【市本行平:Webikeニュース編集部】

「バイクは昼間もライト・オン!」。1989年、当時絶大な人気を誇ったアイドル・酒井法子さんによる“のりピーちゃん"イラストとともに官民一体の啓蒙活動が実施されていた。バイクの被視認性を高めて事故を抑止しようというのが目的だが、のりピーちゃんの起用もむなしくライダーの反応はいまいちだった。

メーカー側はこの活動に応えるため、1991年型のセロー225などライトのオン・オフスイッチを撤去し常時点灯としたモデルをリリース。しかし、バッテリー上がりなどを懸念したライダーは、当時パーツメーカーがリリースしていたライトのオン・オフスイッチを取り付けて、消灯できるようにカスタムすることもよくあったという。

▲写真は1993年型のセロー225W

その約10年後の1998年4月に道路運送車両法が改正され、バイクは構造的に昼間点灯するように義務付けられ、同時に常時点灯車を運転するライダーにも点灯が義務付けられた。それ以前のモデルには昼間点灯の義務はなかったが、いつしかバイクがヘッドライトを点灯させたままで走る姿は当たり前のものになっていったのだ。

そして、今度は昼間はライトオフに!? 2020年に国土交通省の保安基準が改正され、バイクでもデイタイムランニングライト(DRL)による昼間点灯が認められるようになったのだ。これにより昼間はヘッドライトオフを常態とし、DRLが常時点灯されるようにすることもできるのだ。クルマは一足早く2016年から認可されており、DRLの点灯がよくみられるようになったのはこのためだ。

ついに2021新型X-ADVが国内バイクDRLの第一号に!

2021年3月25日発売される新型のホンダX-ADVが、国内モデルとしは初めてデイタイムランニングライトを採用。メインのヘッドライトは昼間点灯の義務付けの適用外となりオフの状態で走行できるようになった。もちろん全面オフではなく、DRLがスタイリッシュに点灯するデザインとなっている。

▲上(PC表示では左)がDRLのみ点灯、下(PC表示では右)がヘッドライトも点灯させた状態

といってもヘッドライトのオン・オフスイッチが増設された訳ではない。メインのヘッドライトのオン・オフは自動化されており、暗くなると自動で点灯、明るくなると自動で消灯するようになっている。これは、夜間のヘッドライト点灯忘れに対する措置で、国内でのDRLの導入にはオートライトがセットになっているのだ。

▲新型X-ADVの右側スイッチ。かつてヘッドライトオン・オフスイッチは右側にあったがそのスイッチはない

今後は輸入車を中心にDRLの普及が進みそう

海外ではバイクのDRLは採用が進んでいたが、これまでは日本に導入される際にヘッドライトが常時点灯化されていた。今後は、海外ブランドのDRL採用車は現地からそのまま日本にも導入されることになるはずだ。最近のモデルは、DRL点灯時の外観も含めてデザインされているので、本来の姿で購入できるのは嬉しいニュースだろう。安全面も担保されており、スタイリングとセーフティを両立したメカニズムだ。

▲3月13日に国内で発売されるムルティストラーダV4。DRLだとカッコよく目立つ!

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