
【市本行平:Webikeニュース編集部】
8月16日、カワサキが欧州で通称「イエローボール」カラーのZ900RS SEを発表。伝説のカラーリングだけでなく、リアにオーリンズサス、フロントにブレンボ製のブレーキキャリパーを装備した特別仕様となる。そして、日本のカワサキモータースジャパンもZ900RS SEをツイッターで投稿。詳細は何も語られていないが、編集部調査によると日本国内での発売も確実だ。
黄色と金、カラーコーディネートも抜群のSE=スペシャルエディション
欧州で発表された2022年モデルのZ900RS SEの通称「イエローボールカラー」は、1972年に登場した初代Z1で欧州でのみラインナップされたという希少なキャンディトーンイエローの再来。今回も2022年モデルが日米欧で公開されるにあたり、イエローは欧州でのみ発表するという過去の“習わし”を踏襲していることにカワサキの伝統に対する強い拘りが感じられる。
そして、SEならではの装備として、まず目に付くのが前後黄金のサスペンション。リアにはオーリンズ製S46リアショックアブソーバーを装着。二人乗りや荷物積載時に簡単に調整できるプリロードアジャスターを右側に装備する他、軽量なアルミボディ内部には大径46mmのピストンを採用し、路面追従性を向上させている。さらに、リアのオーリンズに合わせてフロントの倒立フォークもアウターをゴールドにコーティングし、セッティングも変更された。
また、フロントブレーキには、ブレンボ製M4.32ラジアルマウントモノブロックキャリパーと径300mmブレンボ製フロントディスクを装備。これに伴ってニッシン製ラジアルポンプマスターシリンダーをSTDモデルの径19.1mmから径17.5mmに小径化し、制動力を強化している。ブレーキホースはステンレスメッシュホースを採用している。
細部では、サイドカバーのモデルロゴ「RS」を赤仕上げに。ラジエターサイドカバーとFIカバーをブラックにして引き締めつつ、前後ホイールはゴールドカラーで華やかな印象としている。
▲発表された2022年型Z900RS SE欧州仕様。カラーリングは、メタリックディアブロブラックが正式名となるが、Z1のイエローは黒の部分がグリーン調だったので微妙に異なる
▲リアに採用されたオーリンズ製S46リアショックアブソーバー。フェンダーの奥にオーリンズロゴの付いたボックスがあるが、アナウンスがなく内容は不明だ
▲ブレンボ製M4.32キャリパーは32mmピストン×4ポットのシステム。径300mmブレンボ製フロントディスクと組み合わされることでコントロール性も期待できそう
▲欧州で当時ポスター化された、キャンディトーンイエローのZ1。あまり資料がないカラーだがこのような色味だったようだ。リアフェンダーが長いのが欧州仕様の特徴だ
イエローボールの登場で、Z900RSは初代Z1の伝説カラーをコンプリート
世界のバイク史でも大きなトピックスとなるカワサキのZ1(900スーパーフォー)は、1972年秋に出荷が始まったモデル。年式では1973~1975年までの3年間がZ1と呼ばれるモデルで型式はそれぞれZ1、Z1A、Z1Bとなる。
まず、2018~2019年の初代Z900RSでは、初代Z1のキャンディトーンブラウン、通称「火の玉(ファイアーボール)」カラーが再現されたのは記憶に新しい。2020年にはZ1Aのキャンディトーングリーン=通称「イエロータイガー」を再現。さらに2022年型で、9月1日にZ1Bのキャンディトーンスカイブルー=通称「青玉虫」を再現して発売される。色を出す順番も律儀に1973年Z1→1974年Z1A→1975年Z1Bと踏襲しているところはカワサキの当初からの計画だろう。
上記のようにSTDモデルできっちりZ1の歴史をトレースし、幻のカラーと言える「イエローボール」までSEで再現。これでZ1の伝説カラーは概ねコンプリートしたことになる。ちなみに編集部の調査によるとイエローボールのZ900RS SEは日本でも10月末に発売されると思われる。価格はZX-14Rなどの前例から推定すると20万円程度アップしそうなので、税込みで160万円前後と予想される。
▲1972~1973年の初代Z1。カワサキZを象徴するカラーでゼファーでも採用された。キャンディトーンブラウンは一般的に「火の玉」と呼ばれる
▲2018年にデビューしたZ900RSの初代カラー。キャンディトーンブラウン×キャンディトーンオレンジは、現行型にはない色で中古相場が上昇している
▲1974年のZ1Aで採用されたキャンディトーングリーン。この年式から直線的なライングラフィックに変更された。一般的に「タイガー/イエロータイガー」と呼ばれる
▲2020年にカラーチェンジしたZ900RSのカラーバリエーションのひとつ。キャンディトーングリーンがカラー名となる
▲1975年のZ1Bで採用されたキャンディトーンスカイブルー。前年の直線的なライングラフィックを一部改良。一般的に「玉虫/青玉虫」と呼ばれる
▲2021年9月1日発売の2022年型Z900RSのキャンディトーンブルー。日米欧でラインナップする標準カラーとなる。5年越しで伝説カラーをコンプリートし次は角ゼットに移行か!?
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