Vストローム250と巡る東北一周2020(4)

前回:Vストローム250と巡る東北一周2020(3)

【賀曽利隆:冒険家・ツーリングジャーナリスト】

▲龍飛崎から龍泊ラインを行く

津軽半島北端の龍飛崎を出発。「龍泊ライン」の国道339号で日本海側を南下。大展望台の「眺瞰台」で相棒のVストローム250を止める。ここからは龍飛崎を一望する。津軽海峡の向こうに北海道の山並みが見える。目の向きを変えると、曲がりくねって日本海の海岸へと下っていく龍泊ラインが見える。小泊半島も見える。
その突端は高さ200メートル以上の断崖となって海に落ちる権現崎だ。
「眺瞰台」からは連続するヘアピンカーブの道を下っていく。「一ノ坂」からは海岸線に沿った道になる。小泊半島へとつづく海岸線を見ながら走る絶景ルートだ。

▲龍泊ラインの眺瞰台。津軽海峡の向こうに北海道が見えている

▲眺瞰台から龍泊ラインを見下ろす。小泊半島先端の権現崎が見える

▲龍泊ラインで日本海の海岸線に降りていく

日本海に流れ落ちる七つ滝、一軒宿の竜泊温泉と通り、道の駅「こどまり」で小休止。モーニングコーヒーの缶コーヒーを飲んだ。目の前は広々とした「折腰内キャンプ場」。 龍泊ラインを走り切り、小泊(中泊町)に入っていく。龍泊ラインは龍飛崎と小泊を結ぶ道なのでその名がある。

▲龍泊ラインの道の駅「こどまり」

ここでは小説「津軽」の像記念館を見学。小説「津軽」の像というのは、太宰治とその子守役(アダコ)の越野タケの再会の像。タケは3才から9才までの6年8ヵ月、太宰治の子守をした。その像の前には「太宰治文学碑」が建っている。 小泊を出発。国道339号で五所川原へ。

▲小説「津軽」の像記念館の太宰治と越野タケの再会の像

日本海に出ると、「津軽富士」の岩木山が、まるで海に浮かんでいるように見える。
十三湖の湖畔でVストローム250を止めたが、湖越しに見る岩木山の美しさといったらない。日本各地には400以上の「郷土富士」があるが、岩木山はそれらの中でも、間違いなくベスト3に入る名山だ。まさに津軽のシンボルで、津軽平野のいたるところから見える。

▲十三湖越しに「津軽富士」の岩木山を見る

岩木山を見ると、「津軽だ!」と、思う。国道339号で津軽平野に入っていく。前方の岩木山を見ながら走る。

中里(中泊町)の町中に入り、津軽鉄道終点の津軽中里駅へ。ホームには1両編成の「走れメロス」号が停車していた。『走れメロス』は太宰治の短編。ぼくは小学生の頃、国語の教科書で読んだ記憶がある。

▲津軽鉄道の終着駅、津軽中里駅

▲津軽中里駅に停車している「走れメロス」号

中里から金木(五所川原市)へ。金木でも町中に入り、太宰治記念館の「斜陽館」に行く。ここは太宰の生家。この建物は明治40年(1907年)、太宰の父、衆議院議員の津島源右衛門が建てた。太宰治の代表作『斜陽』にちなんでの「斜陽館」だ。

▲金木の町に入っていく

▲太宰治の生家「斜陽館」

金木から国道339号で五所川原へ。五所川原の中心街で国道101号と交差する。龍飛崎から走ってきた国道339号はさらに弘前に通じている。
五所川原ではJR五能線の五所川原駅に行く。ここは津軽鉄道の始発駅でもある。今度、五所川原から津軽中里まで、津軽鉄道の全線を乗ってみたい。

つづいて「立佞武多の館」で立佞武多(たちねぷた)を見る。高さ20メートルを超える立佞武多はド迫力。毎年8月4日から8日までの立佞武多祭りでは、この立佞武多が「ヤッテマレ、ヤッテマレ!」の掛け声とともに市街地を練り歩く。五所川原の立佞武多祭りは青森のねぶた祭り、弘前のねぷた祭りと並ぶ青森の三大ねぶた・ねぷた祭りだ。

▲五所川原の「立佞武多」

五所川原からは国道101号を行く。岩木川を渡り、つがる市に入ったところでJR五能線の木造(きづくり)駅に寄っていく。一度見たら忘れられない駅舎で、巨大な土偶が駅舎にのっている。これは亀ヶ岡遺跡から発掘された遮光器土偶をモチーフにしたもの。

▲JR五能線の木造駅。駅舎には巨大な土偶が!

