文/沼尾宏明、写真/eやん OSAKA説明会事務局、ヤマハ
※当記事は2022年7月16日に「ベストカーWeb」に掲載されたものです。


今のところ高額な電動バイクだが、交換式バッテリーの普及によりガソリンエンジン車より価格が安くなる可能性が出てきた。そのカギを握るのが、エネオスと国内バイクメーカーが出資する新事業「ガチャコ」だ。

一体どういうことか、探ってみた。

今秋から大阪と東京に10か所程度のバッテリーステーションを設置へ

高価な電動(EV)バイクがリーズナブルになる――。そんな朗報が聞けたのは、2022年7月4日に行われた「eやんOSAKA」成果説明会での一幕だった。

eやんOSAKAは、国内4メーカー(ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキ)を含む日本自動車工業会 二輪車特別委員会、大阪大学、大阪府、ローソンによって、2020年9月から約2年にわたって行われた実証実験プロジェクトだ。

大阪大学の学生らにEVバイクを有料(月額1000円)で貸与し、大阪大学(吹田キャンパス、豊中キャンパス)や周辺地域のローソンにバッテリー交換ステーションを設置。EVバイクの普及に向けて課題を洗い出した。

バッテリーは共通仕様で、ステーションにはあらかじめ満充電されたバッテリーを用意。残量の少ないバッテリーと交換することにより待ち時間ナシですぐ走行できるため、「充電時間が長い」電動バイクのデメリットを解消できる。

このeやんOSAKAのモデルを継承し、事業化を目指す企業として新会社「Gachaco(ガチャコ)」が2022年4月に設立。エネオスと国内バイク4メーカーが出資し、電動バイク用バッテリーのシェアリングサービスやインフラ整備を目指す。

今回の説明会では、今秋から大阪と東京でバッテリー交換ステーションを10か所程度設置することも発表された。経済産業省の補助事業のスキームを活用しながら実証事業として行い、2022年度は200台程度、2023年度は1000台のEVバイクにサービスを提供するという。


ガチャコのステーションは、今後エネオスの既存ガソリンスタンドや駅前などに設置される予定。EVバイクだけでなく、アウトドアや災害時などのバッテリーとしても役立つ存在を目指す


「バッテリー」と「車両」を切り離す売り方が可能になる

ガチャコが普及することによって、EVバイク本体にバッテリーが含まれなくなり、同仕様の内燃機関バイクより価格が安くなる可能性があるというのだ。

この発言をしたのは、eやんOSAKA研究成果の説明会に参加した自工会副会長兼二輪車委員会委員長の日高祥博氏。日高氏はヤマハ発動機社長であり、ガソリンエンジンの「ビーノ」と、同モデルのEV版である「E-ビーノ」を併売している。前者は税込20万3500円、後者は同25万9600円で、電動版の方が約5万6000円高い。

日高社長はE-ビーノを例に挙げ、「EVで高価なのはバッテリー。ガチャコによってバッテリーがシェアリングされれば、(バイクの本体価格から)バッテリーを外出しにできる。この場合、私のコスト感覚からすれば、製品価格はガソリン版より下がる」と話す。

また自工会二輪車委員会 電動二輪車普及部会長(ホンダ二輪事業統括部部長)の長田展英氏によると「ガソリン車なら日々ガソリン代として支払うものを、EVはバッテリーとして一時期に高い値段で支払うのが問題。車体とバッテリーサービスを切り離すことで、お客様の初期負担が軽減できる。それも車両を買っていただくのか、車両そのものもサービスとして提供するのか、多様なやり方、販売手法があると思う」という。

さらに、ガチャコの料金設定は「調整中」(ガチャコCEO 渡辺一成氏)ながら、利用距離に応じた月額料金を検討中。スマホの料金プランと同様のイメージになるという。
スマホではギガ数などデータ通信料によって数種類の料金プランが用意され、通信料が多いほど料金が高い。同様にガチャコでも利用距離によって異なる料金プランを設定する予定という。

ガチャコに出資した2輪メーカー4社は、2019年から「電動二輪車用交換式バッテリーコンソーシアム」を設立。バッテリーを相互利用できるよう交換式バッテリーと交換システムの標準化を進めているのが現状だ。



7月4日に実施された「eやんOSAKA」研究成果の説明会に参加したメンバー。前列左から3人目がヤマハの日高社長、右隣がガチャコの渡辺CEO、後列右から2人目がホンダの長田部長


利便性や価格のせいで、買いたくないユーザーは31%存在した

eやんOSAKAの成果報告によると、参加者は計130人。実験終了後に電動バイクの購入意向を尋ねたところ「買いたい」が69%(87名)、「買いたくない」が31%(40名)という結果だった。

意外と「買いたくない」人が多いように見えるが、ネガな意見としては「バッテリー切れが不安」のほか、「駐車場がない」、バッテリー搭載により「収納スペースがない」ことへの不満があった。そして、「経済的に余裕がない」のも理由のようだ。

これは対象の大部分が学生だった影響もあるとのことだが、本体価格がダウンしたり、安く利用できる方法があるならユーザーは確実に増えるハズだ。

現在、共通バッテリーであるホンダのモバイルパワーパックe:に対応しているのは、同社のベンリィe: I/IIシリーズ、ジャイロキャノピーe:、PCXエレクトリックのみ(いずれも法人向け)。しかし日高社長は「2023年秋に開催される東京モーターショー改めJAPANオールインダストリーショーで、新たな対応モデルを展示するため各社で開発を進めていると思う」と話す。

さらに大阪万博が2025年に開催される。このマイルストーンに向け、大阪でEVバイクをアピールしていく抱負も語った。



eやんOSAKA参加者によるアンケート結果。バイク未体験の若者が55%ながら、概ね好評だった。「買いたくない」理由としては、航続距離、積載性、コストなどが挙げられる


実は今も一部でEVバイクは安く買えるが……!?

EVバイクが値下げされ、買いやすくなるのは朗報。しかし実のところ、一部地域では今もガソリン車より安く購入できるのだ。

それは手厚い補助金のおかげ。E-ビーノの場合、国(一般社団法人次世代自動車振興センター)から2万6000円が交付される。

それでもE-ビーノはガソリン版より約3万円高いが、EV普及に熱心な東京都では、さらに8万円もの補助金が出る。計10万6000円が支給され、ガソリン版より安い15万6600円でEV版ビーノが買えてしまうのだ。

ただし、これほど手厚い補助金は東京都のみで、初度登録から1年以内など申請に条件はある。

これらの補助金はクルマと同様、本体価格に応じて設定され、価格が高いほど補助金も増える仕組みだ。バイクの場合、国から補助金が出るのは原付一種(50cc)、原付二種(51~125cc)のみで上限12万円。東京都からは原付一種で上限18万円。原付二種で上限36万円まで交付される。

とはいえ、多額の補助金は東京都民限定だし、いつまで現在と同額の補助金が出るかも不透明。多くのユーザーにとって、本体価格がダウンした方が現在より安く購入できる可能性がある。もちろん今後EVバイクが安くなるには、ガチャコが普及して共通バッテリー採用モデルが増えることが条件だ。

ひとまず今秋からスタートするガチャコの詳細発表を待ちたい。


情報提供元 [ ベストカーWeb ]

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