水冷スポーツスターやパンアメリカが定着!? シン・ハーレーが好調で年間1万台突破へ

横浜ホットロッドカスタムショーに際して、ハーレーダビッドソンジャパンが2022年のセールス状況を公表した。2020年まで下降していた日本国内のセールスが好転し、2017年以来5年ぶりに年間登録台数の1万台突破が確実となる見通しだ。

稼ぎ頭は水冷のスポーツスターS、パンアメリカも好調だった

ハーレーダビッドソンジャパンの野田社長は、「11月末までに9500台の登録数があり、12月に例年販売している数を追加すると1万台を超える見込みです」と語る。ハーレーの日本国内での販売台数は2020年まで下降線を辿っており、新車登録台数は下記の通り。

・2016年4月~2017年3月:10772台
・2017年4月~2018年3月:9718台
・2018年4月~2019年3月:8790台
・2019年4月~2020年3月:8747台
・2020年4月~2021年3月:7846台
・2021年4月~2022年3月:8735台
・2022年4月~2022年9月:5260台(上半期)
※日本自動車輸入組合(JAIA)調べ

年度集計では5年間に渡り1万台を切っていたハーレーだが、2022年度上期には5000台を超えているので単純に倍にすると年度でも1万台を突破する勢い。ハーレーの見込みと一致した数値になっている。

では、どのモデルが売れているのかを聞いてみると、トップはスポーツスターSで1300台ほど登録されているという。次いでナイトスター、ローライダーST、パンアメリカといった新しい水冷エンジンのニューモデルが好調だ。

さらに台数を押し上げたのは、1年前のホットロッドショーで緊急発表された空冷スポーツスター「フォーティーエイトファイナルエディション」で、これが1300台ほど上乗せできたのが大きい。

最後の空冷スポーツスター特需と新世代水冷スポーツスターのスポーツスターSとナイトスターが2022年のハーレーを牽引したことになる。さらに、ハーレー初のアドベンチャーツアラーのパンアメリカも好調で、新世代の水冷ハーレーが受け入れられつつある状況なのだ。

スポーツスターS [HARLEY-DAVIDSON] パンアメリカ譲りの水冷1252cc60度Vツインを搭載した新世代スポーツスター第一弾。トラコンなどの電脳デバイスも備えている。216万4800円~。

スポーツスターSのライディングポジション。ハンドルとステップはやや前寄りながら、決してキツくない。イカつい見た目に反して足着き性もよくハンドリングも素直で乗りやすい。

ナイトスター [HARLEY-DAVIDSON] 975ccVツインを採用。従来の空冷スポスタシリーズは1200と883の2本立てだったが、新世代の水冷でも同様に選択肢が用意された。195万4700円~。

パンアメリカ1250 [HARLEY-DAVIDSON] 同社初のアドベンチャーとは思えないほど完成度が高く、販売も好調だ。「スペシャル」では停止時に車高も下がる! 242万3300円~。

フォーティーエイトファイナルエディション [HARLEY-DAVIDSON] 2021年のホットロッドショーで初公開された。特別装備を追加した1300台限定でSTDよりも26万円アップした。179万9600円~。

ローライダーST [HARLEY-DAVIDSON] 旧来のハーレーにも新風。FXRTをオマージュしたフレームマウントのカウルを導入し、近年のカスタムトレンドを取り入れた意欲作だ。312万6200円~。

円安という逆風下でV字回復の理由とは?

2022年は円安局面となり車両価格が7~8%上昇する逆風下でのV字回復は、モデル要因だけではない。2020年末に就任した野田一夫社長は、「日本人の新社長として、ディーラー様とのコミュニケーションを密にしました。我々メーカーと一丸になって販売施策を進められたことが大きい」と語る。

野田社長は、就任後の2年間で全国に110店ある正規ディーラーをほぼ全て訪問して、店舗側との信頼関係を築くことに時間を割いたという。また、各機種ごとにメーカー側の担当者を決めて、販売戦略をディーラーと一体となって推し進めたことも機能した。

野田社長は「特別なことはしていません。基本に忠実にやっただけです」と語るが、2023年はファイナルエディション特需がなくなることで、より一層の新規層取り込みが重要になるだろう。これについても、新たな展開が注目されていた。

ホットロッドショーでは、ファッションブランド「NEIGHBORHOOD」とのコラボレーションカスタムの抽選販売を実施したところ、450万円の車両に対して応募に長蛇の列ができるなど、新たな層へとアプローチを強めている。

ハーレーといえば空冷、ハーレーといえばクルーザー、「ハーレーといえば」の様々な概念が変わりつつある過渡期に、シン・ハーレー像が定着するのか、1年後のさらなる伸びにも注目したい。

NEIGHBORHOODのデザインしたグラフィックを全身に纏うローライダーST。野田社長が着ているジャンパーもNEIGHBORHOODがデザインしたものだ。このコラボへの注目度も高かった。

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