違法改造車や、暴走行為の減少により、現在の交通事情とは乖離したバイクの通行規制が今もなお継続されている区間が日本全国にあります。一般社団法人 日本二輪車安全普及協会(以下、日本二普協)では、そうしたバイクの通行規制解除に向けて取り組みが続けられています。

2021年12月時点で、バイク通行規制区間の掲載箇所数は全国に約453か所(※日本二普協調べ)存在し、2020年より13か所減少しているものの、まだまだ多くの場所が規制されています。これらは、過去、一部の無法な通行者(暴走族やローリング族など)による騒音問題や無謀な運転による事故発生などの理由で規制が実施されたものと考えられますが、時代の推移とともに交通実態とそぐわぬケースも散見されるようになりました。

そこで今回は、各都道府県警察と連携しながらバイク通行規制解除の取り組みを続ける日本二普協に実態を伺ってみました。


通勤・通学利用者からの通行規制解除要望は25%にも上る

日本二普協へ寄せられた通行規制解除要望の統計より


バイクの通行規制解除を希望する理由は半数以上の64%がレジャー目的ですが、実は約25%が通勤・通学利用で困っているライダーたちでした。
例えば、公共交通機関が少なく移動手段がバイクのみの方にとって、通行規制区間の先に勤務先や学校がある場合は、毎日の負担が増えるため非常に切実な問題です。

優れた使い勝手と経済性に定評のある原付二種(51~125cc)をはじめ、コロナ禍において3密を避けた移動手段として二輪免許取得者数も増加傾向が続くなか、バイクの通行規制解除を望む声も高まりを見せています。

  • せめて通勤・通学時間だけは規制せず、休日や夜間のみの設定でも良いのではないか。
  • 迂回ルートの無い通行規制はバイク以外所有できない人に対して不平等だ。
  • コロナ対策として小型二輪車を通勤手段として使用する人も増えているなか、そのような多数の人に不要な遠回りを強要するため、CO2排出削減の観点からもふさわしくない。
  • 原付一種なら納得がいくが、クルマと同じ法定速度である原付二種が含まれる理由がわからない。


  • 日本二普協へ寄せられた通行規制解除要望から一部抜粋


    1980年代に社会問題となった暴走族は大幅に減少

    令和2年版犯罪白書「3-1-2-2交通犯罪」法務省



    法務省の発行する犯罪白書によると、暴走族の構成員数は1982年の42,510人をピークに年々減少し、2019年には約1割までに縮小しています。

    1978年に道路交通法第68条が暴走族への対策として、集団暴走そのものを罰する「共同危険行為」の規定が設けられてから警察の取り締まりが厳しくなり、1981年には共同危険行為に対する基礎点数が引き上げられるなど、法改正が暴走族の減少に功を奏したといわれています。

    騒音問題や事故の要因となった多くの暴走族が減少し、バイクの通行規制自体が形骸化したことが今の実態に合っていないと通行規制解除の声が高まる要因となっています。


  • 暴走族やローリング族も減っており規制を継続するなら、せめて夜間のみにするとかでも良いかと。
  • 暴走族は減少しております!もう行政の方もアップデートしてはいかがでしょうか?
  • 暴走行為もほぼなくなっているはずですが、旧来の規制が見直されず一般通行車両まで迷惑を被る。
  • 暴走行為を理由として禁止するのであれば、原付のみを規制するのは合理性を欠いている。


  • 日本二普協へ寄せられた通行規制解除要望から一部抜粋


    通行規制解除の要望は、受けた後が大変な作業

    「二輪車通行規制区間情報」日本二普協ウェブサイトより


    日本二普協のウェブサイトでは、バイクの通行規制区間が各都道府県別に記載されています。この情報は毎年3月末より各都道府県警察の協力のもと調査され、6月に更新しており、規制対象(排気量など)や規制時間もわかりやすく明記されています。また、各通行規制路線には、規制解除の要望を出すことも出来るようになっています。

    規制解除要望は2021年で1,196件あり、通勤・通学によるバイク利用が増えている事や、バイクを愛好する善良なライダーが増えた今、昔の慣習がそぐわないという理由から規制解除を望む声が増しているようです。

    日本二普協では、こうした要望をもとに各県警察本部へ情報提供を行い、警察は地元住民の了解を得た後に解除の手続きに移るという流れとなっていますが、過去の騒音被害から現在でも規制解除にネガティブな感情を抱く周辺住民も少なからずおり、住民の理解を得たうえで規制解除の要望に応えるということは、大変な労力と時間を要するとのこと。

    バイクの通行規制が解除された最近の大きな成果としては、東京都八王子市と神奈川県相模原市を結ぶ国道20号線の大垂水峠です。毎年最も多くの要望が集まっていた大垂水峠は、漫画の舞台として一躍有名となった道ですが、日本二普協では5年前から所轄警察である津久井署に規制解除を訴えると共に、地元住民への了承を得るために説明をし、3年のテスト期間と経過観察という長きにわたる努力の結果、125cc以下の休日通行規制が解除されました。

    国道での通行規制は時代にそぐわぬ形骸化された通行規制であったことから、ライダーにとっても待望であり非常に大きな功績であると言えましょう。


    次は七曲りのバイク通行規制解除に向けて尽力

    ライダーから寄せられるバイクの通行規制解除の要望には偏りがあり、県別の件数で見ると大阪府が最も多いとのこと。また、区間別ではレインボーブリッジ、箱根の七曲り、筑波スカイラインに要望が集中しているとのことでした。

    特に、神奈川県箱根町にある七曲り(旧東海道の畑宿から先)は「石畳まで辿り着けない」とライダーからの要望が多いそう。それもそのはず「自二輪(550cc以上を除く )4月1日から1月30日土曜・日曜・休日の8〜15時」という標識によって、排気量549ccまでは通行が規制されており、それ以上であれば一定期間通行可能という、今となっては実に歪んだ通行規制なのです。

    そのため、中排気量以下のバイクは来た道を引き返し、石畳を大きく迂回せねばならないため非常に不便であるほか、いきなり出現する通行規制の標識は非常に情報量が多いため、この標識が視界に入っても瞬時に理解しにくいという課題もあります。

    この七曲りのバイク通行規制について日本二普協 伊藤理事は「畑宿まで出向き自治会長に直談判も行いましたが、過去のローリング族によるネガティブなイメージが払拭できていません。また、管轄の小田原署からも地元住民の根強い反対があると聞いており、これからも警察と連携しながら通行規制の見直しに取り組んでいきたい。」と語ってくれました。

    なお、この七曲りのバイク通行規制についてはSNSでも度々物議を醸していることから、非常に多くのライダーが関心をもって注目していることが窺えます。


    バイクの通行規制はナビよりも目視が重要!

    こうしたバイクの通行規制情報は地元の所轄か現場で確認する以外に方法がなく、それらの規制区間や規制時間が各都道府県別に一覧でまとまっているのは、日本二普協のウェブサイトが日本最大級とのこと。

    しかし、最近はナビに頼りきって走行するライダーも多く、通行規制区間に誤って侵入してしまうケースも昨今問題となっています。そのため日本二普協では、ナビの情報が古い場合もあるため、必ず現地で標識を目視確認したうえで通行して欲しいと呼びかけています。

    ライダーから多くの要望を受け、警察と連携しながら取り組む日本二普協の伊藤理事によると「各県警本部も交通実態に合っていない通行規制があることや通行規制解除を望む声が多いことを理解して頂いており、できれば規制解除したい方向と聞いている。」とのことから、バイク通行規制の見直しは日々着実に進んでいると言えましょう。


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