
ヤマハ発動機は2月13日に2022年12月期の連結業績を発表。売上高と営業利益が過去最高を更新した。
連結会計年度の売上高は前年比24.1%増の2兆2,485億円で、営業利益は23.3%増の2,249億円、経常利益は26.3%増の2,393億円、親会社株主に帰属する当期純利益は12.1%増の1,744億円となり、過去最高の売上高・各利益を達成した。売上高が2兆円を、営業利益および経常利益が2,000億円を超えたのは初めて。
売上高は世界的なサプライチェーン混乱による供給不足の影響を受けたものの、先進国における船外機需要の堅調な推移、新興国の二輪車需要が回復したことで増収となった。営業利益は原材料や物流費の上昇にもかかわらず、コストダウンや価格転嫁、円安によるプラスの効果により増加した。
セグメント別の業績について
セグメント別では、ランドモビリティが前年比24.5%の増収、営業利益は前年比27.2%の増益。先進国では需要が堅調に推移し、欧州・北米で販売台数が増加した。新興国においては、各国で経済活動の回復が進んだことで需要が増加し、インドネシア・ベトナム・インドなどで販売台数が増加した。半導体などの部品不足は想定よりも長期化しており、RVなどの分野で供給制約が続いているが、価格転嫁の実施や円安によるプラスの効果もあり増収。二輪車においても、代替部品の調達や生産管理の徹底により影響を最小化し、増収となった。
電動アシスト自転車では、第2四半期連結会計期間に上海ロックダウンに起因する部品不足や、コンテナ不足による物流遅延の影響を受け、大幅な生産遅れが発生し販売台数が減少したものの、円安のプラス効果があり売上高は微増となった。
マリン部門では、前期比32.2%増の5,170億円の売上高と、前期比42.2%増の1,092億円の営業利益を達成。特に先進国でのアウトドアレジャーブームにより、大型船外機の需要が堅調に推移した。
一方ロボティクス部門の売上高は前期比3.7%減の1,159億円、営業利益は32.6%減の119億円となった。欧米の投資は堅調に推移したものの、中国・台湾・韓国での需要の冷え込みにより、サーフェスマウンター、産業用ロボット、半導体製造装置などの販売が減少。部品・物流費の高騰も営業利益の減少に影響した。
金融サービス部門は全地域で販売金融債権が増加し、前期比27.8%増の622億円の売上高を達成。営業利益は、利上げ影響を受け調達金利が上昇したことに加え、リスクに鑑み貸倒引当金を計上したこと、一方で前年は一過性要因として貸倒引当費用が減少していたことから、前期比8.4%減の175億円となった。
そのほかの分野では、売上高が17.1%増の851億円、営業損失が12億円となった。ゴルフカーにおいて高価格帯の売上増加や価格転嫁実施により増収となったが、原材料価格高騰やサプライチェーン混乱に伴う固定費増加などにより減益となった。
次期連結業績の見通しについて
2022年は、社会経済の不安定化要因が継続し、原材料や物流などのコストが高騰する中、ロボティクス事業における中国の設備投資需要を除き、ほぼ全てのセグメントにおいて需要が堅調に回復・継続した。2023年については、特に大型船外機や新興国二輪車需要は引き続き堅調と予想されるため、部品調達、生産、出荷を進め、不足している製品の市場在庫水準適正化を目指すという。また、2022年に実施した価格転嫁の効果は2023年にさらに顕在化し、海上運賃は前年比で低下する見通しだ。
一方、自動車生産回復に伴うアルミ、貴金属、鉄鋼などの資材価格の高騰、人件費やエネルギーコストの継続的な上昇が予想されることに加え、世界経済の動向や為替変動などは不透明な状況。
これらのリスクに対して、コストダウンや生産性向上などの本質的な構造改革・基盤強化を進めると同時に、マーケティング・技術部門が一体となり変革のスピードを上げて環境変化に対する新たな価値を創造し、持続的成長に向けて取り組んでいく。
また、足元で続いている半導体などの部品不足が生産に与える影響に関しては、代替開発の進捗もあり、2023年後半以降に改善していく見通しだ。
連結業績予想については以下のとおり。
利益配分に関する基本方針および当期・次期の配当
ヤマハ発動機は株主の利益向上を重要視し、中間配当と期末配当を行うことを基本方針としている。中間配当は取締役会が、期末配当は株主総会が決定し、中間配当の基準日は6月30日、期末配当の基準日は12月31日となる。
当期の期末配当は1株につき67.5円で、年間配当金は125円。今後も安定的かつ継続的な配当を行い、中期経営計画期間累計で40%を目安とした株主還元を実施する予定だ。また、次期の配当金は年間130円、加えて自己株式の取得を300億円予定している。
情報提供元[ ヤマハ発動機 ]
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