【ケニー佐川:Webikeニュース編集長】

最近、気になる2輪の交通事故がある。駐停車中の車両への追突による死亡事故である。見通しのよい直線路で、何故そのようなアクシデントが起きるのか、実例に基づき検証してみたい。

大型トラックに追突するケースが目立っている

今年1月11日午後11時前、京都府京田辺市の府道で同市の会社員男性(47)の運転するバイクが路上に駐車中の大型トラックに衝突し死亡。また、同1月20日の午後3時半過ぎ、神奈川県横浜市の市道で第一車線左側に駐車中の大型トラック後部に原付バイクが追突し運転していた男性(67)が死亡している。

さらに、今月24日の午前10時過ぎ、千葉県袖ケ浦市の市道で路肩に停車していたトラックに自転車が衝突し、同県在住の競輪選手(21)が亡くなっている。現場は工場地帯を通る片側2車線の見通しのよい直線道路で、県警によると同選手の前方不注意が原因とみて調べているとのこと。このニュースは現役競輪選手の事故として大きく報じられた。バイクと自転車、車種は異なるにしろ、同じ2輪として考えるべきことが多い痛ましい事故である。

これら最近のケース以外にも、ちょっと調べただけで過去にもおびただしい数の同様の事故事例が出てくる。カーブでもなく雨でもないのに、昼間の見通しの良い直線道路で何故これほどまでに追突事故が起きてしまうのだろうか。

配送車が悪いわけではない

ある建設会社の関係者に聞いた話だが、建設現場への資材搬送のため車両を道路脇に横付けせざるを得ない場合も多く、そこに2輪車が衝突するケースが実際に発生しているとのこと。ドライバーには安全管理を徹底するよう指示しているようだが、すべての現場で人員配置して交通誘導するまでは、なかなか徹底しきれないのが現実のようだ。

また、商業地などでは配送車用の荷捌き駐車スペースを設置している道路もあるが、幹線道路などでそのような施設を見ることは少ないと思う。路上駐車せざるを得ない状況もあるのだろう。誤解のないよう念押ししておくが、けっしてトラックが悪いと言っているわけではない。
今の交通環境の中でリスクが高い立場に置かれているということだ。さらなる交通環境の整備が求められると思う。

見るべきものが見えていない

話を戻すが、つまりは普段あまり大型トラックなどが駐車していないような場所で、2輪の追突事故が起こっているのではないだろうか。

いつも配送車両が路肩に止まっている場所ならだいたい覚えているし、混雑して危なそうな道であればライダーも十分気を付けるだろうが、人間は予測していない事態に咄嗟に反応するのが苦手である。特に通い慣れた道であるほど気も緩みがちだ。ついつい油断して、見るべきものが見えていなかったのかもしれない。

ライダー心理、2輪車の特性が影響か

もうひとつ、ライダー心理にも要因があると思う。2輪車には軽快で機動力が高いという特性がある。混雑した道でもスイスイと抜けていけるのがメリットであり、時としてそれが盲点にもなる。日本の道路で追い越しをする場合、原則として追い越される車の右側を通行しなければならないと道交法で定められている。
運転免許を持っている人ならば、このルールは知っていて当然だが、自分の左側の車線が空いていれば、ついつい左側から追い越しをかけたくなることはないだろうか。それが朝夕の通勤ラッシュ時ならなおさらだろう。

遅刻しないようにと気が急く中、前を塞ぐバスやトラックにいらいら。ふと左側車線が空いていたので、アクセルを開けつつ左側から一気に追い越しをかけようとした瞬間、目の前に駐車車両が……。
これがニュースに載らない裏の真相ではなかろうか。ライダーであれば、誰もが似たような経験があるはずだ。昼間の見通しの良い直線道路での不可解な追突事故の説明がつく。
もちろん、居眠りや病気などの影響でボーッとして、あるいはナビなどの脇見運転ということもあるかもしれないが、一方でライダー心理や2輪の特性ゆえの事故パターンも少なくなさそうだ。

それでも追突した側に非がある

ちなみの駐車車両への追突の場合の過失割合はどのようになるか。一般的には追突した側の前方不注意などによる過失が100%となる場合が多い。
ただし、事故のあった場所が駐停車禁止場所であった場合には、通行妨害になどより危険を高めたとされ、過失割合も変わってくる。ただ、いずれにしても、過去の判例などを見ると「追突した側」に非があると判断されることが多いようだ。

過失割合がうんぬんと言っても、死んでしまったら元も子もない。駐車する側も走行する側も、これは危険なシチュエーションではないのか? どうしたら悲惨な事故を防げるか? を常に自問自答しながら日々の交通社会を共有していただければと思う。

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