
競歩の基本動作を生かしての重心移動
前回、競歩における重心の左右移動は、そのままライディングにも通じると書きました。
では、それを物語る写真をご覧ください。今年のWSBKミザノでのものです。①はジョナサン・レアで、アウト側に重心を置いたアプローチ前の状態、②はそこからしばらく進んだところで、チームメイトのアレックス・ロウズがイン側に重心を移動したところです。ともにリヤがリフトアップしたフルブレーキング状態ですが、②はブレーキングリリース寸前のタイミングです。
本当は1人のライダーでの流れをお伝えしたかったのですが、叶わず、その点はご容赦ください。これらを前回のコラムでもお伝えした競歩の①と②と対比してください。共に①は右側に重心があります。①レアの腰はコーナーに向けて左にオフセット(ハングオフ)していますが、骨盤を右側にしっかり置いたまま、重心を右側に残そうとしています。これに対し、②では左側に重心を移動させています。
これは、1次旋回、それも1.0次旋回のパートであると考えてください。①はともに右足荷重になっていますし、②は左足荷重です。ライディングでは①は外足荷重で②は内足荷重です。この外足状態から内足状態への重心移動は可及的速やかに行われます。そして、極端な場合、レアが時折見せるように、②の状態で内足荷重が過ぎて、瞬間、外足が浮くライダーもいます。
前回のコラムはコチラ
重心移動は人体内の内力で完結している
この1.0次旋回での身体操作は、野球のピッチングで振りかぶってのテイクバックから、前足にステップする部分に相当すると考えていいでしょう。すると、レースにおいて①のような内足を出す動作が何を意味しているかも自ずと分かるとかと思います。
さて、この重心移動は人体の外側からの外力は伴わず、内力で完結しています。移動のためにライダーとマシンの間で力のやり取りは行われないのです。
この内力で大きな要素となるのは、深層筋の伸張反射です。①で引き伸ばされた大腰筋を始めとする深層筋が、反射的に縮もうとし②の状態になるわけです。左右移動での伸張反射は、気分良く歩いているとき、身体がバネのように反応して足を踏み出していくことをイメージしてもらえばいいでしょうか。
股関節の内外旋も利用しています。もちろん、それに伴って肩関節の内外旋も積極的に利用しています。外旋とは爪先を外側に、内旋とは爪先を内側に向けるような股関節の回旋運動です(むりヒザで股を拡げる動作は外転で、外旋ではないので念のため)。
そして、股関節を外旋すると、大腿骨と骨盤の形状によって骨盤を引き込めるのに対し、内旋させると、骨盤を反対方向に押し出す効果が生まれます。外足を内旋、内足を外旋させることで、骨盤をイン側に移動できるわけです。そのため、①で足裏の外側(アウトエッジ)でステップと接していた外足は、足裏をグリグリとさせるみたいにして②ではインエッジとなります。
また、外足の内旋によって外膝をタンクに押し付けることになりますが、そのことでマシンを倒し込んでいるわけではありません。マシンとの力のやり取りは行われていないのです。
もう一つ、重力をこの身体操作に加担させています。これは野球のピッチングをイメージしたほうが分かりやすいかと思います。テイクバックで身体が伸び、沈み込みながらステップするのです。高い位置にあった重心が股関節に落下し、その勢いで反対側に移動していくのです。特にジムカーナでは1.0次旋回の直前に身体を大きく伸ばす動作を見せますが、これは重心を一瞬高くするための動作となっています。
縁石上でのフルブレーキングと1.0次旋回は、逆操舵していてはできない
何より、ジョナサン・レアとアレックス・ロウズの縁石上でのフルブレーキングと1.0次旋回は、逆操舵していないことの証しでもあります。サーキット走行の経験のある人なら分かると思いますが、これは怖くてなかなかできることではありません。縁石上で逆操舵しながらフルブレーキングしたらそのまま握りゴケしそうになりますし、逆操舵でアウト側に脱輪してしまいそうな錯覚に陥るはずです。
正確にライン取りするため逆操舵を使っていることは否定しませんが、少なくとも依存していないことは確かなのです。
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競歩とか,筋肉とかの話はいいですから,そろそろライディングの話に入ってください。
1.0次旋回とは何のことでしょうか。教えてください。
>>正確にライン取りするため逆操舵を使っていることは否定しませんが
いやいやガッツリ逆操舵使ってるじゃないですか
ネモケンもそうなんだけど、なにか逆操舵を否定しないといけない掟でもあるんですかね?
