【ビッグマシン・ゼロ:文-中村友彦 写真-真弓悟史】

世界に名を轟かせるレーシングコンストラクターでありながら、’70年代から4ストミニにも力を入れて来たヨシムラ。当企画ではモンキー125を中心に、ホンダ125ccシングルの新作パーツを紹介しよう。

ヨシムラパーツで乗り味とルックスが激変!!

機械曲ストレートサイクロン 政府認証

●税込価格:4万1040円 ●発売:6月 ●音量:近接88dB・加速78dB ●重量:1.9kg(STD:5.0kg)

STDを全域できっちり凌駕

シャシーダイナモで計測したデータを見ると、高回転域以外はSTDもヨシムラ車も大差なし?という印象を受けるものの……。実際の乗り味はデータとは異なり、ストレートサイクロン装着車は全域でSTDを凌駕。低中回転域でもトルク感の増大が確認できた。

▲材質はステンレス+耐熱黒塗装。外観は’70年代風だが、内部は現代の技術で音量規制をクリアする。

▲長めの管長を確保したφ32mmのエキパイを途中から覆う形で、中央部にはテーパー型のパイプを使用。

▲ヨシムラステップKIT用の専用オプションブラケットは現在開発中。

往年のAMAレーサーを再現

▲70年代のAMAスーパーバイクで活躍したZ1レーサーを彷彿させるカラーリング塗装は、ヨシムラと親交が深いYFデザインが担当。

エンジンケースガードKIT「PROSHIELD」(1万6200円)
▲クラッチカバーに刻まれる英字も、ヨシムラファンにとってはお馴染みと言えるだろう。

アルミヘッドサイドカバー(1万1880円)
▲シリンダーヘッドの左カバーには、’60年代から継承して来たカタカナ表記のロゴを刻印。

右サイドカバーSET(1万8360円~)
▲ダウンマフラー装着時に使用。左側の純正サイドカバーをイメージしつつデザイン変更。純正近似の赤と黄に加え、無塗装も発売予定。※「Monkey」純正ロゴステッカーは別売

▲油温と電圧を切替表示できる小型メーター・PRO-GRESS1。センサーとセットで1万584円。


▲シート下のフレームに装着するキャップ(左右で5184円)には猿とバナナをレーザー刻印。

重厚さと力強さが楽しめるストレートサイクロン

上段では多種多様なパーツを紹介しているけれど、ここでお伝えするのはモンキー125用フルエキの第2弾として登場した、ストレートサイクロンの印象。昔ながらのスタイルを導入したこの製品で、開発陣が最も苦労したのは、排気音量を規制値内に収めることだったと言う。
そしてそういう視点で見るなら、現代的な構造を採用した第1弾のGPマグナムのほうが、音量を抑えつつ、パワーを出しやすいのだが……。

いやいや、ストレートサイクロンの実力も相当以上だった。と言っても厳密な話をするなら、高回転域の伸びはGPマグナムに分があるけれど、低中回転域のトルクはストレートサイクロンのほうが太く感じるし、小排気量車とは思えないほど重厚でパンチが利いた排気音も、この製品ならではの魅力と言えるだろう。
もちろん比較対象をSTDとするなら、ストレートサイクロンだって高回転域の伸びは相当にシャープになっているし、スロットル操作に対する反応のよさや振動の少なさを含めて考えると、この製品はすべての面でSTDを凌駕していたのだ。

となれば、ヨシムラのモンキー125用フルエキは、ルックスで選んでOK!……と言いたいところだが、前述のように高回転域の性能は現代的な構造のGPマグナムも捨てがたい。とはいえ昔ながらのスタイルで性能向上を体感したい人にとって、ストレートサイクロンは最高の選択肢になるはずだ。

ハイカムとサブコンでモンキー125をさらに速く!

