当記事は2022年3月14日に「ベストカーWeb」に掲載されたものです。 ●文/沼尾宏明 ●写真/URAL JAPAN

「STOP WAR NOW」。

これは、ロシアのウクライナ侵攻に合わせて、ロシア生まれの二輪ブランド「ウラル」がHPやSNSで発信したメッセージだ。日本法人に取材すると、そこには一市民としての当たり前の思いが込められていた――。

合わせて、現時点におけるウラルの国内入荷状況や今後についても調査してみた。

世界唯一のサイドカー専門ブランドとしてファンも多い

ロシアのバイクメーカー「ウラル」は、第二次世界大戦中のソビエト連邦が製造した軍用サイドカーM-72に端を発する。戦後も民間用としてサイドカーの生産は続き、1992年に生産工場を国営からウラルモト株式会社に改組。現在では42か国に輸出され、世界唯一のサイドカー専業メーカーとして好事家に愛されている。

日本国内においては、2007年11月にウラル・ジャパンが設立された。現在では全国20店の認定ディーラー&修理店ネットワークを構築し、国内販売台数は年々20%増のペースで伸長。20代の新規オーナーも多いという。


同社を代表するギアアップ。このスタイルと空冷4スト水平対向2気筒の古典的なエンジンは始祖のM-72から不変だ。270万500円~


二輪駆動による走破性や優れた積載性も魅力。普通免許で運転できる。エンジンはOHV2バルブで排気量749cc。最高出力41psを発生する

2022年はウラルモトの前身であるIMZ社の誕生から80周年にあたり、新排ガス規制のユーロ5対応モデルも発表された。

そんな矢先、日本時間2月26日にロシアがウクライナ侵攻を開始。後日、ウラルの動向が頭に浮かんだので日本法人「ウラルジャパン」(大阪府大阪西区)のWebサイトを覗いてみると、黒地に白文字で「STOP WAR NOW」の表記があり、驚いた。


ウラルジャパンのHP。ツイッターやインスタグラムなど各種SNSにも同様のメッセージが投稿され、一部で話題になっていた

ロシアのメーカーがこのようなメッセージを発信することに筆者は深い意味を感じ取った。さらに調べてみると、ウラル・ジャパンのボリヒン・ブラジスラーフCEO(以下、ブラド氏)は在日ロシア人という。

さっそくウラル・ジャパンにメールで質問をしたところ、3月9日に回答が得られた。

「21世紀に話し合いはできると信じています」


メールでの質問に丁寧に回答して下さったウラル・ジャパンのブラドCEO。幼少期から空手などを通して日本の文化に親しんできたという。写真はウラルジャパンHPより

回答してくれたのはウラル・ジャパンCEOのブラド氏だ。

「2月24日に『平和を祈っている』というメッセージを表記して、26日に『STOP WAR NOW』を出しました」という。

このメッセージは、「米国にあるウラル本社と日本支部であるウラル・ジャパンの発信」で、「私も在日ロシア人として強く戦争に反対しています」とブラド氏は綴る。

なお、筆者はウラル本社がロシアにあると勘違いしていたが、現在は「ウラルモーターサイクルズ」として米国ワシントン州レドモンドのIrbit Motorworks of America,inc. が経営。ロシア工場で車両や部品が生産されている。

ロシアのウラルHPにも同様のメッセージが表示されているのか気になったので質問すると、「表示されていないです。ロシアではそのようなメッセージを表示したら、現在は非常に危ないです。刑事事件になる程です」とのこと。

改めて「STOP WAR NOW」のメッセージに込められた思いを聞いた。
「それはシンプルです。言葉通り『戦争を止めろ』ということです。21世紀に話し合いはできると信じています」(ブラド氏)。

新規生産は保留中ながら、4~5月に日本への便が到着予定

現在の生産状況や今後の入荷見通しに関しては、ウラル本社とウラル・ジャパンHP内の「ウラルニュースレター」に本社声明文として明記されている。

これによると現在、工場での新しいバイクの製造は保留中。車両と部品の入ったコンテナがいくつかあり、現在3月(米国行き)と4~5月(オーストラリア、日本)に到着する予定という。

また、製造済みの出荷を待っているコンテナも多数あり、主な課題である海上輸出の方法について模索中。「日本ルートについては既存ルートが依然使用可能」という。

この「日本ルート」に関して、ブラド氏に尋ねてみると「部品・アクセサリーは問題なく今までと同様に提供させていただきます。車両は、今まで注文されたものを日本に輸入して、お客様に納車いたしますが、新規注文の受付は現在停止しております」との回答だった。

部品については生産が継続されており、外部サプライヤーからの部品は直接転送されている。そして、日本法人とディーラーによる保証、技術サポートは中断されないという。

大阪&東京モーターサイクルショーの出展も取り止めに

さらに3月8日付で、ウラルジャパンが出展を予定していた3月19日(土)~3月21日(月)開催の大阪モーターサイクルショー、および3月25日(金)~3月27日(日)開催の東京モーターサイクルショーについて参加取り止めを発表。

「昨今の情勢を踏まえ、社内で慎重に検討した結果、今大会での展示は適切ではないと判断」したとHPに記載されている。久々のMCショーだっただけに、ウラルジャパンとしては苦渋の決断であり、ファンにとっても残念だったことだろう。


3年ぶりのMCショー出展を予定していたウラルジャパン。ウラルの魅力を広めるチャンスだったが、参加は取り止めに(写真は2019年ショー)

いつの時代も戦争を望むのはごく少数の支配層であり、犠牲になるのは常に無辜の一般市民。もちろん文化や製品に罪はない。もはや叶わないかもしれないが、ブラド氏のコメントのとおり今からでも「話し合い」による平和裡な解決を望みたい。

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コメント一覧
  1. 匿名 より:

    ロシア当局では反戦デモを行っている人を拘束し連行しているとニュースで見ました。
    そんな中、こういう活動ができるのは脱帽ものですね、ウラルのバイク、乗ってみたくなりました。

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