
「あおり運転被害に遭わない方法は?」と聞かれたら、みなさんは何と答えますか?
私の答えはズバリ「あおられないこと」です。当たり前すぎる答えではありますが、すべてはここから始まると思うのです。
そのためには「あおられないために具体的にどんなライディングを心掛けるべきか」へと発展させるべきではないか。さらに、前回お話ししたようなバイクの特徴を考えると「そこまでやらないとダメ?」と言われるくらいであってもよいのではないかとさえ思うのです。
ということでシリーズ第3弾となる今回は、バイク歴35年目を迎える私、行政書士ライダーが、あおられないための行政書士ライダー的【君子危うきに近寄らずライディング】についてお話ししたいと思います。
あおり運転のメカニズム
具体的な内容に入る前にまず、あおり運転のメカニズムについてのお話から。
あおり運転によるトラブルは日本だけではなく実は世界中で問題となっていて、研究対象にもなっています。それらの研究でも言及されているのですが、あおり運転が突如として何のきっかけもなく始まることはほぼ無く、対象者(あおり被害者)の運転行動があおり運転のきっかけになってしまっているようなのです。
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あおり加害者が『運転の邪魔をされた』と認識
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あおり加害者に怒りの感情が発生
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対象者に『仕返し(制裁)をすべきだ』というスイッチが入る
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あおり運転開始
そしてもう一つ、誰もがあおり運転をする訳ではないことからも分かるように、あおり運転には心理的、性格的傾向といった加害者側の要因もあるようなのですが、今回はそちらには触れず、「あおり運転被害者とならないためにライダーはどうすべきか?」の観点でお話を進めていきたいと思います。
では、具体的にどんな運転行動があおり運転スイッチを押してしまうのでしょうか?
②進路変更(割り込み、幅寄せ)
③追越し車線などで進路を譲らない
④流れに乗らない低速運転
⑤一時不停止、飛び出し
⑥車間距離を詰める
⑦クラクションやパッシングでの注意や威嚇
⑧クレームやジェスチャーなど直接的な言動
など
※⑦⑧のような行為がNGなのはもちろんですが、バイクが特に気を付けるべきなのは①②③④だと思います。
すり抜けや信号待ちでの先頭進出はあおってくださいと言っているようなもの!?
バイクは大型ですら4輪と比べると車体が小さいため4輪の横や間をすり抜けることも信号待ちの後方からスルスルと先頭まで進出することも出来てしまいます。しかも、すべてのすり抜けや先頭進出行為が道交法違反となる訳ではないからか、バイクの特権とばかりにあまり意識せずにそれらの行為をやってしまっているライダーも多いのではないでしょうか。(すり抜けや先頭進出と道交法の関係については別の機会にお話ししたいと思います)
ところが、4輪ドライバーには『すり抜けや先頭進出=上記代表例①②の行為』と認識され、あおり運転のきっかけになる可能性があるのではないかと思います。
別の言い方をすると、ライダーにとっては何気ないすり抜けや先頭進出が4輪ドライバーにとってはあおられ上等の宣戦布告も同然ともなり得るのではないか。その結果「挑発しているのか」、「あおられたいのか!」となり、一部ドライバーのあおり運転スイッチを押してしまうリスクが高いのではないかと私は思います。
原チャリは特に注意
2輪の中でも特に50㏄クラスのスクーター(いわゆる原チャリ)は、
〇特に車体が小さい
〇4輪と同等以下の発信加速
〇その割には50~60㎞/hくらいは出てしまう
〇しかし法定最高速は30㎞/hと4輪よりかなり遅い
〇そのため道路の左寄りを走らなければならない
といった特徴があり、多くのドライバーもその特徴を認識しているのではないかと思います。
そんな原チャリがすり抜けや先頭進出して自車の前へと現れたら、また、道路の左寄りではなく中央寄りを走っていたら4輪ドライバーどう思うのか。
先ほど言った代表例①②③④に該当する邪魔な運転だと思われても不思議ではありません。
それに対し中型以上のバイクの発信加速や瞬発力(以下、「機動力」といいます)が街中の大半の4輪を上回ることも4輪ドライバーは認識していると思います。そんなバイクが自分の前を走っていると4輪ドライバーはどう思うのか。
「何故わざわざ自分の前を走るのか」「機動力があるんだから自分の前から去れ」と思うドライバーがいてもこれまた不思議ではないと思うのです。そしてたまたまそんな4輪ドライバーがあおり運転傾向を持っていたら、ライダーは普通に走っているつもりでもあおり運転のターゲットになってしまうのではないでしょうか。
行政書士ライダー的【君子危うきに近寄らずライディング】とは
原チャリから大型まで排気量によりその特徴に違いはあるものの、いずれにせよ4輪ドライバーにとってバイクは『邪魔もの』と認識される可能性を常に抱えている、もちろんすべての4輪ドライバーがそうだとは言いません。
しかし、常にそういう警戒心を持ちながら走るくらいでちょうどよいのではないかと私は思います。
ルールを守って走る分には2輪も4輪も同じく道路を使うプレイヤーです。2輪だからといって4輪に遠慮する必要はありません。しかし、あおり運転被害回避を優先するならば、そうも言ってられないと思います。
4輪ドライバーが認識するバイクの特徴や万一被害に遭った時の身体生命へのリスクを考えるならば、知らない間にあおり運転スイッチを押させてしまわないためにも、バイクは周囲の4輪の存在を常に警戒しながら運転すべきだと思うのです。
そして少しでも4輪を刺激してしまったと感じたときは、「同じプレイヤーなのになぜ自分が」などと思わずにいち早く4輪から逃げる(離れる)こと、高速道路のように逃げ場が少ない場合は、たとえ時間やコストのロスになろうとも最寄りのSAやICなどへと躊躇せず退避することを選択して欲しいと思います。
以上が私の思う【君子危うきに近寄らずライディング】です。
ただし、どんなに気を付けていたとしても100%あおり運転を回避することは残念ながら難しいと言わざるを得ません。あおり運転被害に遭ってしまったとき、後々重要な証拠となるのがドライブレコーダーです。
また、ドラレコの存在を4輪ドライバーに知らせることで一定程度あおり運転の抑止にも繋がるのではないでしょうか。
君子危うきに近寄らずライディングとドラレコ設置であおり運転リスクを軽減し一人でも多くのライダーに安全で快適なバイクライフを送っていただければ嬉しく思います。
「あおり運転」シリーズ完
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ちと違うなぁ 信号待ちですり抜けて先頭に出たからって煽り感情は発生しない 原付の場合も速度が遅いから抜く機会を伺うために後ろにいるだけ。ただ低速でど真ん中を走られると左に避けろよとは思うし右から抜くために若干右寄りに伺うだけ。ほとんどは煽りなんて認識はない 普通の流れる速度で走ってるのに無理やり右から抜いてくるような車だったら逆にバイクのほうがスイッチ入っちゃいますね でもそんな車の輩はおかしいやつだから危うきに近づかずですね すり抜けて前に出たからには青になったらスパーっと走り抜ければ誰も気にしない 白いバイク以外には( ̄ー ̄)ニヤリ