駅前の「神武食堂」で大好物の「冷やし中華」を食べ、国道101号に戻ると鰺ヶ沢へ。津軽平野の水田越しに見る岩木山が目に残った。

▲木造駅前の「神武食堂」

▲「神武食堂」の「冷やし中華」

▲津軽平野越しに見る岩木山

鰺ヶ沢から国道101号で日本海を南下。北金ヶ沢の樹齢1000年の大イチョウ、名所の千畳敷と見ていく。

▲鰺ヶ沢から日本海沿いの国道101号を南下

▲北金ヶ沢の大イチョウ

▲日本海の名勝、千畳敷

深浦で2度目の昼食。JR五能線の深浦駅近くのレストラン「セイリング」で「マグロの刺身御膳」を食べた。深浦産のマグロは絶品。刺身のほかにマグロの皮と胃袋がついている。皮はいい味をしている。胃袋はシコシココリコリしている。

▲JR五能線の深浦駅

▲深浦のレストラン「セイリング」の「マグロの刺身御膳」

食べ終わると、大同2年(807年)創建の円覚寺に行く。日本海航路の交易が盛んになると、海上の安全を祈願して多くの船乗りたちが参詣するようになった。深浦港は千石船の北前船の寄港する港。ここには北前船の模型が展示されている「風待の館」がある。

▲深浦の円覚寺

深浦から岩崎へ。旧岩崎村は深浦町と合併したので今は深浦町だ。岩崎漁港から海越しに白神山地の山並みを見る。

▲岩崎漁港から白神山地を見る

JR五能線の十二湖駅を過ぎたところで国道101号を左折し、渓流沿の道で十二湖へ。十三湖はひとつの湖だが、十二湖には大小33の湖がある。最初に出会うのは八景の池、つづいて二ツ目の池、王池西湖、王池東湖、中の池、落口の池、がま池、鶏頭場の池と見てまわり、青池まで行く。

▲十二湖の「八景の池」

青池は十二湖の中でも一番人気の湖で、その名の通り吸い込まれるような深みを帯びた青色をしている。青池で折り返し、国道101号に戻った。

▲十二湖の「青池」

青森・秋田県境の須郷岬に到達。岬の展望台から北に延びる海岸線を見る。白神山地の山並みが海に落ち、「白神山地ここに尽きる!」という風景だ。

▲青森・秋田県境の須郷岬からの眺め

青森県から秋田県に入ると、道の駅「はちもり」で小休止。バニラのソフトクリームを食べた。そのあとで、白神山地から湧き出る名水の「お殿水」を飲む。その昔、津軽藩の大名行列がここを通った時、2代目藩主の津軽信牧はこの清水を飲んで、「甘露、甘露」と誉めたたえたという。

▲道の駅「はちもり」で小休止。ソフトクリームを食べる

▲道の駅「はちもり」の名水「お殿水」

国道101号で能代へ。八森いさりび温泉「ハタハタ館」の湯に入り、鹿の浦展望所からは日本海の大展望を楽しんだ。ここから見ると、男鹿半島は海に浮かぶ2つの島のように見える。

▲八森いさりび温泉「ハタハタ館」の湯に入る

▲鹿の浦展望所から見る北側の海岸線

▲鹿の浦展望所から見る南側の海岸線

能代に着くと今晩の宿の船沢温泉へ。能代郊外の一軒宿の温泉に泊まる。まだ明るい時間の到着だ。湯から上がると、まずは生ビールを飲み干し、夕食を食べた。こうして温泉に入り、湯上りの生ビールを飲んで夕食を食べられるというのは、何ともありがたいことだった。

▲能代に到着

▲能代郊外の船沢温泉

▲船沢温泉の夕食

賀曽利隆

賀曽利隆 冒険家・ツーリングジャーナリスト

投稿者プロフィール

1947年東京生まれ。
1968年から2年間をかけてアフリカを一周したのを皮切りに、アジア、ヨーロッパ、オーストラリア、北アメリカ、南アメリカと、バイクで世界の6大陸を駆けめぐる。
1975年の結婚後も旅をつづけ、赤ん坊連れでの「シベリア横断→サハラ砂漠縦断」を成しとげる。
1980年、鈴木忠男さん、風間深志さんとバイクでキリマンジャロ挑戦。1982年には風間深志さんと「パリ→ダカールラリー」に日本人ライダー初の参戦を果たす。
1987年~1988年には「サハラ砂漠往復縦断」を成しとげる。
「30年代編日本一周」以降、10年ごとの「年代編日本一周」を繰り返し、2018年12月31日には1年4ヵ月に及ぶ「70代編日本一周」を終えた。
「年代編日本一周」とは別に、「島めぐり日本一周」、「温泉めぐり日本一周」、「林道日本一周」の「テーマ編日本一周」もおこなっている。2006年~2007年の「温泉めぐり日本一周」では1年間で3,063湯の温泉(温泉地)に入り、ギネスの世界記録に認定されている。『ツーリングマップル』の「東北」担当で、東北の道という道を精力的に走りまわっている。モットーは「生涯旅人!」

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