【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト】

バランスを見据えたうえで細部まで改良が及ぶ新型

SBK世界選手権6連覇の「ZX-10R」。と聞くと、さぞかしサーキット走行に特化した先鋭的なマシンとの印象がありますが、全くそんなことはありません。特に電子制御サス装備の「10R SE」だと、モードを切り換れば普通のストリートスポーツばりの友好さです。そんな根底にある寛容性が「10R」の強さなのかもしれません。

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その10Rが3度目のメジャーチェンジを受けました。その内容やサーキット性能とストリート性能を一石二鳥で高次元化させていて、「使ってナンボ」というカワサキらしさが反映されています。クルーズコントロールやスマホとの接続性を高めたTFTメーターパネルの採用は元より、走りの機能面での改良が細部まで及び、それらがお互いに強調し合うというワークスマシンばりの煮詰めを思わせます。

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しかも、英語のプレスリリースにある内容からは、テストライダーのコメントが浮かんでくるかのようです。これは開発チームとしての狙いがはっきりしているということであり、表向きの表記も多い中、大変に好印象です。

ライポジの小変更が方向性を物語る

▲ZX-10R

21年型のライポジは、ハンドル位置が10mm前に、ステップを5mm高く、シート座面は後方を高くして角度が強められています。そのハンドル設定がジョナサン・レイ仕様に近いことはともかく、積極的に荷重コントロールしやすく、ステップワークしやすい方向です。

絶妙にスポーツ指向を強めているのですが、グリップ位置が前方に移動したことで、切れ角一杯での燃料タンクとの隙間が稼げ、小回りしやすいというメリットも生んでいます。シート座面前部の高さは変わらないので、足着き性への悪影響もないでしょう。単なる先鋭化ではないのです。

ピボットは1mm低く、フロントフォークのバネは少々ソフトになりました。ダンパーの変更も伴っているでしょうが、スロットルワークで姿勢変化させやすい方向です。また、フォークオフセットは2mm大きくし、初期旋回で舵角を入れやすくさせています。これらにより、日常域でもよりコントロールを実感しやすいと期待できます。

安定性は劣ることになりますが、スイングアーム長が8mm伸びて、ホイールベースは10mm延長、安定性と操縦性が絶妙にバランスしていると思われます。
また、アンダーブラケットのクランプ幅が拡大され、剛性が高められています。レイの言う10Rの美点でもあるブレーキング時の安定性がさらに引き上げられているのです。

ミッションのワイドレンジ化は公道にも順応しやすい

新型は1~6速の全てのレシオと2次減速比を変更、結果的に特に1~3速をショートレシオ化しています。高回転域のコントロール性が高まり、高回転を保っていても扱いやすいおかげもあるでしょうが、サーキットの低速コーナーで駆動力を稼ぎやすく、これは公道でも扱いやすくなっているはずです。

▲ZX-10RR

ホモロゲマシンの「10RR」に関しては、軽量ピストンや2本ピストンリングの採用、カム、バルブスプリング、エアファンネルの変更により、上限回転数を14300rpmから14700rpmに高められています。市販車の上限回転数によってSBKマシンの上限回転数の上限回転数が決まってくることもあって、これは大きい戦闘力アップになるはずです。

また、10Rも含め、オイルクーラーの変更と共に循環路を独立させ、冷却性能も高められています。

空力面の改良はレーシングマシンでより威力を発揮しそう

▲ZX-10RRワークスマシン

見た目にも明らかなのが、フロントマスクの違いです。ラムエア導入口はコンパクトで、LEDヘッドライトも軽量化されているのですが、驚くべきはダウンフォースが17%も向上していることです(空気抵抗も7%ダウン)。基本フォルムが市販車と同じでなくてはならないSBKマシンにとって、大きなメリットになるはずです。

実際、昨年11月から新型のワークスマシンもテスト走行を開始しており、空力特性やエンジンのドライバビリティなどジョナサン・レイからも高評価を得ているようです。

過激になって不思議ではないSBKにおいて、10年も前になる11年型の基本設計を踏襲するマシンが今年も活躍しそうなことに、注目してしまうのです。

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