前後サスは荷重の受け渡しが大切だと、MT-07に改めて教えられた。

【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト】

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MT-07のサスペンションって、やっぱり変?

バイクに手を入れて好みに仕上げていくのは楽しみの一つでしょうが、私が最近、愛車にしたMT-07にそうしたものを求めていませんでした。45年以上もテストライダーを務めてきただけに、ただ何も考えずに走りを楽しみたかったのです。だけど、そうは問屋が卸してくれませんでした。サスペンションへの対策を余儀なくされたのです。

確かに、MT-07への試乗でも、サスへの不満はありました。フルブレーキングでリヤがリフトしそうなほどの急激な姿勢変化で挙動を乱しがちだし、コーナーでスロットルを開いてもリヤにうまく荷重が載らず、タイヤとのマッチングが悪ければリヤが細かく跳ねそうな気配さえありました。

でも、これらはリヤが高荷重設定であるためで、軽量の私に合わせてプリロードを落とせばいいと踏んでしまったのです。短時間の試乗で“枝葉”に注目すると“山”が見えなくなるので、深入りしませんでした。ところが、自分の愛車としてじっくり走り始めたら、「何や、これ。こんなもん売ったらあかんやろ」ではないですか。

フロントフォークがフリーバルブ式のため、低速域減衰力が不足で、姿勢変化が急激なのはともかく、ブレーキングで奥までストロークする以前に壁に打ち当たったみたいに、フロントへの荷重が急激に高まります。これによって、リヤがリフト気味に不安定になります。

また、フロントを沈み込ませた後、軽くスロットルオンにしたり、ハンドルを引いたりすると、いとも簡単にフォークが伸び切り、異音とショックが伝わります。コーナーでスロットルを開いたとき、リヤへ荷重が載る感覚が得られないのも、フロントが断続的に伸び切り状態になり、荷重移動が的確に行われないからかもしれません。

姿勢変化(ピッチング)がスムーズに行われるからこそ、然るべき荷重移動が生じるのであって、どうもMT-07は前後間の荷重の受け渡しが適正ではないようです。不整路面で感じるリヤの固さも、フロントに起因していると思われました。

フロントのプリロードと油面の変更で、走りは見違えた

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私はまず、乗車時のサスの(伸び切りからの)沈下量を測定しました。フロントは30mmしかなく、明らかに不足です。でも、リヤは27mmで私の基準値ぴったりです。

この乗車沈下量は、意味がないという人もいますし、種々の要件により増減もします。でも、私には40年以上に渡り基準としてきた値があります。フロントは36mm、リヤが27mmというものです。これは、適正な荷重の受け渡しにとって大切なだけでなく、走りのリズムに貢献します。加速しながら切り返していくときのフロントの伸び切るタイミング、コーナー進入で伸び切ったリヤが沈み込んでいくリズムを左右するからです。

また、フルブレーキングでのフロントの沈み込み量は95mmしかなく、もっとストロークを有効に使うべきと判断しました。

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そこで、乗車沈下量を6mm大きい36mmに、さらに10mm奥までストロークさせる狙いで、バネ特性を検討しました。グラフに示したように、標準のプリロード15mm、油面高さ160mmに対し、カラーを6mmカットしてプリロードを9mmに、油面を190mmとした仕様としました。あれこれと試すのも面倒くさいので、一発勝負です。

これが、まさに狙い通り。路面を舐めるように快適で、スロットルを開くとリヤの沈み込みが感じられます。コーナリングでは然るべき姿勢変化が感じられ、車両姿勢が前下がりになったことで、コーナーで素直に曲がりやすくなっています。トラクション感覚も掴みやすくなっています。また、フォークが奥までストロークした後の反発も、バネ特性線図の傾きが緩くなったことで、穏やかになりました。

ただ、想定外だったのは、フロントの沈み込み量は、狙いは105mmだったのに、オイルロックが効き始めるであろう110mmまで大きくなったことでした。おそらくは、しっかりフロントに荷重が載り、挙動も安定したことで、よりブレーキレバーを握り込めるようになったのでしょう。考え方によっては悪くありません。

完璧ではないにしろ、これで楽しむ準備ができたというところです。

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和歌山利宏 モーターサイクルジャーナリスト

投稿者プロフィール

1975年にヤマハ発動機に入社。ロードスポーツの開発に携わる。
レーシングライダーとしても活躍し、鈴鹿8耐第4回大会では4位入賞。
85年からはヨコハマゴム契約となり、タイヤの開発テストを行うとともに、
ワイルドカード参戦した87年の日本GPでは、250ccクラスで11位に入る。
90年からはジャーナリストとしての活動を始め、現在に至る。

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