トンネル内の事故は何故起こるのか!?「見えていない」ことを自覚しよう

【ケニー佐川:Webikeニュース編集長】

後を絶たないトンネル内の事故

お盆休み中のバイク事故が目立っている。その中で、最近気になったのがトンネルでの事故だ。11日午前7時過ぎに埼玉県秩父市の国道140号、雁坂トンネル内を大型バイクで走行中の横浜市の男性(54)が転倒して滑走。前方を大型バイクで走行していた友人男性(51)と衝突し死亡し、前方の男性は軽傷とのこと。警察によると、現場は片側1車線の直線道路で、死亡した男性はツーリング仲間と2人で走行中だった。転倒の原因を調査中だ。

また、愛媛県八幡浜市の夜昼トンネル内で9日午後1時過ぎ、軽トラックの男性(66)がミニバイクを追い抜く際に接触し、転倒した市内の男性(86)が頭などを強く打ち死亡した。現場は片側1車線の見通しが良い直線道路。警察の調べでは、軽トラックには左側後ろにキズがあり、追い抜ききれずに接触したとみて事故の原因を調べている。

ちょっと前になるが、5月にも大津市の国道161号西大津バイパスで男性(45)が運転するバイクが前を走る乗用車に追突し転倒。バイクの男性と同乗の女性(44)が死亡する事故があった。警察によると現場は宇佐山トンネル内の片側2車線の道路で、バイクの男性が乗用車を追い越そうとしていたらしい。
以上のように後を絶たないトンネル内の事故だが、何故そのようなアクシデントが起きてしまうのか、トンネルの危険性についてあらためて考えたい。

人間の目は暗闇に慣れるのが苦手

まず、トンネル内は暗く視界が悪い。当たり前のことのようだが、普段は意識していないことが多いのではないだろうか。

特にやっかいなのが明暗順応だ。たとえば明るい昼間に走行中、いきなり真っ暗なトンネルに入るとしばらくは何も見えなくなる。
しばらくすると目が慣れて徐々に見えてくるが、これを「暗順応」という。逆にトンネルから出たときに一瞬とても眩しく感じてから慣れてくるのが「明順応」である。「明順応」は比較的早く数秒から数十秒で完了するのに対し、「暗順応」は数分から数十分もかかるという。
これでは、目が慣れる前にトンネルを通過してしまっている。

つまり、トンネル内は本当の意味で「よく見えていない」ということだ。

トンネル内は速度や距離を認識しづらい

残念なことに人間の視覚機能は現代のスピード化された交通環境に適応できていない。特に夜間やトンネル内などの暗い場所では、速度や距離を正しく認識しづらくなっている。さらに加齢によっても暗順応や夜間視力の低下、視野の減少や動体視力の低下が起きてくる。
最近ではトンネル内照明の工夫によって、徐々に明暗順応を促す取り組みもなされているが、ローカルな山道などでは照明が不十分な場所もまだまだ多い。

暗さの他にも、トンネル内は湧き水などで路面が濡れていたり、舗装の状態が通常のアスファルトと異なっていたりで滑りやすいことも多い。また、何かアクシデントがあっても後続車両から認知されにくく、避難できるスペースも少ないため二次災害に陥りやすい。

速度を落とし車間距離を広めにとる

トンネル対策としては、自分は早めに目を慣らすためにトンネルが近づいてきたら、目を細める(薄目を開けた状態)ようにして光量を絞ってみたりしている。少しは暗順応の手助けになるようだ。また、ヘルメットのシールドが、もしスモークなどで見えづらかったら、暗い区間は跳ね上げて視界を確保するようにしている。

とはいえ、やれることは限度がある。まずは、トンネルは見えていない場所と思って速度を落とし、車間距離を広めにとって、なるべく追い越しなどは控えたほうが良さそうだ。

ということで、バイクでツーリングに出かける予定の皆さんも、どうか気を抜かず、残りの夏休みを安全にお過ごしください。

ケニー佐川

ケニー佐川 Webikeニュース編集長

投稿者プロフィール

早稲田大学教育学部卒業後、情報メディア企業グループ、マーケティング・コンサルタント会社などを経て独立。趣味で始めたロードレースを通じてモータージャーナルの世界へ。
雑誌編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。
株式会社モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。
日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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