
イタリア発のライディングギアメーカー「ダイネーゼ」の国内販売を行うユーロギアは、警視庁交通機動隊向けに同社のエアバッグ「スマートジャケット」の納入開始を発表した。これはワイヤレスシステム「D-air」を搭載する、ワイヤーやケーブルを不要としたライダー用エアバッグで、内蔵センサー類により事故を直前に判断し膨張するもの。MotoGPでは2007年から採用されている、実績あるプロテクターだ。
警視庁は都内11方面の交通機動隊員が「スマートジャケット」を着用し、今後の警邏に活用する。
MotoGPでも採用されているテクノロジーが白バイ隊員を守る
時に高速域の緊急走行を求められる白バイ隊員。2003年からエアバッグの着用が開始されていたが、従来のエアバッグはワイヤーで車体とライダーをつなぐことで転倒を察知するものが一般的。しかし、この方式は下車時にワイヤーを外し忘れることで、意図せず膨張する危険もあった。今回警視庁に導入されるダイネーゼ製「スマートジャケット」は、これらワイヤーを完全に廃したワイヤレスタイプのエアバッグとなり、迅速な下車や誤作動の防止を実現する。
ダイネーゼは1972年にイタリアで設立された、ライディングギアの製造販売を行うメーカー。高品質なプロテクターやライディングジャケットの評価が高く、多くのプロライダーもレースシーンで愛用するブランドだ。このダイネーゼが研究・開発を重ねて発表したワイヤレスエアバッグ作動システム「D-air」は、バイクレースの最高峰、MotoGPでも2007年から導入開始。これを搭載した「スマートジャケット」には内蔵された合計7個のセンサー(加速度センサーx3、ジャイロセンサーx3、GPS)が1秒間に1000回ライダーの体の動きを解析、特別なアルゴリズムによって事故を事前に認識することで、立体構造のエアバッグを高圧縮ガスで瞬時に5cm膨張する機能を持つ。なおかつ、重量は1.8kgと軽量だ。
サーキットから警察用へ普及を始めた「スマートジャケット」を、ダイネーゼは今後デリバリーなどの労働環境においても活用を見込んでいる。既に一般用としても販売は行われており、メーカー希望小売価格は14万9600円。職業ライダーのみならずファンライドを楽しむ一般ライダーにとっても注目の装備だ。

ワイヤレスエアバッグシステムである「D-air」はダイネーゼが25年以上の歳月をかけて研究開発。MotoGPでは2007年から採用されている。

内蔵されたセンサーにより「事故を予測」するスマートジャケット。現在は一般ライダーが気軽に購入するにはやや高額だが、今後の普及につれて一般的なものとなっていくだろう。
情報提供元 [ ユーロギア ]
この記事にいいねする