そんで御二方ともレーシングライダーとして結果出てないよね?
「トップライダーは基本的に「逆操舵」を使わない」
このタイトルだと三流ライダーは逆操舵使うみたいな意味になっちゃうけど
公道こそライン修正や緊急回避で逆操舵は非常に有効です。
なんでプロライダーがミスリードするかな。
この1.0次旋回での身体操作は、野球のピッチングで振りかぶってのテイクバックから
和歌山さんは今までに逆操舵に関してはよく言及しているけれど、「順操舵(正操舵)」についてはどう考えているのでしょうか?
トップライダーの多くは積極的に正のステアリング操作をしている、という事は無いのでしょうか?
≫ネモケンもそうなんだけど、なにか逆操舵を否定しないといけない掟でもあるんですかね?
ネモケンさんもそうなんやと、検索して記事を読んでみたら、確かにそうでした。
逆操舵が有効な場面、コーナリングで逆操舵を使わない理由が和歌山さんとはまた違う方向(感覚的て言ったらいいのかな?)から説明されてました。
和歌山さんは逆操舵論者に若干挑戦的な書き方(笑)ではありますが、ネモケンさんの記事を読んで何故「なにか逆操舵を否定しないといけない掟でもあるんですかね」とまで言えるのか不思議に思います。
≫そんで御二方ともレーシングライダーとして結果出てないよね?
このお二方に対してレーシングライダーとして結果出てないと言えるとは……
因みに、多分レーシングライダーとして凄い結果を残してると思われるフレディスペンサーは自身の主宰するライディングスクールの紹介動画で、「逆操舵は絶対使っちゃダメ」と言ってました。
あ、逆操舵論者からすると多分「スペンサーなんて特殊な乗り方するライダー、参考にしてはダメ」なんでしょうね。
それにしても、目の体重移動だけで曲がる(笑)初期型VT250Fに乗ってた若い頃、友人のRZ250やFZ400Rを借りて「なんやヤマハのバイク(゚Д゚)当て舵せな全然曲ってくれへんやん」と感じていた者としては、その当時のヤマハに乗られていたお二方が逆操舵論者でないのは不思議な気がします。
まぁどんなスポーツでも、道具を使うスポーツは特に日々ハード面でもソフト面でも進化があるのでしょう。常に柔軟な考え方で色々な方面から知識を吸収していかないとと改めて思いました。
この記事を読んでる皆さん、正直言ってこの内容理解できますか?
仮に内容が正しかったとしても読んでくれる人の大多数が理解できないようでは読んだ人の時間を無駄に奪う結果になりますのでそれは書き手としてマナー違反だと思うんですよ。
私の読解力や頭が悪いだけかな?
何故にここ日本では逆操舵を基本的に否定したがるのだろう?
わからない
以前のコラムで他のスポーツを引き合いに出されていたと思いますが
トップ選手が全て同じフォームでは無いことは周知の事実だと思います
それこそ引き合いに出されたトップライダーから直接話しを聞いたのならまだしも
一般ライダーにもこれが絶対正解と苦し紛れに押し付けているように思うのですが?
「逆操舵」はあくまできっかけ作りの話しであり
それだけで曲がろうと考えている人はいないのでは?と思います
私も長年野球に携わってきましたが残念ですが
ピッチングのイメージは全く伝わってきませんでした
「逆操舵でアウト側に脱輪してしまいそうな錯覚に陥るはずです。」・・・・はずです
「正確にライン取りするため逆操舵を使っていることは否定しませんが」・・・否定しませんが
そもそもライディング中に「なんちゃら筋が、、、」とか
そんなことを考えていた方が注意散漫になって事故りそうです
どちらが正しいとかダメとかではなくて
両方のケースを初心者でも分かる言葉で
丁寧に伝えて頂けると参考になるしありがたいですw