死傷事故はクルマの16倍 首都高はバイクにとって危険な道路なのか!?

【ケニー佐川:Webikeニュース編集長】

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3月19日(金)午前10時ごろ、東京都港区の首都高羽田線で、左車線を走行していたバイクが追い越し車線から車線変更してきた乗用車と接触。反対車線に投げ出されたライダーがトラックに轢かれて死亡する事故が起きた。乗用車によるバイクの見落としが原因という。

何故こうした事故が起きてしまうのか。ニュースで取り上げられるほどの首都高での重大バイク事故について、自分の感覚としては年に数回は起きているように思う。首都高を安全に走るためにはどうしたら良いのだろうか。

首都高は日本で最も危険な道路!?

首都高ドライバーズサイト」によると、首都高の2輪車事故の件数は全体の2%程度と少ないが、死傷事故については二輪車以外と比べて約16倍も発生しやすくなっているそうだ。つまり、首都高におけるバイク事故件数は取り立てて多くはないが、一旦事故になると死亡事故につながる確率が非常に高いということだ。

上記サイトによると、二輪車の重大事故は「カーブ部での自損事故」の他、「急ブレーキ時の追突事故」、「合流部での接触事故」等が発生していて、主な原因として「スピード出し過ぎ」や「他車から視認されていない」ことなどが挙げられている。今回の事故も詳細は分からないが「見落とし」が原因ということは、たまたまバイクが乗用車の死角に入っていたのかもしれない。

首都高が危ないのは何故なのか

気になってネット記事などを探索してみたが、2輪、4輪ともに「首都高は恐い」「走りづらい」などの意見が多く、その理由としては「急カーブが多い」、「合流が多い」「エスケープゾーンが少ない」、「側壁が低くて怖い」などが目立っている。特にライダーからは「路面が悪く、継ぎ目でスリップするのが怖い」という声もある。特に悪名高いのがC1(都心環状線)だ。

自分もよく首都高を利用するが、C1などはまさにそのとおりの印象。加えて分岐・合流などの行先を示すサインなどの情報量が多すぎて混乱するということもあるだろう。今ではナビがあるが、それでも忙しく、周囲の安全に気を配る余裕がなくなる感じがする。

人間が一度にできることは限られていて、コンピューターのように並列処理することは難しいとされる。首都高を走ることは、それだけで心理的圧迫が大きいのだ。

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カーブやJCTで事故が多く発生している

自分のコラムでも取り上げているが、過去には首都高での重大なバイク事故が少なからず発生している。2012年2月には料理研究家のケンタロウさんが深夜に首都高を大型バイクで走行中に外苑出口のカーブを曲がりきれず、側壁を乗り越えて6メートル下の地上に転落し、頭部骨折の重症を負っている。

また、最近では2019年6月にプロレスラーの青木篤志さんがC1外回りの北の丸公園付近のカーブで側壁に衝突する単独事故により亡くなっている。そして、実際のデータからも首都高ではジャンクション(JCT)を含むカーブ区間で事故の多くが発生していることが分かる。

参考:二輪車の事故発生地点マップ|首都高を使う|首都高ドライバーズサイト (shutoko.jp)

首都高は「高速道路」ではなかった

そもそも首都高は「高速自動車国道(高速道路)」ではなく「自動車専用道路」である。東京・名古屋・大阪・広島・福岡・北九州の6大都市圏にある都市高速道路の位置づけだ。だから、前述のC1(都心環状線)も50km/hに制限されているし、比較的最近できた湾岸線でも80km/hに設定されている。
そもそも、東名や名神のように100km/hで飛ばせるようには作られていないのだ。

首都高がこうした状況であることには理由がある。前述の首都高ドライバーズサイトによれば、「密集市街地の中、公共用地を利用しながら建設されたため急カーブとなっている箇所が多数ある」という。
また「カーブではジョイント部だけでなく風等の気象条件によっても挙動が不安定になり、スピードの出し過ぎ等によりカーブ壁面に衝突する事故も発生している」とのこと。カーブ部では手前で十分減速し安全が確保できる速度での走行を強く推奨している。

元々は前回の東京オリンピックに間に合うよう突貫工事で作られた首都高。特に初期に作られた都心部は設計も古く老朽化が激しい。60年後の現在、自動車社会がこのように発展するとは当時は考えもつかなかったことだろう。

それでも首都高は素晴らしい

結論としては、首都高のリスクをよく理解した上で走ること。特に夜間や雨天、真冬などで路面などのコンディションが悪いときは、なるべく走らないという選択もあると思う。

参考までに、前述の首都高ドライバーズサイトでは「知れば万全!首都高ドライブ動画」にて、首都高を安全に走行するためのポイントを車載カメラによる動画で丁寧に説明しているので参考にしてほしい。難しい合流やカーブなどについても実際にその場所が出てくるので臨場感がリアルに体験できるはずだ。

ただ、首都高には素晴らしさもある。たとえば敬遠されがちなC1だが、高層ビルが立ち並ぶ未来都市のような風景や桜が舞い散る皇居の風情など、まるで空中散歩でもしている気分で東京見物を楽しめる。季節が良いときにゆったりと走りながら、発展を続ける世界有数のメトロポリスの眺望を楽しむのも有りだろう。
自信がなければ、最初はクルマで走ってみて徐々に首都高の走り方に慣れるのがおすすめだ。

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ケニー佐川

ケニー佐川 Webikeニュース編集長

投稿者プロフィール

早稲田大学教育学部卒業後、情報メディア企業グループ、マーケティング・コンサルタント会社などを経て独立。趣味で始めたロードレースを通じてモータージャーナルの世界へ。
雑誌編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。
株式会社モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。
日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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