新しいヤマハMT-09に乗った。メッチャいいぞ!

【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト】

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この刷新ぶりは正常進化、それとも方向転換か?

MT-09が登場から8年を経てフルチェンジされました。

3気筒エンジンはストロークアップで排気量を拡大、ユーロ5に適合させながら、特に中速域でのトルクが増強され、最先端の電子制御によって完全武装。となれば、新型は技術の進歩を踏まえた正常進化と言ったところですが、私には開発の方向性が変わったのではないかと思えるフシがありました。

フレームは剛性を高める方向でバランスが最適化され、高速安定性に大きく寄与する横曲げ剛性が50%も高められました。実際にフレーム形状は、YZF-R1などの流れを汲むデルタボックスらしいものに変貌しています。 また、ヘッドパイプ位置は30mmも低くされました。これはシャープな回頭性を狙う方向です。サスペンションストロークに注目しても、モタードっぽさを匂わせた従来型から、前後7~8mmほど小さくなり、一般的なロードスポーツの水準になっています。 そんなわけで、独自のスポーツ性を貫いてきたMT-09も、ここへ来てより多くの人に受け入れられるように、巷に言われるハイパーネイキッドっぽいものになったのではないかと思ったのです。 でも、それはちょっと浅はかだったようです。 210630_wakayama_02-680x453.jpg▲最新CFアルミダイキャスト技術により、最低肉厚1.7mmを実現した軽量アルミ製フレームを採用(従来は最低肉厚3.5mm)。エンジン搭載角を47.5度から52.3度へと立て気味にしてコンパクト化し、ディメンションも改良しています。

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MT-09らしさはさらに昇華され、寛容にもなっていた

ゆっくり走り出し、軽く向きを変えてみたら、もう刷新ぶりは明らかです。軽快で、キビキビ感がさらに洗練されているのです。感じる車格はミドルクラスそのもので、弟分となる2気筒のMT-07とさほど変わらないほどです。 4kgの軽量化は元より、マスが集中している印象です。エンジンの搭載角が5°ほど起こされ、前後方向に短くなっていること、リヤフレームの軽量化、マフラーの軽量化とショート化などが貢献しているのでしょう。前後で700g軽くなったホイールのおかげもあるはずです。 一般的にフレームの横剛性が高いと、ガチっとした安定感が出ても、しなやかに曲がっていく旋回性は損なわれがちですが、これには上質のしなり感が備わっています。タイトに曲がり込むところでも、掛かった荷重でフレーム後部がしなる印象で、気持ちよく向きを変えてくれます。 これなら、従来型にも増して、向上した安定性によってサーキット走行を楽しめる一方で、タイトなワインディングもキビキビと走れるはずです。 210630_wakayama_03-680x510.jpg▲新型MT-09では、鋳造ホイールでありながら鍛造ホイールに匹敵する強度を達成した「SPINFORGED WHEEL」を新開発しています。右側がそれで軽量化による慣性モーメントの低減を体感できる展示もありました。 電子制御スロットルが採用されたエンジンのコントロール性も、非の打ちどころがありません。スロットルレスポンスが最高と評されながら、一部から扱いにくいともされた初期型とは、比ぶべくもありません。ドライブモードは4段階に切り替え可能で、最もシャープな1でもシャープでありこそすれ、神経質さはありません。 しかも6軸IMUによって、トラクションコントロール、ウィリーコントロール、ABSも制御され、肝を冷やしそうな挙動は抑えられています。もっとも、そうした制御を解除(ABSを除き)して、素のバイクとしてエキサイティングな走りを堪能することもできます。それはMT-09の素性の良さを物語っているからに他ありません。 ダウン側にも作動するクイックシフターも秀逸で、軽いタッチでショックもなくペダル操作だけでギヤダウンできるのは感激ものです。 210630_wakayama_04-680x454.jpg▲電子制御では新開発のIMU=慣性計測装置を搭載。2015年型YZF-R1で初めて自社開発された基本性能を維持しつつ、センサー構成を見直すことで50%の小型化、40%の軽量化を達成しています。

MT-09SPのコーナリング性能にも感激

上位型のSPモデルには、左右に伸圧減衰力発生機構を備えるKYBの最上級フロントフォークと、オーリンズのリヤショックが装備されます。 単にサーキット向きにセッティングされているに過ぎないのではとも思いましたが、実は全てに渡って標準型のサスペンション性能を上回っています。特に中高速での複合コーナーでのライダーに意思に忠実にラインをトレースできるコーナリングの正確性には嬉しくなります。16万円高という価格にも納得させられるというものです。 標準モデル共々、新型MT-09は、使えて遊べてスポーツできる究極のストリートスポーツだとして差し支えないでしょう。 210630_wakayama_05-680x453.jpg▲MT-09SP(左側)のKYB製フロントフォークは、左右それぞれ伸圧減衰調整機構を備え、圧側は高速/低速を個別に変更可能。リヤには専用開発のオーリンズのフルアジャスタブルサスペンションを採用しています。

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和歌山利宏

和歌山利宏 モーターサイクルジャーナリスト

投稿者プロフィール

1975年にヤマハ発動機に入社。ロードスポーツの開発に携わる。
レーシングライダーとしても活躍し、鈴鹿8耐第4回大会では4位入賞。
85年からはヨコハマゴム契約となり、タイヤの開発テストを行うとともに、
ワイルドカード参戦した87年の日本GPでは、250ccクラスで11位に入る。
90年からはジャーナリストとしての活動を始め、現在に至る。

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