
【ケニー佐川:Webikeニュース編集長】
電動化に向けてビッグ4が足並みを揃えた
国内2輪大手のホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの4社が電動バイクの普及に向けた協議会を立ち上げることになった。バッテリーや充電設備などの規格統一化や共用化などを進め、国際競争力を強化するのが狙いだ。
ホンダとヤマハはすでに先行してスクーターなど原付一種(50cc)に関しては業務提携の形で、2017年からさいたま市で実証実験を開始。これにより、従来の電動バイクが課題としていた航続距離・充電時間・性能・コストなど問題をクリアし、原付を中心とする電動バイクの普及を目指すとしていた。
プロダクトの面でもヤマハは2015年より電動スクーターの量産市販モデルのE-Vinoを投入、ホンダも昨年からPCXエレクトリックをリース販売するなどそれぞれ実績を上げている。これに今回からスズキとカワサキも加わり、本格的な電動化に向けて世界のビッグ4である国内4メーカーが足並みを揃えたことになる。
電動化はもはや待ったなし
環境問題への対応から世界的に排ガス規制強化が進む現在、2輪を含むモビリティの電動化は避けては通れない道だ。ただ、EVの心臓部に当たるリチウムイオン電池や次世代の高密度エネルギー電池の開発、EVの普及に欠かせないインフラの要となる充電設備の整備などには莫大なコストがかかるため、これまで既存の二輪車メーカーは単独でのEV開発に二の足を踏むことが多かった。
ただ一方で世界に目を転じると、台湾の「Gogoro(ゴゴロ)」などは街中で簡単にバッテリー交換ができる充電ステーションと自社電動スクーターをセットにしたビジネススキームで販売台数を大幅に増やすなど成功している。また、先日の東京モーターサイクルショー2019で日本初公開され注目を集めたKYMCOの電動スーパースポーツ「Super NEX(スーパーネックス)」は、高性能モーターと6速ミッションを搭載し0-250km/hに僅か10.9秒で到達する高スペックを披露。さらに今年の秋に米国で発売予定のハーレー・ダビッドソン初の電動バイク「Live Wire」は時速60マイル(約96km/h)まで3.5秒で加速し、フル充電で110マイル(約176km)走行可能とし、既存のガソリン車のスポーツバイクに匹敵する性能を有するなど、趣味でバイクを楽しむファン領域でも存在感を示しつつある。
こうした中、近年において世界の2輪業界を牽引してきた国内メーカーとしても、EVへの進出はもはや待ったなしの状況と言えるだろう。
いまこそオールジャパンで挑むべき
にわかに活気を帯びてきた日本の電動二輪の動き。歴史を振り返ってみても時代に逆行することはあり得ない。19世紀は蒸気機関、20世紀は内燃機関、そして21世紀はエレクトリックの時代であることは間違いなく、各国の基幹産業でもあるモビリティの覇権を巡る世界の動きはますます加速していくだろう。今こそ異業種・他業種ともタッグを組んだ、オールジャパン体制で世界に挑むことが求められている。
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