「KTM 890DUKE R」試乗インプレッション 走りのすべてがラジカルに進化、でも驚くほど乗りやすい!

【ケニー佐川:Webikeニュース編集長】

マシン解説

エンジン全面刷新で16ps上乗せ

KTMから新型「890DUKE R」が国内デビューした。790DUKEをベースに排気量を拡大し、足まわりと電子制御を強化した最新モデルだ。開発に当たっては、KTMが長年培ってきたオン&オフロードのレースモデルの開発ノウハウが詰め込まれているという。

KTM初となる790DUKE由来の水冷並列2気筒エンジンはボア・ストロークともに拡大され、排気量を91ccアップの890ccへ。最高出力も121psへと16ps(790は105ps)も上乗せされた。吸排気バルブやカムなどの動弁系やクランクシャフトも見直され、アグレッシブな出力特性と扱いやすさを両立。2気筒それぞれのFIを独立制御することで、低速域でのコントロール性もさらに向上させた。

足まわりと電制も大幅にグレードアップ

車体面でも、前後サスにWPの新型APEXを採用しグレードを高めつつ車高も15mmアップ。スイングアーム垂れ角を増やしてフロント荷重を高めつつ、加速時における後輪のトラクションを向上。ブレーキも新たにブレンボを採用し、フロントディスクをφ320mmに大径化しつつも軽量化を進めるなど制動力を高めつつハンドリングも進化。タイヤもミシュラン「Power Cup 2 」にアップグレードされた。ライポジも790に比べてハンドルを低めに、ステップを後方高めに設定。加えて車重も3.3kg軽量化されるなど、全体的にアグレッシブな方向性へと進化した。

電子制御もさらに進化し、6軸センサーによるコーナリングABSとトラコンの他、スリッパ―クラッチに加えて低ミュー路面での急激なシフトダウンによる後輪ロックを防ぐMSR(オプション)を採用。ライドモードはRAIN、STREET、SPORT、TRACK(オプション)の他、9段階調整のトラコンやウイリー制御、スロットル制御などのカスタマイズも可能となっている。

試乗インプレッション

「超外科用メス」の異名にややビビるも……

新型890DUKE Rのコンセプトは「THE SUPER SCALPEL」。直訳すると「超外科用メス」である。正直、試乗前は少し不安もあった。790でも十分にパワフルで鋭い走りを経験していただけに、今回格段にパワフルになってすべてが強化された890のしかも「R」仕様とくれば「ちょっと手強いかな」という先入観が最初はあったからだ。

790DUKEから新採用されたKTM初の水冷並列2気筒エンジンは単気筒並みにコンパクトで車重も166kg(乾燥)と400cc並み。ライポジも790と比べると若干前傾気味でシートも1cmほど高い834mmとなっているが、言われなければ分からない程度の差。元々車体が軽量でスリムなので、取り回しや足着きに苦はないと思う。

滑らかで安定した走りでよく曲がる

75度クランクによる不等間隔爆発の心地よい鼓動感を感じながらベースアップしていく。エンジンの回転は至極スムーズでマイルドと言えるほど。新型デュアルバランサーと進化した電制のおかげだろうか、当初の心配はきれいさっぱり吹き飛んでしまった。

特に感心したのがスロットルレスポンスの滑らかさ。コーナーの途中からジワッとアクセルを開けていくときのツキがとてもリニアで自然なのだ。車体ディメンションの見直しにより、車体姿勢そのものが若干前下がりになっているが、スロットルをオフからオンへと切り替えたときの、フロントからリヤへの荷重の受け渡しがスムーズで、鋭く曲がる割に姿勢も安定している。

WPの新型APEXサスペンションのしなやかな路面追従性にも助けられ、立ち上がりでは思い切ってアクセルを開けつつ、後輪が路面をつかむのを感じながら加速していけるのだ。もちろん、縁の下で高度な制御を入れてくるコーナリング対応のトラコンやABSの助けがあってこその安心感である。路面にピタッと貼りつくミシュランのしっとりとした接地感ともマッチしていた。

高次元のスポーツ性能を手の内で操れる

軽快なフットワークと扱いやすいエンジン、そして最新の電制システムが生み出す、上質感のある走りが気持ちいい。「THE SUPER SCALPEL」の異名どおり、コーナーを正確に切り取っていく鋭い走りではあるが、それがけっして我慢大会になっていないところに進化・熟成の跡を感じる。ずはりイージーで速いのだ。
もっと馬力があって最高速が伸びるマシンはいくらでもあるだろうが、高次元のスポーツ性能を手の内で操れて、その楽しさを肌で実感できる大型バイクとなると数少ない。

ちなみに試乗した富士スピードウェイのショートコースとの相性もバッチリで、ワインディングやタイトなサーキットではきっと最速クラスのマシンに名を連ねるはずだ。

気になる790DUKEとの棲み分けもちゃんとできていた。スポーティな走りを公道で幅広く楽しめる790に対し、レザースーツに身を包み全力でコースを攻めるのが気持ちいい890R。なんとなく、そういうイメージで間違いないと思う。

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ケニー佐川

ケニー佐川 Webikeニュース編集長

投稿者プロフィール

早稲田大学教育学部卒業後、情報メディア企業グループ、マーケティング・コンサルタント会社などを経て独立。趣味で始めたロードレースを通じてモータージャーナルの世界へ。
雑誌編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。
株式会社モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。
日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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