ピレリの250cc用タイヤに乗り、またもやタイヤの進化を実感

【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト】

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バイアスの進化も著しいディアブロ・ロッソスポーツ

毎年、新しいタイヤに試乗し、その進化に驚かされてきましたが、今回、バイアス構造のディアブロ・ロッソスポーツに乗り、進化が止まらないことを実感させられる想いです。

バイアスタイヤは、タイヤを補強するカーカスのコード(糸を織り合わせたもの)が周方向に対し25~40度の角度で互い違いに重ね合わされています。トレッド部はブレーカーと呼ばれる部材で補強されますが、剛性バランスはラジアルと比べ、タイヤ全体に均一になる傾向があります。

伝統的な幅小でハイトが高く扁平率が大きければ、剛性バランスが均一なバイアスで問題ないのですが、80年代後半期にグリップ力を求めて、幅広扁平化してくると事情が変わってきました。当然、グリップ力を伝えるトレッド部に剛性が求められ、ブレーカーで補強され、全体に高剛性傾向となります。そのため当時の幅広扁平バイアスは、今からするとタイヤからの情報量が希薄で、無機質だったと思います。

ところが、昨今のバイアスタイヤは補強材の材質の進歩もあってか、しなやかさで情報量も豊かです。そして、ナチュラルな剛性感によって、ハンドリングは気負わずに走れる特性を獲得しています。特にフロントは変な存在を感じさせない自然さです。

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さらに、このロッソスポーツにはピレリらしいスポーティさが実現されています。軽快な寝かし込みからシャープに切り込んでいく旋回性は、オンザレール感覚とも言えます。トレッド部は2枚のポリエステルと2枚のナイロンブレーカーで補強され、剛性バランスが絶妙で、曲率をセンターが小さめ、ショルダー側で大きめとしたトレッドプロファイルに沿った旋回特性なのです。

ラジアルタイヤの進歩による技術がバイアスに投入され、バイアスの基本特性をそのままに高次元されていると言えましょう。

軽量クラスに最適化されたラジアルのディアブロ・ロッソIII

ラジアルタイヤは、真横方向、90度の角度でカーカスのコードが配されます。そのままではトレッドは剛性不足なので、ベルト(コードをトレッドに巻き付ける0度構造が多い)で補強されます。そのため、固められたトレッドが安定したグリップ力を発揮しながら、柔軟なサイドウォールの撓み(これがつぶれ感になります)が情報量とコントロール性を豊かにし、コーナリングを高水準化させています。

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ただ、昨今は自然な剛性感を求め、カーカスコードに70°程度の角度を付けた構造が主流です。実は、当初からピレリラジアルはこの構造で、先見性があったとしてもいいでしょう。また、0度ベルトはスチール製が主流ですが、これも当初からピレリはこれです。

コーナーに進入し、フロントに掛かった荷重でタイヤにツブレ感を感じ、高まる接地感と旋回力を生かして曲げていくのがラジアル走りとなりますが、このロッソIIIときたら、そのツブレ感がこれまでになく柔軟なのです。ベルト材はスチール製ではなく、ケブラー製になっており、軽量級用に最適化されているのです。

そして、その柔軟性で高まった接地感と旋回力は、フルバンクに向かって維持されていきます。しかも、今日的なレーシングスタイルよろしく上体を大胆に前方イン側に入れて、旋回性を高めていく走りを期待させます。タイヤの撓みとそれによって曲がる力が、タイヤに掛かるGに対しリニアに大きくなり、コントロールの幅と信頼感と高めているかのようです。

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ベルトをスチール製からケブラー製にするのは、ある意味、進化に逆行しているようですが、スーパーバイク世界選手権にタイヤを供給するピレリの技術が、軽量級向きラジアルに生かされているとして差し支えないでしょう。

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和歌山利宏

和歌山利宏 モーターサイクルジャーナリスト

投稿者プロフィール

1975年にヤマハ発動機に入社。ロードスポーツの開発に携わる。
レーシングライダーとしても活躍し、鈴鹿8耐第4回大会では4位入賞。
85年からはヨコハマゴム契約となり、タイヤの開発テストを行うとともに、
ワイルドカード参戦した87年の日本GPでは、250ccクラスで11位に入る。
90年からはジャーナリストとしての活動を始め、現在に至る。

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