モンキー125のエンジン特性を変更するチューニングパーツとして、ヨシムラではバルブリフト量と作用角を増やすST-1M/ST-2Mカムシャフトと、燃料噴射マップを調整するサブコンのBAZZAZを販売している。
そしてST-1M+BAZZAZ+ストレートサイクロンという仕様をクローズドコースで試乗した僕は、同社の技術力とホンダ製水平単気筒の潜在能力を見せつけられることになった。
体感上としてはSTDエンジン+ストレートサイクロン装着車と同等の扱いやすさを残しつつ、中~高回転域では一発一発の燃焼にかなりの力強さが感じられるし、100km/hちょっとの最高速に到達するまでの時間は、STDや排気系のみを変更した仕様より、明らかに短くなっていた。
だからもう、スポーツライディングが楽しくて仕方ないのだが、その一方で常用域での扱いやすさがSTDと同等だったことにも、僕は大いに感心させられたのである。

ST-1M カムシャフト(2万2680円)
▲エンジン出力が大きく向上するST-1Mカムは、グロム用がベース。ST-2Mとともに近日発売予定。

BAZZAZ Z-Fi(4万608円)
▲サブコンはカム変更時の必需品。ヨシムラが扱うBAZZAZのZ-Fiは、2種のマップ設定・切り替えが可能。※BAZZAZはクローズドサーキット専用部品

バックステップ「X-TREAD」も開発中!


現在ヨシムラはモンキー125用バックステップ、X-TREADを開発中。操作性とグリップ力の向上を実現するこの製品には、同社がレースで培ったイメージが反映されている。

ヨシムラ初のスーパーカブ用マフラーも登場!

本来のバランスに配慮した巧みなレベルアップ

スーパーカブはSTDが一番。これまでの僕はそう思っていた。もちろん、スーパーカブでカスタムを楽しんでいるライダーが、世の中に数多く存在することは知っていたけれど、このバイクの場合はSTDのバランスが絶妙なだけに、部分的な性能向上を実現してもメリットは少ない……と、僕は感じていたのだ。

が、ヨシムラのデモ車を体感した今は、その考えを改める必要に迫られている。何と言ってもGPマグナムを装着したC125は、全域でSTDを上回るパワーと鼓動が満喫できる一方で、バランスに対する違和感がまったくなかったのだから。
ただし僕がそう感じた背景には、C125の車体にもともと備わっている、既存のスーパーカブシリーズとは一線を画する包容力があったのかもしれない。
とはいえ、GPマグナムを導入することで、高回転域では鋭い吹け上がり、低中回転域では濃厚なトルクが味わえるようになったヨシムラのデモ車は、C125のスポーツ仕様として、ホンダが販売しても不思議ではないほど、良好なバランスを実現していたのだ。

なおヨシムラ製マフラーと言うと、運動性が第一義と思われがちだが、同社ではツーリングでの快適性にも同等以上の配慮を行っている。事実、今回テストしたC125用とモンキー125用のフルエキは、上質な排気音を堪能しながらのまったり巡航が実に楽しく、僕はそのまま旅に出かけたい衝動にかられてしまった。

スーパーカブC125用機械曲GP-MAGNUMサイクロン
EXPORT SPEC 政府認証

●税込価格:4万2660~5万5620円 ●音量:近接89dB・加速77dB ●重量:2.7~3.0kg(STD:3.9kg)

4種類のサイレンサーを設定する

▲水平配置のSTDとは異なり、GPマグナムはスポーティなテールアップスタイル。伝統的な円筒型サイレンサーのカバーは、ステンレス、サテンフィニッシュ、チタンブルー(写真)、カーボンの4種を設定。エキパイはステンレス。

▲エキパイ後部には排気脈動を考慮したテーパーパイプを導入。ジョイントスプリング+ラバーもヨシムラ製。

▲T型サイレンサーステーはステンレスのロストワックス製法。表面にはヨシムラのロゴが刻印されている。

▲サイレンサーエンドには、商品名をレーザーマーキング。バンドとリベットも、ヨシムラのオリジナルだ。

小排気量用マフラーの新生産拠点 ヨシムラのタイ工場を訪れる

マフラー作りは人作り?高品質を死守する努力

マフラー用のパイプを切断すると、切り口にはわずかな“バリ”が出る。0.1mmほどの小さなものだが、これが溶棒代わりに使えるため、パイプ同士を溶接する時は削り落とさず、あえて残しておくのだという。ヨシムラ流の美しい溶接ビートの、ちょっとした隠し味と言えようか。

