【ケニー佐川:Webikeニュース編集長】

最近、並列2気筒エンジンを搭載したフルカウルのスーパースボーツモデルに注目が集まっている。新たなトレンドになるのか、その可能性を探ってみた。

100万円で買える本格的SS、爆発的ヒットの予感

日本のスポーツバイク好きが今一番注目しているのが「YZF-R7」だろう。ヤマハが今年5月に欧米向けモデルとして発表。先頃新型がデビューしたMT-07をベースに純粋にライディングを楽しむことを狙ったファンライド向けフルカウルスポーツという位置づけだ。

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エンジンは水冷4スト並列2気筒DOHC4バルブ689ccからMT-07同等の最高出力73.4ps/8750rpmを発生。強化されたスチールフレームはディメンションをスポーツ寄りに変更し、前後サスも専用の倒立フォークとリヤショック、ブレーキもラジアルマウントのマスター&キャリパーへと大幅にアップグレード。

シフトダウン時のエンブレを緩和するアシスト&スリッパークラッチも新たに装備された。車重こそ188kgとこのクラスとしては標準的だが、ホイールベースは1395mmに切り詰められ、ライポジもトップブリッジ下にセパレートハンドルをセットするなど、YZFシリーズのフラッグシップ「R1」を彷彿させる本格的なスポーツ仕様となっている。

なお、日本での発売は2021年末で価格も100万円前後に抑えられるようで、すでに爆発的ヒットの予感がする。

次期Moto2マシン!? KTMが放つサーキットウェポン

また、先週KTMの本国サイトで2022最新モデルとして「RC 8C」が発表された。このマシンのプロフィールとして、“ヒジ擦り”を目指すアグレッシブライダーのための超軽量サーキット専用ウェポンと言い切るなど、まさにKTMらしさ全開のマシンとなっている。

エンジンは最高出力128psを発揮する890デュークR用の水冷4スト並列2気筒DOHC4バルブ889ccを搭載。そして車重は乾燥で890デュークRを26kgも下回る140kgジャストという強烈さだ。KTM伝統のクロモリ製トレリスフレームと削り出しパーツで構成されたシャーシは手作りで妥協なく作り込まれ、ステアリングヘッド角やオフセット量などの調整も可能。

前後サスにはMotoGPマシン「RC16」同様の工程で組み立てられるWP製APEXプロスペック仕様に、もちろんブレーキシステムはブレンボ製の最高峰スティルマが奢られるなどまさにレーシングスペック。さらにダイマグ製鍛造アルミホイールにピレリ製レーシングスリックを履くなど本気のタイムアタック仕様になっている。ちなみに100台限定で価格は日本円で約430万円ということだが、すでに予約完売とのこと。

このマシンをどのカテゴリーで走らせるのかが興味深いところだが、ひとつ言えるのはMoto2スペックに近いということ。現在Moto2は規定によりトライアンフ・ストリートトリプルR用の3気筒765ccを採用しているが、2気筒換算で考えると同カテゴリーで戦っても不思議ではない。
もちろん何の根拠もないが、公道用モデルの計画も含め楽しみにしたい。

実体験で分かったパラツインのメリット

いま何故パラツイン(パラレルツイン=並列2気筒)なのか!? という問いへの答えを得る機会が実はつい最近あった。すでに国内発売しているアプリリアのRS660にサーキットで試乗したのだが、その走りの良さに感心したのだ。

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エンジンは新開発の水冷並列2気筒270度クランク採用660ccで最高出力100psと、それだけ見ると目立ったスペックではないのだが、これがとにかくスムーズで扱いやすい。パラツインならではの鼓動感とフラットなトルクで路面をホールドする感覚が掴みやすく、大排気量直4エンジンのような爆発的なパワーの急上昇がないのでスロットルを開けてもコワくない。
逆に言うとそのぶんアクセルを早く開けられるのでコーナー立ち上りも速いし、全開時間が増えるのでストレートでのトップスピードも伸ばせる。そして最新の電子制御がライダーの腕をフォローしてくれる。

同じアプリリアのフラッグシップモデル、RSV4とスペックで比べてもホイールベース(1370mm)は69mm短く、シート高(820mm)は31mm低く、車重(183kg)は16kgも軽いなど、数値を見ても明らかに軽量・コンパクトでくるくる曲がるイメージが伝わってくると思う。もちろん、RSV4は200psを軽く超えるスーパーバイクレーサー直系マシンなので比較にはならないが、「普通のライダー」にとってどちらが扱いやすいかは明白だろう。

ということで、ミドルクラスの並列2気筒スーパースポーツをひと言で表現すれば、“ライダー・ファーストなマシン”ということだ。それは性能だけでなく価格面も含めてだ。ブームの兆があるとすれば、そのことに世界中のライダーが気付き始めたということだろう。

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