある場合はCLが中央)より左側の部分を通行すべし。その際、車両の全部はもちろん一部たりともはみ出すべからず(ただし、一部例外場面を除く)。
つまり、上記の通り白実線CLは6m以上の道路や車道の中央を示しているのだから、道交法17条により一部の例外を除き原則はみ出してはならない(白実線CLが直接はみ出しを規制しているのではない)ということなんです。
白破線センターライン
では、白破線はどうでしょう。先ほどの道交法第17条によれば白破線であれ道路や車道の中央から一部たりともはみ出してはならないはずですよね。
ところが白破線ならはみ出し追い越しがOKなことはほとんどのライダーの共通認識だと思います。これは一体何故なのでしょうか。
白破線であっても一部例外を除き右側部分にはみ出してはいけないことはその通りなんですが、道交法第17条の中に6m未満の場合の追い越しについての定めがあるからなんです。
それではその道交法第17条第5項1号~5号を見てみましょう。
1…一方通行…となつているとき。(「つ」は法文まま)
2…左側部分の幅員が…車両の通行のため十分なものでないとき。
3…道路の損壊、道路工事その他…のため…左側部分を通行することができないとき。
4…左側部分の幅員が六メートルに満たない道路において、他の車両を追い越そうとするとき…。
5勾こう配の急な道路のまがりかど附近に…道路標識等により通行の方法が指定されている場合…。
『…』は省略を示す
上記の通り工事や駐車車両などのためにはみ出さざるを得ないときは実線でも破線でもはみ出すことは出来ますが、片側6m未満の道路で右側の見通しが良いなど一定の条件下で追い越す時は、はみ出しもてもよいことが第4号により明文で定められています。
そして、6m未満の道路は白破線CLが選択されるのでしたよね。だから白破線の場合は、はみ出し追い越しができるという訳なんです(6m未満でもはみ出し追い越し禁止の場合は黄色実線)
白破線の効力で追い越せるのではなく、6m未満の追い越せる道路に該当するから白破線が選択されるということになります。
ちなみに『道路標識、区画線及び道路標示に関する命令』によれば「道路の右側部分にはみ出して通行してはならないことを特に示す必要がある道路に設置」するのが白実線とあります。
ということは、白破線は『特に』までではないことになりますが、白破線だからといってむやみやたらにはみ出してはいけないことは言うまでもありません。
センターラインではない場合
そしてややこしい問題がもう一つ。
それは白実線、白破線、黄実線の道路標示はセンターラインだけではない(車線境界線や車道外側線など)こと、さらに、はみ出し(や跨ぎ)のルールがCLの場合と違うこと、があります。
特に、白実線CLは、はみ出してはならないのに対し、CLでない白実線は、はみ出し(や跨ぎ)てもよい場合があるのです。
が、これ以上は長くなりますのでその点については別記事で紹介したいと思います。
ややこしいのでまとめます
〇バイクや車は、白実線CLであれ白破線CLであれ原則道路や車道の中央から右側にはみ出してはならない
〇ただし、一方通行や工事、駐車車両などによりはみ出さざるを得ない場合ははみ出してもよい
〇さらに、左側部分の幅が6m未満の道路で右側の見通しが良いなど一定の条件下で追い越しをするときもはみ出してもよい(黄実線区間を除く)
その2
〇センターラインは車道の幅が5.5m以上で必要のある場合に破線か実線かで引かれる
〇その際、道路の左側部分が6m未満か以上かをライダーやドライバーなどに示すため、未満の場合は白破線が、以上の場合は白実線が選択される
〇白のCLは示すために引かれるのであって、規制したり規制を解除したりする効力はない。
ただし、黄実線は例外で、道路幅員にかかわらず追い越しのために右側部分にはみ出してはならないという規制の効力がある
それでは今回はここまで、と言いたいところですが…。
最後までお読みいただいた読者のみなさまに身も蓋もないようなことを言うようですが一つだけ。
実は道路標示については警察だけでなく道路管理者(都道府県など)の関与もあります。道路は全国に無数に存在するため、上記の法令ルールが追い付かず本来白破線CLが選択されるべき区間に白実線CLが選択されるなどが絶対ないとは言えないとのことです。(警察談)
それではみなさま、ルールやマナーを守って楽しく安全にバイクライフを楽しもうではありませんか。
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珍しく「良い記事」だねぇ。(-。-)y-゜゜゜
行政書士ライダーは,道路法と道路標識、区画線及び道路標示に関する命令(昭和三十五年総理府・建設省令第三号)の規定を正しく理解していないから,
この記事には間違いが複数ある。
「すり抜けは白か黒か?」の結論は,大阪府警の取り締まり開始で,大ハズレだったことが判明した。
このテーマも同じかもしれない。
原因は,きちんと警察庁や警察本部に取材して確認をとっていないこと。
京都のどこかの署員と会話したくらいのことを「警察談」としても,根拠に欠ける。
自分はこう思う,と書くのは誰でもできる。
結論の「白のCLは示すために引かれるのであって、規制したり規制を解除したりする効力はない。」とあるけど,
あまり警察を挑発しないほうがいいのでは?
こんなキャンペーンを繰り返して,Webikeは何の得になるのか?
これまで注意で済んでいたものが,違反キップを切られるようになると,みんなが迷惑する。
Webikeと行政書士ライダーは,全国のライダーのウラミを買うことになるかも。
大阪の取り締まりは黄色のラインを跨いだから取り締まられていたのでは無いですか?
「警察庁の通達により先ほどの3種類のうち、舗装された道路の片側の幅員が6m未満なら白破線、6m以上のなら白実線が選択されます。」と記事にあるけど,
幅6mで機械的に分けられているのか,その通達はまだ生きているのか,疑問だ。
行政書士ライダーの記事はどれも,具体の根拠や出典を示さないから信用できない。