トライアンフの不等間隔点火トリプルを検証し、結果に驚愕

【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト】

tiger-900-gt-pro-20MY-AZ4I2372-AB-1-680x454.jpg▲Triumph Tiger900

えっ、並列3気筒の優れたバランスをぶち壊すって!?

新しいタイガー900に搭載される並列3気筒エンジンは、点火間隔が不等です。私はそのことを知ったとき、まさかと思いました。

と言うのも、120度クランクで240度等間隔点火の3気筒は、大変にバランスに優れているからです。1次振動も2次振動も完全バランスで、一次慣性力によるエンジンを揺するような偶力振動が発生しますが、バランサーで対処できます。

しかも、クランクの回転力に加わるピストン回りの往復運動による慣性力が相殺されます。その慣性力は高回転域では燃焼圧力による回転力を大きく上回り、トラクションの掴みやすさを阻害します。それを取り除こうというのがヤマハのクロスプレーン思想で、270度ツインやクロスプレーンR1はそうした狙いから生まれています。

そして、120度クランクの3気筒は生まれながらにして、その思想に合致しているのです。実際、並列3気筒にはスムーズながらも4気筒にはない鼓動感があり、その鼓動感が透き通って届くという魅力があります。

目指したのはアドベンチャーらしいワイルドさか

タイガー900は、800から4mmボアアップされ、クランク位相角も変更されました。
800は120度クランクですが、900は#1に対し#2が90°、#3は180°の角度が付けられます。ヤマハのクロスプレーン4気筒から中央の1つを取り去ったような形で、トライアンフはこれをTプレーンと呼んでいます。点火順序は#1ー3ー2(800は#1ー2ー3)で、点火間隔は180ー270ー270°となります。

Tiger800-120deg-Crank-680x481.jpg▲Tiger800 120deg Crank

Tiger900-T-plane-Crank-680x481.jpg▲Tiger900 T-plane Crank

これには欠点があります。両側気筒による1次慣性偶力に加え、中央気筒の1次慣性力が残るのです。ただ、1軸バランサーを装着しているのですから、それによって対処すれば問題ありません。
振動数がエンジン回転の2倍となる2次振動も1気筒分が残ります。高回転側で細かい振動が出る恐れがありますが、一般的な並列4気筒、180度と360度クランクの2気筒では気筒数倍の2次慣性力が出る(そのため4気筒では2次バランサーが装着されることも多い)ことを考えれば、深刻ではないでしょう。
それにしても、なぜTプレーンを採用したのでしょうか。不等間隔化で、鼓動にリズムと抑揚を与え、楽しさと、トラクションの掴みやすさを狙ったことは確かでしょう。MVアグスタやヤマハの3気筒に対し、個性を明確にしたかったのかもしれません。ただ、240°の等間隔から大きく変わっているわけでなく、トラクション性能に劇的な向上を望むことはできないと思われました。

Tプレーンは慣性力トルクを有効利用していた

でも、これには何かを期待させる直感がありました。
そこで、ピストンの慣性力の回転力への影響を検証しました。私の手書きメモを見てください。この慣性力にも1次と2次がありますが、2次の大きさは4分の1程度なので、簡単のため1次だけで考えています。

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120度クランクだと3気筒分が相殺され都合0ですが、Tプレーンは1気筒分が残ります。一般的な4気筒や2気筒では気筒数倍の慣性力が回転力に加わることを考えると致命的でないですが、これもネガになりかねません。
ところが、そのトルク変動をグラフに書き、驚かされました。何と、中央気筒の燃焼圧と慣性トルクの山が一致、その前後の合成トルクの変動の抑揚が劇的に大きくなっているではありませんか。しかも、スロットル開度が大きいほど、また回転数が高いほど、この抑揚は激しくなるのです。

多くのエンジンにとって慣性力トルクは、燃焼圧変動に対し無秩序に表れるため、邪魔な存在になります。でもTプレーンは慣性力トルクが燃焼圧の変化を明確にしていて、鼓動感とトルク感の掴みやすさにとって好ましいと期待させます。私はまだ試乗していないので、実際に乗ったら「なんじゃ、これ」になるかもしれませんが‥‥。

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和歌山利宏

和歌山利宏 モーターサイクルジャーナリスト

投稿者プロフィール

1975年にヤマハ発動機に入社。ロードスポーツの開発に携わる。
レーシングライダーとしても活躍し、鈴鹿8耐第4回大会では4位入賞。
85年からはヨコハマゴム契約となり、タイヤの開発テストを行うとともに、
ワイルドカード参戦した87年の日本GPでは、250ccクラスで11位に入る。
90年からはジャーナリストとしての活動を始め、現在に至る。

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