また、工場長の岡本敦さんはこう話す。「我々の製品は手作業の工程が多いので、製作者の意識がとても大切になります。“綺麗な製品を作ろう”という想いなしには、高品質なマフラーなんて作れないんです」。

▲工場長の岡本敦さん。

美しい製品作りのノウハウと、そこに携わる作り手のプライド。“ヨシムライズム”の核と言っていいだろう。これを余さずタイのスタッフに伝承し、日本と同品質のマフラーを作る……。ヨシムラアジアは今、そこに全力で取り組んでいる。

2年ほど前に本格稼働したヨシムラアジアは、150㏄以下の小排気量用マフラーの製造拠点。先に紹介したモンキー125やスーパーカブC125用のマフラーもこのタイ工場製だ。大排気量車用マフラーは日本とアメリカで作り、小排気量用はタイ生産で性能もコストでも競争力のある製品を生み出し、アジアでビジネスを展開していく。それがヨシムラアジアの目標なのだ。

とはいえ、カブやモンキーのマフラーは日本製と遜色ない美しさだったし、工場内は清潔で、スタッフも真剣に作業している。「きちんとした工場だな」が見学者の率直な印象だ。伝承はうまく進んでいるのでは?

しかし代表取締役の村田俊弘さんは「まだまだです」と首を振る。海外生産で品質を保つには“作るための条件”が重要。例えばパイプを曲げる機械に日本と同じ、最適なプログラムを施して生産に入れば、8割程度の完成度のモノは最初から作れるのだそう。目下の課題はその先の2割を担う“人の力”の育成だ。
「毎日が戦争です(苦笑)。彼らは繰り返し作業が苦手なので、最初はいい仕事をしても、ロットが進むほど不良品が増えたりする。お客様に届けるのは完璧な製品だけですが、その裏で沢山のマフラーが廃棄されていたりする。それはあなたの給料ですよ……って、ルーティンの大切さを根気よく伝えている段階です」

とはいえ、日本人よりヨシムラの歴史に詳しい現地スタッフの出現などは、努力が結実しつつある証拠。そこには、ヨシムラジャパンの取締役も兼務する村田さんが指揮を取り、日本の工場長だった岡本さんがタイに常駐するという、トップが自ら新事業に挑む姿勢も見逃せない。

現在は日本や北米向けのマフラーを作る下請け的な立場だが、将来的にはビジネス含め、タイ人だけで回せる体制にしたいというヨシムラアジア。日々、日本のトップコンストラクターのノウハウを吸収中のスタッフを見つつ、岡本さんが続ける。「この子たちがヨシムラの技術を学び、身に着けて、それを次の世代にも伝えてくれたらいいなぁ……って。我々は皆、そう思っているんです」

YOSHIMURA ASIA CO.,LTD.

▲日本、アメリカに続く第3の拠点として'13年に設立。バンコクから車で1時間ほどのパトゥムターニー県にあり、150cc以下のマフラー生産を担う。

日本と“同じ条件”をタイにも作る



▲パイプベンダー(上)やカッターは日本で使っていたものを持ち込む。機械自体に加え、その初期設定を日本と同一に揃えることが、短期間で生産精度を高めるためのキモ。

溶接作業はマフラー作り最重要項目

▲接合部の角度出しや清掃など、前工程の仕事が仕上がりを左右する溶接作業。ここでミスれば前工程はムダになるし、逆に前工程に瑕疵があれば溶接は上手くいかない、マフラー製作のハイライトだ。

▲油圧を使い、パイプの径を広げたり縮めたり(それぞれ“拡管”“縮管”と呼ぶ)する機械。なんとヨシムラ製!

▲生産スケジュールや進捗状況を記したボード。今月の目標に対し、今どんな状況かを周知してもらう工夫の一環。

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