
一般社団法人日本自動車工業会は、2019年度に実施した二輪車市場動向調査の結果を取りまとめ、発表した。この調査は、新車購入ユーザーにおける特性や使用状況、今後の購入や保有の意向などを隔年毎に調査し、需要の質的変化の見通しに役立てようとするもの。また、今後の販売に資する取り組みの方向性を検討するため、トピック調査も実施された。
以下プレスリリースより
目次
I.新車購入ユーザー(時系列)調査結果
・二輪車需要は2013年度以降、緩やかな漸減傾向にある。
・二輪車需要は2013年度と比べ、2018年度は77%にまで減少。2015年度以降、40万台を下回る水準で推移している。
・二輪車保有台数は2013年に比べ、91%と緩やかに減少。特に「原付第一種」の減少が大きい。但し「原付第二種」以上は微増している。
・前回調査と比べ、30代以下の構成比が6ポイント低下し12%、1ポイント増えた70代以上が12%となり、並んだ。これにより全体の平均年齢が52.7歳から54.7歳と2歳高くなった。
・全体での使用日数は3.9日から3.7日に減少。これに伴い、月間走行距離も265kmから239kmと、26km減少した。
・購入した二輪車への満足度は概ね高く、特にスピード感は期待度を大きく上回る。
・オンロードユーザーを中心にツーリング経験率は高く、特に宿泊を伴うものへの意向も高い。オンロードユーザーはサーキットの・体験走行への意向も高いうえに、増加傾向にある。
・二輪車継続乗車意向の変化をみると、2013年度は88%であった「継続乗車意向あり」が、2019年度は6ポイント低下している。継続意向を示す割合は高い一方、低下傾向にもある。
II.トピック調査結果
1)二輪車のサブスクリプション(定額)の受容性
・新規購入者は、現ユーザーと比較して、若年層や女性が多く、近年は女性が拡大している。
・二輪車に乗る人、購入意向がある人は幅広く存在している。中古車ユーザー、レンタルユーザー、過去保有層、未保有層、潜在需要層である。未保有層や潜在需要層は、女性や若年層が多い。
・二輪車に乗る人の社会的イメージを向上させ、二輪車にエントリーしやすい環境づくりが求められる。イベントでのリアルな体験や、ネットを通じたコミュニケーションが期待されている。
・中古車ユーザー、レンタルユーザー、過去保有層、未保有層、潜在需要層など、二輪車の潜在的な需要層は幅広く存在している。新規購入者を拡大するとともに、潜在層に対しては阻害要因を軽減することで、バイクに乗る人を増やすための「ステップアップの促進策」が求められると考えられる。
2)一般の人々のニーズに合う二輪車ベネフィットの発掘
・多くのユーザーは二輪車のイメージとして「趣味性」を、他人から見られたいイメージとして「人生を楽しんでいる」をあげる。
・行きつけの販売店の廃業等に直面したユーザーの一部は、部品の調達先、メンテナンス先として、用品店やネット通販を通じた購買や、動画サイトを参考に自らの手によるメンテナンスを選び、販売店を経由しない新たな購買などの行動が見られつつある。
3)求められる「あるべき販売店」と実際との差
・現状の販売店に対しては、展示される二輪車の間にゆったりとしたスペースがあり、ゆっくりと落ち着くことのできる環境が望まれる。店内の二輪車の展示のあり方や、落ち着いた環境づくりについて、検討の余地がある。
・販売店の選択理由は「訪ねるのに便利な距離」、満足度は「販売店の信頼感」と普遍的な結果になった。信頼感については、例えば、ユーザーからの修理、メンテナンス依頼への可能な限りの対応や、地域イベントへの積極的な参画等、地元、地域への地道な販売活動が重要となる。
4)乗り換え需要の動機把握
・より大きな排気量帯への乗り換えユーザーの前車使用期間は2年以内が多く、短期間で買い替えるユーザーが多い。同排気量帯への乗り換えの前車使用期間は10年以上が多く、故障するまで利用すると推測される。より小さな排気量帯への乗り換えの前車使用期間は3年以内が多く、車検をきっかけに乗り換えると推測される。
ご参考
情報提供元 [ JAMA - 一般社団法人日本自動車工業会 ]
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