「4輪用タイヤの進歩に、ただただ驚愕」

私は3か月ほど前、自家用車(2リットルターボのスポーツクーペ)のタイヤを交換しました。走行距離は少なく、溝も十分に残っていたのですが、恥ずかしながら気が付けば15年近くを経て、細かいクラックが発生、劣化によるウェットグリップの低下もあったので、交換に踏み切ったのです。

そこで驚かされたのが、走りの違いです。停止あるいは減速しようとスロットルを戻しても、スルスルと抵抗なく走ってくれます。明らかにタイヤの転がり抵抗が低減しているのです。実際、高速道路では4%程度燃費が良くなったではありませんか。

これはタイヤの接地面におけるコンパウンドの変形に伴う抵抗(ヒステリシス)が小さいからに他ありません。そのせいか、以前は粘りを伴って路面に吸い付くような乗り心地だったものが、高い位置のままクッション性を感じさせるものに変貌。悪く言えばファミリーカー的ながら、 慣れれば悪くありません。もちろん、ウェットグリップも良好です。


実は2010年から、4輪車タイヤには転がり抵抗性能とウェットグリップ性能の等級(グレーディング)表示が制度化されています。省エネと安全性にとって大切な項目の等級を、公正に表示しているのです。

これが制度化されて12年、競争からこれらの性能が著しく飛躍してきたことは想像に難くなく、そのことをまざまざと見せ付けられたのです。

「もちろん、バイク用タイヤの進歩も目覚ましい」


その間のバイク用タイヤの進歩にも目覚ましいものがあります。でも、方向性はやや異なります。もちろん、ウェットグリップに関しては、良好な路面ならフルブレーキングが可能なほどに高性能化されてきました。

でも、転ぶという宿命があるバイクの場合は、ライダーに自信を持たせ、安全に楽しく走れることを第一義に進歩してきたように思います。実際、現在のツーリング指向のタイヤは、汎用性と耐磨耗性に加え、ひと昔前のスーパースポーツ用タイヤ並みのハンドリング性能を備えるようになっているのです。

とは言え、脱炭素化が叫ばれる中、実用性が求められるストリートスポーツ向きタイヤに、転がり抵抗の低減が求められるのはそれほど先のことでないのかもしれません。

「転がり抵抗低減とウェットグリップは相反する???」

ただ、私はこの低転がり抵抗タイヤにちょっとした思い出があります。今から26年前、某モデルが省エネタイヤを履いて登場、某サーキットで試乗会が行われたときのことです。事もあろうに、コースイン直前になって雨が降り始め、わずか1周の間に半数のライダーが転倒するという珍事が発生したのです。

幸い、私は接地感の異常に気付き、事なきを得たのですが、その時以来、低転がり抵抗タイヤはウェットグリップに難があると思い込んできたものです。何しろ、コンパウンドのヒステリシスによるエネルギー損失が、ヒステリシス摩擦となってウェットグリップに威力を発揮するからです。

ところが、現在の低転がり抵抗タイヤはウェットグリップも十分に高水準化されています。そのからくりについては、また何かの機会にお話しするとしましょう。

 

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コメント一覧
  1. ヤス より:

    バイク乗りはあんまり燃費は気にしてないですがひじょうに興味深い話です、もっとレポート記事出してほしいです、49才の月1のツーリングライダーです、

  2. 希望の唄は風に乗り天高く舞い上がる より:

    モーターサイクルは情熱パッションだ
    効率は車に敵わないが…
    人生において唯一無二なもの健康・情熱・若さだ
    時代にこそ差が有りこそすれ君たちの人生で”今”が華なのだ
    人生に情熱を
    パワーオブドリームス

  3. 人生半分以上がバイク乗り より:

    とりあえず、やたら尖った形状にしたりして
    ハンドリング特性を変えてしまう製品は止めて。

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